第2話 おちつかない朝
「この土日私を探してごらん……………………
………………………………………………………………
……はっ!!!
・・・・・・・俺は目を覚ました、
昨日のサエの言葉が夢に出るほど気になっていたせいか、精神的にはそこまで寝ていなかったのかな。
だから魂が引き込まれるあの感覚がしなかった。
でも起きる前から微妙に意識ある事ってあるよね。
・・・それより今何時だろう?
俺はスマホで時刻を確認してみた、
4時30分!!!
サエ、もう起きてるのかな・・・
俺はさっとおにぎりを15個ほど作り、簡単な準備を終えると
ジャージに着替えダッシュで外へ駆け出した。
現在時刻4時53分、日の入りよりはまだ少し早いため
空は暗い。
・・・俺は外に来た、
なんでこんな時間に外に出るのかって?
俺の愛する人を探すためだ。
サエの謎に包まれし休日を
俺がこの目で確認するためだ!!
しかし何時から何時までどこを散歩してるのか
全くわからないため、完全に勘で行動するしかない。
サエを見つけるためなら一日中探す覚悟はある。
とりあえずサエを見つける手がかりになりそうな情報を
まとめてみよう。
俺が知ってる限りの情報だ。
1、サエは俺と同じこの町に住んでいて、この町の高校に通っているがサエは正確な家の位置を教えてくれない、
時々サエとどこかへ出かける事はあるが
家まで送ろうとするといきなり急に姿を消してしまうからだ。昨日もそうだった。
2、サエは歩きで通学している、自転車は持ってないらしい。
3、どうやらサエ以外では行けない場所を散歩してるらしい?これに関してはよくわからない。
4、綺麗な景色が見れるところに行っている。
こんなところだ、
ちなみに家がわからないので待ち伏せは不可能。
ただ散歩と言うくらいだから歩きだろうし
そこまで遠くには行かないだろう、
探してみなよと言うくらいだからその気になれば見つけられる場所にいるはず。
思い当たる場所が一つあるから
あの場所へ行ってみるか。
・・現在時刻5時12分、高校の前に到着した、
もちろん門は開いてないので勝手に入る、行くぜ!!
門を登ると俺はまたがりそこから飛び降りた。
よし、侵入成功!!
面倒なので靴を履き替えず目的の場所へ向かう、
得意の二段飛ばし階段ダッシュで俺は駆け上った。
俺がどこへ向かってるかわかった?
屋上だぜ。
うちの高校の屋上は中々入れないし
景色が良い(と思う)からね。
あ、もうすぐつきそう。
「・・・・・・・」
俺は屋上に着くと言葉を失った
だって屋上のドアにこんなメモが貼ってあったから。
(キミならここにクるとオモったょ
でもザンネン、ほら×4
もっとがんばるんだ
あとこのメモはカイシュウしたまえ
ホカのヒトにミられたらはずかしいし)
間違いない、漢字を使ってないし字のバランスがガタガタで「よ」が異常なほど小さい。
典型的なめんどくさがりの字だ。
こんな変な字を書くのはサエしかいない。
言葉使いもサエっぽいし。
それにここへ来る事はバレバレだったようだ…
なんか俺見透かされてる?
そいえば昨日の帰り、町についた途端に
「今日はここまででいいよ、
明日、ちゃんと私を探してね。」
と耳元で小さく囁き、
後ろを振り向くと姿はなかった。
相変わらずすごい逃げ足だよ。
あの後にメモを仕掛けに行ったんだろうか。
サエの事だしメモを他の場所にも仕掛けてそうだなぁ。
俺はメモを剥がしてショルダーバッグにしまうと
そそくさと学校を脱出した。
でも授業以外でなんとなく学校来るのって
ちょっと楽しくない?
