99=〈期間限定〉
☆ ★ ☆ (22)
午前中は色んな話しが飛び交いシンシア様のお出かけの警護とが、午後からは順番に剣の訓練にも参加しているので、私もいろいろと忙しい毎日を送っていたが、最近はマーリストン様にも会うこともなくカーラの上でも話していない。
マーリストン様を見かけると心の言葉で話しかけてみようかと思っていたけど、その機会もなかなか訪れない。
この編み紐を持っている人たちは何人ぐらいいるのかしら、バルソン様が管理している編み紐の制度は、この城を守っている重要なポジションだと思い、私の考えた女の編み紐のシステムを作り上げ、この時代に存在させてもいいのだろうか。
土色や黄色の編み紐を持っている人は、上の編み紐の下に付けられているような気がして、青の編み紐を持っている人は、色んな市場の管理をしているようだ。
緑の編み紐に合格するとこの城に呼び戻され、赤の編紐を持っている人は重要なポストに就いているような気がし、今までの私の情報はそれくらいしか知らない。ここでの決まり事がたくさんあるとは聞いていたが、私の立場でどこまで知ることができるのだろうか。
そのまま知らずに勝手に作っていいのだろうか。私のことを飛び跳ねていると言われるのだろうか。また皆を驚かせてしまうのだろうか。そういうことをすれば、今後の歴史が変わらないのだろうか。
やはり、ソーシャルの知っている情報を聞かなくては、この時代に考えられるようなシステムにしなくては、と考えながらストレッチをし、今日もまた一日が始まろうとしていた。
☆ ★ ☆
私はルーシーからラデン様の話しを聞いた、と今朝報告を受けて驚いてしまったが、昨夜の内に話し合った以外は考えられず、この城の中に二人だけの秘密の場所を作ったのかな、そこまでは聞いていないし、さすが聞けないよね。
ルーシーは彼の子供たちの話しを聞いても彼のことが好きだと話してくれ、私もホッとしたけど、ラデン様が私に直接話すと言ったので聞いてほしいとも言われたので、明日時間を作って聞くと伝えた。
そういう話しをルーシーと朝食を食べながら心の言葉で会話をして、マーヤと三人で静かに食事を済ませ、私たちはシンシア様の部屋へ向かった。
シンシア様から今朝聞いた話しでは、六月十五日の男女統合訓練の参加許可がバルソン様から出たそうだ。私が直接彼バルソン様に話したことではないのに、王様とドーラン様しか知らない情報なのに、もう許可が出たなんて早すぎないだろうか。
私が王様と色んなことを話したときに『報告は受けていない』と話していたので、横のつながりもあり、色んな立場の情報システムがこの城には存在していると思う。
明日の夕方までにバルソン様と連絡が付くと四人で外で会うことができるけどな。マーリストン様とバルソン様が一緒にシンシア様の部屋へ来たので、バルソン様と庭に出て少しその旨を伝えた。
ルーシーに明日は部屋の予約をしてあるので、その時にそしてバルソン様が来る前に、私はラデン様にその話しを聞くと伝えた。
『ケルトン、聞こえますか』
『リリア様、聞こえています』
『ケルトン、明日は午後からラデン様に用事を言いつけて外に出して、バルソン様と四人で会いたいからね。よろしくね』
『リリア様、分かりました。夕方から出かける話しは聞いていました。これは便利ですね。トントンに聞きました』
『ケルトン、ほんとうね。急で悪いけどよろしくね』
私たちは初めて心の言葉で話すことができ、まったく持って便利な機能であると思った。ソーシャルも早く教えてくれればよかったのに、私がラデン様とルーシーのことで聞かなければ教えてくれなかったのかしら、とか思ってしまったけど、私がマーリストン様と二人で話せることは、ラデン様とルーシーにはもちろん秘密である。
最近は色んな事実を知ることができ、毎日たくさんの考えが頭の中を駆け巡り、私はほんとうに疲れが溜まっているようだ。
私が城の外で話したいときにはマーヤにお願いして、ゴードン様の屋敷にいるホーリーに『いつもの場所をお願いします』と連絡をさせると、彼が次の日の午後から部屋の予約を入れ一緒に支払いも済ませてくれる。
今後はソーシャルから子供たちに伝えてもらいたいけど、何か起こったときには人を動かさないと私の城での立場がなくなる。身の潔白を立証する必要性があると自分の身の安全を考えているけど、考えすぎなのだろうか。
私にはソーシャルの存在はとても心強いけど、この城に関することでは自分が動かなくてはいけない。ソーシャルと会話ができることはマーリストン様とゴードン様しか知らないのだ。
ミーネ様はソードのことを一度も口にしていないとゴードン様から聞いており、ゴードン様とミーネ様には子供たちが三ヶ月目を迎えたころに、お守りだと言って右手と左足にブレスを付け、半年後には会話のことを教え、いずれ子供たちが三人で話すことができると説明してある。
コーミンは何も知らないので子供たちの会話が不自然だと思うだろうな。子供たちに大きな出来事が起こらない限りは知るすべがない。それはゴードン様とミーネ様がフォローしてくれると信じている。
ソーシャルが事細かに私に話してくれるとは思わないが、子供たちのことを聞くにも時間が少ないので子育ては三人に任せるしかない。これからはどうしたらいいのだろうか。不安が募るばかりだ。
☆ ★ ☆ (23)
バルソン様の予定を聞くと、ラデン様とルーシーを会わせようと思っていた今夜に、うまい具合に彼の時間が取れ、私たちは会うことが決まった。
