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粘膜下筋腫の摘出手術をしました  作者: サガ レダ
11/12

11.手術

 緊張してあまり眠れぬまま朝。

 6時前に検温と血圧測定。きょうはいちにち絶食で水分も13時頃までといわれる。

 8時過ぎに主治医とあと知らない医者がふたりきて挨拶してくれた。すぐ戻っていったけど「???」って感じだった。

 下剤の効果か2度ほどトイレ。手術の恐怖と緊張で下腹がちくちくする。ってか腹壊してんだけど大丈夫なのか。手術でやらかさない?(汗)

 10時すぎに点滴開始。いちにち刺しっぱなしにするので刺す場所がいつもと違う。手首の5~6センチ下くらい。なかなか血管が出ず、てこずらせてしまって申し訳ない。でも完璧に入ってる、すごい。でもなんか怖い。わたしは本当にこういう刺しっぱなしみたいなのはストレスがすごいというか。怖いので左腕を見ないようにする。

 点滴は12時頃に終了。その頃に母と弟がくる。とてもうるさい。何度注意してもうるさい。あげく、苦情がきて注意された。だからいってるのに。なんでこうもこのひとたちは人間が雑なんだろう。

 この日、かなり大型の台風がきていて日本中大雨のはずだったんだけど、病院のある地域は曇り空が続いてた。わたしの住居あたりは結構な雨風だったらしく、帰って戻ってこれないとわたしが退院しても家に帰れないので母は病院に泊まるとのことで許可の用紙を書く。

 で、手術の順番になったら看護師が呼びにきます、ってことで、午後からのわたしは廊下で足音が聞こえるとはビクつき、同室者のところに看護師さんがくるとはビクついていた。

 時間ばかりが過ぎていって、14時、15時、ああもうそろそろ? と思うがまだ呼ばれない。15時半、そろそろ? こない。16時、ああ、もうくるんじゃない? くるんじゃない? と看護師さん3人目の正直。

 よ ば れ た

「着厚ソックスはいて、ショーツだけつけて、これを着てください」

 と渡されたのが水色の長方形な紙でできたっぽい代物。正直あれは服とはいえない。

 もそもそ着替える。そして下痢ぴー。

「すいません、トイレいっていいですか……」

 もう出るもんないよ、なんかただの黄色い水。ううっ。

 そしてとうとう部屋を出発!

 手術室まで歩いていく。しかもこんなアホな格好で。緊張していたから気にはならなかったけど。母と弟もついてくる。緊張感がすごい。

 手術室の前に到着。母と弟はここでサラバ。

 もう心臓ばっくばく。

 と、マイルドエグザイルみたいな男の看護師さん登場。非常にさわやか。普通に出会ってたら惚れてるかもね、でも場所!!

「よろしくお願いします」

 にこにこされるも、こっちは余裕がない。

「よ、ろしくお願いします。めちゃ怖いです」

「大丈夫ですよ、1時間くらいって聞いてますし」

 ぐっ、そうかしら?

 と、マイルドエグザイルについて手術室へ。

 数字の書かれたアルミのような扉がずらっと並んでいて、ぎょっとする。ちょうどわたしの身長くらいのところに小さなはめ殺し窓があってなかが見える。医師が額を付き合わせて3人、うつむいている。か、開腹手術してるのかな(汗) とか思いながら通りすぎる。あんまり見たら悪いよな、視線をそらす。ドラマとかで見かけるのと全然違う。

「なか、見えるんですね」

 思わず訊いてしまう。

「そうですねぇー」

 あはは、って感じで答えられて、ああ、慣れてるんだなぁと。

「ここです」

 到着。

 で、トイレがあるのでまたいちおういっておいた。

 すみません、緊張で腹壊してて。泣きたい。

 戻ってくると、アレルギーがあるかないかとかいろいろ訊かれる。←実はこれ入院してから何度も訊かれていて、よほど重要なことなんだと察する。

「眼鏡どうしますか? なかではずしてもいいし」

「じゃ、なかで」

 わたしは視力が非常に悪く、これをとると本当に漫画に出てくる瓶底眼鏡のひとみたいになにも見えなくなるのでかけたままなかに。

 そしていざ!!

 ああっ、怖いっ。

 自動ドア入ってすぐ、もう「the 手術室」

 ってか結構ひといるんだな、5、6人はいたような。

「ここに仰向けになってください」

 ベッド? とはとてもいえない狭いベッドで仰向けになる。

 複数人でわたしの世話を焼いてくれるのちょっと嬉しい。わたしは世話されるのは好きだけど世話するのは好きではい。いや、ペットの世話をするのは大好きなんですが。

「こ、怖いです」

「大丈夫ですよ、ちゃんとしますからね」

 ありがとうございます。お願いします、ほんとお願いします(泣)

 点滴を入れられ、心電図のまるっこいのをぺたぺた胸に貼られる。

 気づけば主治医がそこに。手術着だとなんか印象違いますね。っていうかなんで医者ってたいがい下腹出てるの? 美味しいものばっかり食べてるから? 

「音楽、音大きくしようか?」

「だ、大丈夫です」

 確かになにかかかってるなーとは思ったけど、自分のことでいっぱいいっぱいでなにがかかっていたかはわからない。BUMP OF CHICKENのような気がした。たぶん。

「じゃあ、いまから麻酔打つ準備するからね」

 と看護師さん。からだを左側を下にして横を向く。背中の部分の紙服がびりっと破かれる。

 ん??