日がだいぶ登ってきた、現在時刻5時30分、
今度はちょっとした思い出がいくつかある
あそこに行くとするか。
5時45分、俺は土手に着いた、やったぜ。
河の水は太陽の光でキラキラ光っていて、
一人のガタイの良い男が河に足を突っ込んで空手の稽古をしていた。
俺は走って階段を降りて
河の側にあるベンチに座ると
弁当箱をショルダーバッグから取り出した。
フタを開けると家で作ったおにぎりが15個入っている、
全て塩にぎりだぜ。
ようやく男はこちらに気づいたようだ。
「拝島・・久々だな、お前がここに来るなんて。」
鮫洲はびっしゃびしゃに濡れた道着の上を脱ぎ、
草の上で絞ってその辺の枝に引っ掛けた後、俺の隣に座ってきた。
だがしばらくの間お互いに何もせず、ただ黙って河の向こうに見える景色を眺めていた。
俺がおにぎりを取り出すと、
鮫洲の方から話しかけて来た。
「久しぶりだな、お前がここに来るの。」
「ちょっと用事があって散歩しててよ、
つい久しぶりにお前に会いたくて来ちまった、うふ。」
「なあ、それ一つくれや。」
取り出した塩にぎりを鮫洲に渡した。
「ふぅ・・・・・」
「・・・・・・・」
鮫洲はラップを外すと、
「いただきます」と一言添えて食べだした。
食べ終わるまでそれ以上何も言わなかった。
鮫洲は30秒ほどで食べ終わると、
「ごちそうさま。」
「あ、おい待てよ、昨日久々に会って思ったんだが、
お前以前より痩せてるぞ、
遠慮しないでもっと食べなよ、ほらほらほらほら」
俺は鮫洲のデカイ膝におにぎりを、つい4個置いた。
「・・・お前が言うなら、いただきます。」
今度は15秒で全部食べてしまった。
本当に遠慮していたようだ。
「ごちそうさま。あ〜、すっきりした!!
やっぱ美味いなぁお前の塩にぎり!!!」
「お前、まだ朝練やってたんだな。」
「ま、まあな!空手は俺の青春だからな!」
「そうだな・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・あぁ、大丈夫だって、
この傷のことは気にすんなよ。」
「あ、ごめん。」
「謝らなくていいぞ。」
どうやら俺は鮫洲の左頬に刻まれた
縦4本の傷を無意識に見てしまっていたみたいだ。
「実はさ、聞きたいことがあるんだ。
この町で綺麗な景色が見えるけど行けない場所って
どこだと思う?」
「えーと、うーーん・・・・」
鮫洲は少し考え込んだが、
答えてくれるまでそう時間はかからなかった。
「あそこにあるアレとか?」
鮫洲は河の向こうに見える山に建っている電波塔を指差した。
「電波塔って高いから町を見下ろせるし、
関係者以外は入れないし。」
「そいえば!!あぁ!!!思い出した!!!!」
「??何を??」
「すまん、俺ちょっと行って来る!」
「ん?あ、おう。気をつけろよ。」
俺は鮫洲と土手を後にした。
「………………………あいつ……」
時刻は7時21分、電波塔に着いた。
電波塔の麓のフェンスには鍵のかかった出入口と
立ち入り禁止の看板しかなかった。
看板にはメモを貼っていないようだ。
これがどういうことか、
おそらく塔を登れということだろう。※
俺の覚悟を試しているんだ。
俺はフェンスをよじ登るとまたがりそのまま飛び降り、
ハシゴを使って塔の一番上を目指した。※
「うほぉぉぉ!!」
しまった、つい変な声を出してしまった。
だって最上階からの景色がめっちゃ良かったからだ、
山までは大して苦労はなかったが、
山の中に建っているせいで探すのが大変だった。
山の中に道はあったが舗装されてるものじゃなく
人が通って行くうちにできた獣道で、
あまりに細々しく途中で他の道に行ったり、
道を見失って本気で混乱してしまった。
ささやかな苦労ではあるが
そんな小さな困難でも乗り越えると嬉しいものよ。
その苦労が故に町を見下ろすこの景色。
朝日に照らされる見慣れた町を
新たな角度から見る感覚がたまらなかった。
それに柵にメモがガムテープで貼ってあったし、
やっぱりメモは複数枚用意してあるみたい。
俺はメモを剥がして内容を読んでみる。
(ヒントなしでよくわかったね、グッゾブ
あと2枚あるから頑張ってね。(6v6)
え、これだけ?
どうやら次のヒントもないようだ、
強いて言うなら顔文字が添えてある。
というかこのメモ集めると何か良いことでもあるのかな?