バルソン様が来る前に、ルーシーの目の前でラデン様から話しを聞くことになり、私が最初に話した方がいいと言った言葉をルーシーから聞いたそうで、私がすべて知っていたと彼はほんとうのことを話したと言われる。
私はラデン様の話しをずっと聞いているが、ルーシーは心の言葉では何も言わず、ラデン様から何も話さないように、と言われたのだろうか。
『ルーシー、シガール様でなくて他の人にお願いしてもいいのよ』
『リリア様、私はラデン様の子供たちを見たいです。可愛いと思います。ラデン様は私のことは話さないと約束してくれたので、私はアーリス様にも会ってみたいです。私が会っても話しをすることはできません。リリア様が話したことを聞き、私の気持ちをラデン様に伝えます』
『ルーシー、分かりました』
私には分かりましたとしか言えないけど、彼女が自分で納得したように話してくれたので、これ以上の言葉は話せない。男女の問題は周りでどう思われようとも、当事者の二人にしか分からないことで、私が口を挟むことではない。難しいよな。
『リリア様、ラデン様には話していませんが、彼が私に伝えてないと思い、私に話すように女の編み紐をシガール様に作っていただくように考えたのですね。私はそう思いました』
『ルーシー、その意味を理解できるとはさすがですね。サガート様は信頼できそうなので、それだけではなくて半々の意味があると考えてください。そうは言っても、ルーシーの気持ちの方が勝っていましたね。向こうは向こうで、こちらはこちらと考えてください。お互いの気持ちの問題です。私はお互いに仲よくしたいと正室と側室の話しを前に話したでしょう?』
私はそう説明したけど、リズと話したいとかほかの予定もあるが、これは直接向こうに行ってからの現状で考えようと思っていた。例えの言葉が見つからなくて、ついセミル様とシンシア様の話しになってしまい、この時代では強ち間違えではないと思う。
『リリア様、私はそのことも考えました。それ以前のことを思い出しても、リリア様の言葉は何かしら意味を持たれていると考えられるようになりました』
彼女はそう説明してくれたから、さすが私の側近であると思い、これって王様が話した、言葉の奥に隠れていることをはっきりという人と、それを考えてもらいたいと思っている人と、の後半部分じゃないのよ。あの時、王様は私の話し方を前半部分だと言ったのよね。私の考え方は隠し事のせいで段々と変わてきたようだ思える。参ったな。
「ありがとうございます。私はルーシーを信じているからね」
しばらく二人で会話をしたので、今度は普通に口から言葉を発する。
「大事な話しをお二人でされているのですか。聞こえないのが残念ですね」
ラデン様そう言ったけど、私たちがお互いに見つめ合って話していたからな。私にも二人の声が聞こえないと思われているので、そのことがとても辛いのよね。
「私とルーシーの信頼関係の話しです。シンシア様と同じくらいに彼女とは友達です。マーシーは剣の勝ち抜き戦まで私の存在は知りませんでした。皆さまが言うようにすべて私の不思議からです」
私は不思議の言葉を使いそう説明をする。私にはそれ以外の話しができないし、隠すというよりも『嘘』という言葉が私の心を傷つけている。今までもそうやって生きてきたので、これからもずっとそうしなくてはいけないことが、今後の私に耐えられるのであろうか。
一生続くわけではないので子供たちのために耐えてみせる。子供たちが自分である程度は理解できるようになるまで、期間を後十年と限定して頑張る。期間を決めればそれを目指せばいいことであり、今まで八年間も過ぎ去ったのだから大丈夫だ、と無理くりに言い聞かせていた。
「なるほど。それでシンシア様がルーシーを付けてくれたのですね。私もそのくらい深い信頼関係をルーシーと築きたいですね」
彼がそう言ったから、短時間で築けているんじゃないの、私はそう信じたいけどな、と心の中で呟く。
「私も好きな人がいますが信頼関係はあると思います。私はその人を信じているので、お互いに相手を信じることがいちばんですね」と、私が二人を交互に見てからそう言うと、
「ほんとうにリリア様は好きな人がいらっしゃるのですか」
彼から確認するかのように聞かれたので、
「いずれ分かると思います」
『ラデン様、リリア様はそのうちに、私たちに教えてくれると言っていますよ』
「リリア様の言葉の意味をルーシーに説明してもらいました」
「さすがですね。ルーシーは私のいちばんの側近者ですからね。彼女の言葉に間違いはないと思います」
私はそう言って、ルーシーに対する自分の正直な気持ちを表したつもりだ。彼には私の言葉の意味が理解できるだろうか。それこそ王様が言い放した裏の言葉である。私の性格が曲がってきたかもしれないな。参ったな。
私たちは三人で特別な仕事のことも話し合い、私たちの不思議は隠さなくてはいけないので、とっさの判断でお互いに危険を避けた方がいいと結論づけ、前もって考えるよりもその場で対応することにした。
ソーシャルもいるし、私たちにはその対応能力があると思う。以前アートクの市場で私がこそ泥を捕まえたことと同じだな。今日はそのことをバルソン様に話して、彼の位置づけを考えてもらおう。他の人が分からなくてもバルソン様が理解していればいいことだ。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。




