10.入院
とうとう来てしまった。
ただ一切はすぎてゆきます。by太宰治
大量出血で市立病院に行ってから1か月とちょっと、なんと時の流れの早いことか。
ああ、もう逃げたい、逃げたい、逃げたい、逃げたい。
入院と手術の緊張で朝から腹を壊す。
14時までに入院してくれとのことで、わたしはギリギリでいいと思っていたけれど身内がやたら早く自宅を出たがったので、到着したのが12時ちょい過ぎっていうね。
病院の売店で昼食をとるっていうけど、わたしはサンドイッチをちょっともらっただけ。緊張で食べられません。とほほ。
13時半、入院受付で受け付けすると「係りのものがくるのでお待ちください」と。周囲にわたし以外にも入院するひとが荷物を持って待っている。10分ほどすると年配の小柄な女性が迎えにきてくれた。「入院も手術もはじめてだから緊張してます」というと「みんな緊張するよね」と笑顔で励ましを受け少しだけほっとする。
部屋に案内される。4人部屋でふたつはカーテンがしまっていて、わたしが3人目。
「荷物をほどいてお待ちください。看護師が説明にきますので」
と、係りの女性は去っていった。
あー、本当に入院したんだー。手術するんだー。
と、窓の外の景色を見て思う。ぼーっとしていたら、栄養士さんだという女性が現れて挨拶する。アレルギーの確認だそう。非常に感じがよい。
次に看護師さんが現れ、あれこれ説明してくれる。書類とかもろもろ出され、なんかもうわちゃわちゃ。確かここでサインした同意書とか入院・手術用問診票を渡したような?(入院受付だったかも、ちょっと忘れてしまいました)
看護師さんがいうにはわたしの手術は前のひとの手術が終わってからになるので、15時~16時、もうちょっと遅れることもあるかも、とのこと。あと、お風呂に入れるのでよかったらどうぞ、と。時間割り表があって使いたい時間の枠に名前を書けばいいらしい。なんかやたらおすすめされるので、まぁ夏だし、からだだけ洗いに入ったけど本当は髪が洗いたいぜ。ここで持参の寝巻き(といってもTシャツと短パン)に変える。
16時過ぎ、付き添いできていた母と帰省中の弟は帰っていった。
ベッドの上で落ち着かないまま時が過ぎる。隣のベッドと前のベッドに入院しているひとがいるはずだがものすごく静か。寝てるのかなぁ。
17時45分頃に夕食を取りに来るようにというアナウンスが入る。と、そのタイミングで正面のベッドの方の家族がお見舞いにくる。どうやら術後で眠っていたよう。そうか、なんか音がすると思ったのは心電図か。
術後のひとがいるのにひとりでむしゃむしゃ飯食うの? と思ったらなんだか申し訳なくなったので配りはじめている(自分で取りに来られないひとがいるから一定時間過ぎたら配ってる)カートのところへ行って配膳している看護師さんに部屋の外で食べていいか訊くといいとのことで、外の見える待合室で食べることに。夕暮れの空がきれいー、って大型の台風来てるんじゃなかったか。
19時頃、もうないのでは?! と期待していた手術のための前処置とやらに呼ばれる。この前処置、内視鏡を子宮に入れるために子宮口を開いておくためのもので、激イタイ、との噂。医師も内診のときのわたしの痛がりように「座薬入れてしたほうがいいかも」とかいってた記憶。
ああ、いやだ。痛いのいやだってば、ほんと。
とぼとぼと内診室へ。
あー。
医師の顔を見て、そういえばこんなひとだった気するなぁ、と思い出す。
拷問椅子に座ると、医師が、
「なんとかかんとか子宮(何ていったか覚えてない)って聞いたことある?」
「え、知らないです」
「それだと腎臓が1個しかないひとがいるらしいから、ちょっと見せて」
といって左右の横腹ちょい上あがりをエコーで見られる。
ってかそれなに? ? ?
「あ、あるね、うん」
なんだろう。
とか不思議に思っていたら椅子をがーっと上げられたり下げられたり、ほんっっと恐怖。内診だって怖いのに、そんな痛い処置わたしには無理だよおおおお、と恐ろしさに変な汗をかく。
「あ、あー、出てきてるから処置しなくていいかも」
出てきてる?
「分娩になってるから、うん、いいわ」
どうやら筋腫が子宮から出そう? 出てきてる? 状態だと処置しないでいいらしい。
やったぜ、ラッキー!
よくやった、my筋腫!
って、筋腫のせいでこんなことになってるんだよな。
と、いうことで痛い処置はスルーできました。
あー、怖かった。
自分のベッドに戻る。やっぱり落ち着かない。本とかタブレットとか持ってきたから、なにか読もうかなーとか思うけど、ちょっとだけ読んであとはツイッターとか見てた。
20時前に看護師さんが下剤を持ってくる。21時頃飲んでくださいとのこと。
そして21時ちょい前、隣のひとがベッドライトを消したので、え、もう? と思いながらわたしも消しました。正面のひとはずっと消えてるし。
ああ、とうとう明日か。