あと2枚なら意外と行けそう。
ちなみにグッゾブはおそらくグッジョブの事だと思われる。
サエは英語があまり得意じゃないからね。
とりあえずここで考えてもしょうがないので
俺は塔を降りた。
※注意※
電波塔を許可なく登るのは犯罪です、
事故などのトラブルになり得ますので
絶対に真似しないでください。
現在時刻7時55分、
山から降りた俺は次に行く場所を考えていた。
俺に行けなくてサエは行ける場所ってどこだ?
なんだよ、サエは特殊な力でも持ってるのかよ。
枝の束を軽々とへし折る怪力の持ち主ではあるけど
怪力と景色になんの関連性があるんだ。
すごい力があるだけだろ。
・・・ん?
すごい力・・・?
すごい力といえば・・神だ。
あ!!神社!!!
そいえばこの町には山に建っている神社があるぞ!!!
よっしゃ!神社に向かおう!!!
え?根拠がおかしいって?
実は根拠はもう一つある、
サエのカバンに大量についていたストラップの中に
お守りも付いているんだよ。
これはもう決定的だよね。
少しでも手がかりがあるなら行くしかないでしょ?
そうして俺は神社に向かった。
「はぁ…はぁ…きっつ……」
さっきの山からこの神社までランニングで来たからめちゃくちゃ疲れてしまった。
口の中が変な味するし喉の奥に砂が引っかかってる感触がある・・・わかるかな?
山の上にあるため階段が長く、
一段飛ばしで走って来たからもうクタクタ・・
ここまでの道にもサエはいなかった、
どこで飛ばしてるのかはわからなかったが
季節外れの凧揚げを見たくらい。
おっと忘れてた、現在時刻は8時15分くらいだよ。
「うっ・・・」
やばい…少し吐きそうだわ……
だけどこの苦労も報われた、
この神社から見える景色がすごく綺麗なのだ。
木と木の間から大きく広々と町が見下ろされる、
すぐ近くの川には反射された陸が映っており
周辺の山が自然に覆われたこの町を神秘的に囲んでいる、地元が大嫌いだなんて人もいるが、俺は自分の町がこんなに綺麗で幸せだね。
それに神社のご神木にサエのメモが
ガムテープでこっそり貼ってあった。
※バチ当たりなのでやめましょう
メモにはこう記載されている。
(どうだ、なかなかキレイだろーー?
しかしなぜここがわかったのかな?
もしかしておまもりを見てたのかな?
後ろの方に付けてるのによく知ってるね?
すこし見すぎじゃない?(`°3°)
次のメモが最後だよ!
見つけることができれば
キミにプレゼントがある)
いや、べ、別に…そんなに見てねーし!!
ちょっと何をつけてるのか気になっただけだし!
というか相変わらず最後もヒントなしか…
今回のメモは簡単な漢字はちゃんと漢字にして書いてあった、今回の場所は不法侵入じゃないからゆとりを持って書いたのかな。
・・・てかプレゼント!!??
は!!??何いきなり!!??
ふぅ…呼吸もだいぶ落ち着いて来た、
ここらでご飯としよう。
・・・あれ?
ショルダーバッグをいくらあさっても弁当箱が見つからない。
どういう事だ…
〜3時間前〜
俺は河の側にあるベンチに座ると
弁当箱をショルダーバッグから取り出した。
「お前以前より痩せてるぞ、
遠慮しないでもっと食べなよ、ほらほらほらほら」
俺は鮫洲のデカイ膝におにぎりを、つい4個置いた。
俺 は 鮫 洲 と 土 手 を 後 に し た 。
〜現在〜
うおおおおおおおお!!!!
しまった!!弁当箱を土手に忘れて来た!!!
やばい…多分この時間は鮫洲は土手にいないぞ…
俺も一緒に特訓してた頃は
この時間帯はランニングをしていた。
あの時と変わってなければきっとランニング中だ!!!
はぁ…また走らなきゃダメなの……
それにランニングコースは俺達で見つけた穴場だから
少し遠いんだよなぁ。
ここは一旦帰って自転車を取りに行くか。
家へ向かう途中
帰り道に土手があるので寄ってみたが
やはり鮫洲の姿も弁当箱も無かった。
現在時刻8時30分!
村へ続く山道を全力疾走中だ!!