「ちょっと冷たいですよ、何度か背中をアルコールで拭くので」

「はい」

 確かにひんやり冷たい。何度か繰り返され、

「じゃ、麻酔入れますねー」

 腰のあたりに細いやわらかい針?のようなものが入っていく感じがする。それほど痛くはないけれどなんだか気持ち悪い。左側がびりびりしてくるし。

 この腰椎麻酔というやつ、麻酔をしてるとき頭をあげると頭痛が出ることがあってそれが治るのに1か月とかかかるひともいるらしい。でも、反動っていうか、思わず頭をあげそうになる。横になってからのやりとりちゅう、わたしは何度か頭をあげる動作をしていて、もしかしたらやらかしてしまうかもしれない、と思い「麻酔のとき頭あげそうになったら押さえつけてください」とお願いしていたおかげで、案の定頭をあげそうになったときに何人かの看護師さんに頭をぐいーっと押されましたがありがとうございます。おかげで頭痛なかったです!

 しかしこの麻酔を打たれているあいだに、わたしはひとつ感動したことがありまして。

 治療や検査のとき恐怖で怯えていたら看護師さんが手を握ってくれました! とかいう話をたま~に聞く。わたしは都市伝説でしょ、と思ってました。でも今回、麻酔のときびびりまくっていたら、天海祐希似のかっこいい(女性です)看護師さんが手をぎゅっと握ってくれて、思わず握り返しちゃった、へへへ。でもおかげで我慢できました。そのおかげでちょっと気持ちが落ち着いたというかリラックスできたっていうか。もしわたしが石油王だったら後日金銀財宝もって「あのときはありがとうございました。結婚してください」っていいに行くかもしれない。

 とまぁ、感動しているあいだにちょっとずつ麻酔が効いてきて。ゆっくり仰向けに戻され……るとびりびりーっと紙服をやぶられ一気に全裸!!(パンツを脱がされたのが麻酔のときだったか、ここだったか、記憶があやふや)

 え、手術って全裸でやんの!?

 ってか、関係者は慣れてるかもしれんけど、いや、ちょっと待って。

 全裸って、がーん!!

 と、ここで麻酔について説明の書かれたプリントで麻酔されているひとの絵が全裸だったことを思い出す。

 そういうことか……。

 なんかもう、いっそ殺してくれ。

 いちおうこのあと、タオルとかかけてもらえたけど、なんつーか、キツい……。

 主治医が「これ感覚ある? 冷たさは感じるでしょ」とかいろいろ訊かれて、っていうか「つねってるけどわかる?」って、いま思うと他にないんかい? 別にいいけど。

 いっそ殺せ、とか思ってるわたしは置いてきぼりで次々進んでいく。

 そして手術がはじまる、んだけど看護師さんに

「大丈夫?」

 と訊かれて思わず

「怖いです……」

 と答えたら、主治医にいってくれて鎮静剤か軽い眠剤かなにかわからないけど点滴にイン! よし、よし、これで気づいたら終わってるはず……と、一瞬ぼぅっとするが、

「緊張や恐怖心が強いとあまり効かないかもしれない」

 とのこと。

 うん、効かない(泣)

 半身麻酔で手術するって聞いたとき、それって音とか聞こえるのでは? と思ったし医師も音は聞こえるからそれがちょっと怖いかもっていっていた。ホラーだって音で怖がらせるっていうのに、怖くないわけないだろうよ! 結局あんまり効かないまま、手術はすすんでいく。でも、もしかしたらまぁまぁ効いていたのかも。医師や看護師がなにか会話している声は音で聞こえていたけど内容まではよくわからなかったから。

 わたし以外はばたばたしている。みんななにしてるんだろう。

 っていうか、気づいたら周囲にいたはずの看護師さんがわたしの下半身方面に移動しちゃって誰もいないのちょっと寂しかったZO!

 たぶん30分くらい? もうちょっとかな。弱い生理痛のような感覚が現れて、主治医が

「なんか感覚ある?」

 と。ああ、そろそろ麻酔切れるのかなーと思いながら、

「引っ張られてるみたいな感じがしてちょっと生理痛みたいなのがある」

 と答える。

 この辺りで手術終了ー。

 すごい早業で術後の服を着せられストレッチゃーにのせられる。

 主治医はいつのまにか消えていた。どうやら母と弟のところに行って説明してたらしい。

 気づくと病室に戻っていて、点滴、心電図、血圧計、尿管、オムツという満身創痍なことになってた。てか尿管……。

 でも、終わった。

 手術、終わったー!!

 怖かった手術が終わって、やれやれ、と思ったけどこの夜が辛かった。

 頭をあげちゃダメだっていうし(横に向くのとか寝返りはok)、背中は辛いし(ずっと同じ体勢で寝てるから)、寝返りしたいけど尿管が気になってうまくできないし、それに生理痛のような痛みがじわじわ強くなってくるし、お腹減ってるし、喉乾くし、正直、手術より術後~翌朝までのほうがしんどかったかも。

 看護師さんが痛み止めいらない? 座薬いれられるよ? って来てくれたけど、「もうちょっと我慢します、水も飲みたいので」って断った。術後何時間かで、4時間後だったかな、で水分補給できるのでそう答えた。本心は、尿管入れられて子宮鏡で筋腫とって、これでケツまでなにかされたら下半身全制覇やん、ケツは死守させて! と思ってました。

 10時過ぎ頃に看護師さんがロキソニンもって来てくれた。

 あああ、助かった……

 ロキソニン、はじめて飲んだけど効くね。ありがたい。

 母は椅子に座ったままでうつらうつら。ベッド借りてるけど場所がないってか、置けるんだろうけど、看護師さんくるしな。なんか申し訳ない、こんなことになって。っていっても、自分じゃどうにもできないし。

 しんと静かな夜。台風はこないのかもしれない。

 そしてまだまだ夜は長い。

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