俺達のランニングコースというのは
村の方にあるんだよね。
そうそう、
実はこの山道から見える山脈の景色も
なかなか美しいんだよなぁ。
朝の山の景色というのは素晴らしい。
涼しさとスッキリとした日の光が
緑を引き立てている。
ああ、なんていい景色だ・・
・・景色に見惚れた俺は
前を歩いている人に気づかなかった!
「ギャアァァァァァ!!」
「うおおっ!!ごめん!!」
俺はなんとかギリギリ避けられた。
ぶつかりそうになったのは
同い年くらいの女の子だった。
でっかいバックパック背負い
ジャンパーを着た眼鏡っ娘。
髪はボサボサで肩につかないくらい
短かった。
バックパックははちきれそうで
杖がはみ出てたりコンパスが
くっついていたりしている。
今流行りの山ガールかな?
「もお!!気をつけなさいよ!!」
「ほんとごめん!!」
ひえぇ……
目つきが怖いのでそそくさと
その場から逃げた。
あいつの顔、どこかで見た事あるような…
現在時刻8時39分
なんだなんだ長い山道を越え
村の一本道を走行中だ。
おっ。
サエがベキベキにへし折ってできた道を
今ちょうど通り過ぎた。
ランニングコースの入り口は
もう少し先だよ。
そうさ、ランニングコースは
村にあるぜ。
俺達だけの秘密のランニングコースだ。
よかった、鮫洲の居場所はランニングコースで合っていたようだ、入り口の前に鮫洲の自転車が停めてある。自転車のカゴには何も入っていない。
ここはぱっと見中に何も見えないし
他人がいるところも見たことない、
穴場のランニングコースだ。
入り口は木で無理やり隠されているように見える。
俺は自転車を鮫洲の自転車の隣に停め
ランニングコースに入った。
ここの道晴れてる日はすごく綺麗なんだよね。
明るい緑が一面に広がっているんだ。
入ってすぐのところに平べったい岩がある、
そこに置いてある石の数で何往復したか記録してあるのでそれを見れば鮫洲が何往復したのか確認できる。
・・・あれ?
石が置いてない・・
どういうことだろう・・・
まあ一本道だし奥まで進めばわかるだろう。
一本道だし走らなくていいよね。
・・・・・・
あれ・・この道こんなに長かったっけ・・
歩いてるからかな・・・
実はこの道、
道の幅にロープに巻かれた丸太やら
何かの材料が結構置きっぱにしてある。
多分ハイキングコースを作る予定が
狂ったんだろう。
だからほっとかれているんじゃないかな。
舗装されていてすごく歩きやすい。
・・ちょっとバテてきたなぁ・・・
あれ・・もう9時すぎか・・・・
あぁ・・この川今も渡れるかな・・
川を濡れずに渡るには
水から頭をはみ出している石を2つ伝ってジャンプして行くしかない。
少し幅が広くてね。
川を飛び越えるのもランニングの一環だ。
よし・・行くぞっっっ!!
「ハァァァァっっっ!!」
よっしゃ!!!
この調子で・・
「ハァァァァ!!!
っっっっっ!!!」
バシャァァァァァ!!!!
15分後
「もっしゃもっしゃもっしゃ・・・」
「・・・・・・・・・」
「もしゃっもしゃっもっしゃ」
「・・・・・・・・・!!」
「もしゃもしゃっっ…ごくんっ!」
「うおおおおおおおいいい!!」
「・・・お?」
「俺の弁当全部食うなぁぁぁ!!」
「ごめんごめん!!美味しくてつい……」
「はぁ・・・」
「それによ、俺からも言わせてもらうが、
拝島、お前少し太ったぞ。
運動してないならたまには抑えろよ。」
脳筋の鮫洲に言われたくないわ。
「うるせぇ!!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ごちそうさまでした。」
「・・・どういたしまして。」
「箱は洗って返すからさ。」
「あいよ。」
「・・・・・・・・・」
「ごめんな、鮫洲。」
「な、何がだよ。」
「お前、俺が部活やめて寂しいんだろ?」
「それだけじゃねぇ、
3人で修行できなくて寂しいんだよ。」
「・・・あっ・・そうか・・・
お前は黄昏るためにここにきてたんだな、
だから岩に石が置いてなかったわけだ。」
「お前と久々に話したらよ、
修行って気分じゃなくなっちまった・・」
「すまん・・一つ言っていいか・・・」
「なんだよ。」
「私服ダサすぎ!!!」
「なんだと!?」
鮫洲の私服は
赤いタートルネックのセーターに
黄色のスカジャン。
ズボンはダメージジーンズの長ズボンだ。
筋肉質な鮫洲にはとても似合わない。
「そいえばお前と学校や特訓以外で会うことは
あまりなかったもんな!!
多分私服初めて見たよ!!」
「びしょ濡れのジャージ姿に
おまけに常にカチューシャ付けてる
お前に言われたくないわ。」
そいえば俺ジャージだったわ。
「このカチューシャは
ばあちゃんのお手製だ!!
悪く言うんじゃねぇ!!」
俺はどこに行くにもカチューシャをしている、
学校だろうとね。
読者のキミにはまだ言ってなかったかな?
「まあそれはともかくよ、
お前が部活やめたとしても
俺達の友情と、
この丘から見える景色は
変わらない事を
俺は信じてるからな。」
「・・・そうだな。」
「俺はそろそろ帰るけど、
お前はどうする?」
「俺はもう少しここにいるわ。」
「そうか、またな!!
帰りは石に足滑らすなよ。」
「おう、じゃーな。」
おかしい、
実はここに辿り着いてから
違和感があった。
コースの一番奥の頂上には
何か書く予定だったのか、
四角く加工した木が縦にぶっ刺さっている。
そこにメモが貼ってあったんだ。
だから俺は一人で残ることにした。
鮫洲は気づいていたのかな?
やっぱりガムテープで貼ってある。
(おめでとうレイア!!
ここまで辿り着いた君には
プレゼントをあげよう!!
後ろの林に隠してある
トランクを開けてみたまえー)
やっぱサエの字だ・・
確かにここの景色も悪くない。
鮫洲なんてこの景色を見ながら3人で俺の塩にぎりを食べるのが大好きだったしな。
だけどどうしてこのランニングコースを知っているんだろう。
ここは3人だけの秘密のはずだ。
ここの入り口もじっくり調べないと
気づかないほどわかりづらい。
まあとりあえず全てのメモが
回収できてよかった。
俺は林の中からトランクを取り出した。
あれ!?
ダイヤルでロックされている・・
暗証番号なんてわからないぞ・・・
サエの誕生日かな?
そいえばサエは
誕生日も教えてくれたことないや…
あ!もしかしたら
今まで集めたメモにヒントがあるかもしれない!
俺は集めた4枚のメモを見返してみた。
・・・・・あ!
4枚目以外のメモには
数字が書いてあることに気づいた。
1枚目には4(ほら×4)
2枚目には6が二つ(6v6)
3枚目には3(`°3°)
つまり暗証番号は4663だろうか。
カチャッ
よかった、合っていたみたいだ。
俺は謎解きとか苦手だから助かったよ…
はぁぁ….愛しのサエ様からの
プレゼントってなんだろう・・
キィィィィ・・・
ん?なんだこれ。
ネックレス・・だろうか。
中から出てきたのは宝石のようなものに
ヒモが括り付けてあるものだった。
宝石のようなものは横長のひし形で
緑色に輝いていた。
ヒモも高級感のある銀色で
すごくひんやりとしている。
宝石みたいなのの中には
機械の基盤のようなものが見えた。
よくわかんないけどサエがくれたものだ、
ありがたく受け取るとしよう。
さて、現在時刻9時45分、
そろそろ俺も帰ろうかな。
帰り道
このネックレス気に入った!!
すごくいい!!
俺に似合ってる気がする。
うーーん・・だけど、
なんかメモを全て集めて
プレゼントをもらって満足してたけど。
サエの姿は結局見つからなかったな・・
・・・・・
・・・・やばい。
ずぶ濡れジャージ姿だからか、
道行く人の視線が痛い・・・
鮫洲の私服姿よりはマシだと思うけどなぁ・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私服か・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
サエの私服姿、見たことないなぁ。
よし!!自転車置いて着替えて
ご飯食べたら捜索再開だ!!!!
しかし、その日はサエを見つけることが
できなかった。