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☆★ リリアと『ソードの伝承』 ★☆  作者: Jupi・mama
第三章 『出会いから、八年ほど過ぎて……』
78/165

78=〈各々の会話〉 (2)

やや長文です。

 ☆★☆『リリアとバルソン様とバミス様』(46)


 バルソン様がこの前と同じように部屋を用意してくれると言うことで、バミスと三人で会うことが決まったので、私はシンシア様にお願いして、いつも通りにゴードン様の屋敷に戻る許可をいただいたけど、彼女はバルソン様から話しを聞いていたみたいで、翌日の昼過ぎに戻ればいいと話しをしてくれ、そばの者もその話しを聞いていたようだ。


 私が入り口を開けると、二人が同時に振り向いたので『遅くなりました』とそう言って部屋の中に入る。


「私たちも先ほど別々に来ました。リリア様はバミスの隣に座ってください」


 バルソン様は私と視線が合うとそう言ったけど、バミスとは一瞬視線が合ったけど()らされてしまう。


「はい。ありがとうございます」

「少しは城には慣れましたか」

「何とか慣れたと思いますが、色んな人がいますので名前と顔を覚えるのが大変ですね。ルーシーやマーヤに確認しています」


 私がそう言いながら、半分ほど椅子に座っていたお尻の部分をいちばん奥まで深くずらす。


「少しずつ覚えればいいと思います。バミスはまだ城には入れません。私が二人に話しがあるのでこの場所を考えました。私はリリア様にお話ししてないことがあるので、今からそれを話そうと思います。バミスにはこの前シー……いや私の屋敷で話しました。マーリストン様のそばにいるシューマンのことです」

「えっ、シューマンのことですか」


 私は驚いてそう言ったけど、彼の息子であることを教えてくれるのだろうか。それとも彼が何かしでかしたのか、と私の思考は一瞬走る。


「私はシンシア様の屋敷は跡取りがいないので、シューマンはいかがかと思いまして、シンシア様にお話ししました。バミスからシューマンは剣客になりつつあると聞きましたから、私の配下にして編み紐を取らせようと思います。この編み紐は剣が強いだけでは許可しません。心身ともに優れた者だけが適用されます。それは私自身が判断します。バミスがシューマンを推薦したので、今度の試合に出させようと思います」


 バルソン様はそう説明してくれたから、私の思惑と違っていたのですぐさまよかったと思う。


「私は知りませんでした。この編み紐はそういうことになっているのですね」

「はい。王様をそばで守るには、城の決まり事も理解しなくてはいけません。マーリストン様とシューマンは一緒に学んでもらいたいと思います」

「それを教えてくれる場所がこの城には存在するのですね」

「この城の中ではありません。それはこの城に入らなくては意味がありません。私はリリア様には今までお話ししていませんでしたが、この城では決まり事がたくさんあります。立場によって違ってきます。シューマンは私の配下として彼を守らせます」


「……なるほど。バルソン様はそのようなことを考えていたのですか」

「私はシンシア様に、彼はアートクの市場の西側にあるステッチンの市場の近くに住んでいたと話しました。こちらの知り合いの家に滞在して剣の勝ち抜き戦に参加したので、ラデンに確認させたと話しました。そして、シューマンはサーガンの屋敷の次男だと説明しました」

「それはほんとうのことですか」

 私が彼の瞳の中を確認するかのように見つめてそう言うと、

「バミス、リリア様には隠さないで話そうと思う。そのことで何か起これば私が責任を取る。バミスは何も話すな。分かったな」

 彼はバミスを見てからそう言う。


「はい。リリア様は誰にも話さないと思います」

 バミス様がそう言ったから、バルミンの存在の話しだと確信する。


「分かった。リリア様、シンシア様にはシューマンのことをそのように説明しましたが、周りの者にもシューマンのことはそれで通そうと思います。そしてもう一つ大事なお話しがあります」

「シューマンがバルソン様の息子ということですか」


 私の頭の中がシューマンとバルミンのことで充満していたから、私の方が先にそう言ってしまう。参ったな。


「……そこまでご存じでしたか。実はそれだけではありません。シューマンのほんとうの名前はバルミンと言って私の息子ですが、実はシンシア様の王子なのです」

「うそっ、私は気づきませんでしたが……双子なのですか」


 私はほんとうにビックリそう言ったけど、自分の声が余韻として大きく聞こえてしまう。


 彼の息子の話しを聞いても知っていたから、私はこんに驚かなかったかもしれないけど、双子の言葉を聞いたので、私の思考が停止したように自分の脳みそが障害を感知してしまったようだ。


「……リストン様とリンリン様と同じです。リリア様の話しを聞いたときは驚きました」

「シンシア様は何も話してくれませんでしたよ」


 私はそう言ったものの、そういうことは話せないよね。私だって子供たちのことは他人様には話せないものね。


「シンシア様は私の次男であることは知っています。今まで一度も会わせたことはありません。私とシンシア様しか知らなかったことです。偶然バミスが知ってしまい、私たちは隠していました。それで、バミスに口止めして剣を教えさせました。バルミンはこの事実を知りません。バルミンにも私のことは話さないようにきつく言いました。シンシア様がバルミンに会いたいと言われ、今度の祝賀会に私の子供として参加させてほしいと言われました。剣の修行に出たので後一年ほどは家にはいないと説明しました」


 彼はやや苦しそうな顔つきでそう説明してくれる。


「分かりました。シンシア様はバルミンの名前は知っているけど、彼がシューマンの名前だとは知らないのですね。バルミンはシンシア様のことを何も知らないということですね。もちろんマーリストン様も双子のことは知らないのですね」

 私が自分自信に確認しているかのごとくそう言うと、

「はい。二人は何も知らないということです」


「……私は……シンシア様だけにはシューマンがバルミンであることはお知らせした方がいいと思います。でも、二人には双子の事実は知らせない方がいいと思います。二人はいつもそばにいますから、シンシア様も話す機会ができると思います。私が話せる機会を作ります」


 私は彼女の気持ちを考えると、当然のことだと思いそう言ってしまう。シューマンの存在は私が考えた以上に紛らわしいことだった。


「……シンシア様からそのことを話されたので会わせたい気持ちもありますが、実はどうしたらいいか悩んでいました。バミスにも私の気持ちは話していませんが、リリア様が何か解決策を講じてくれると少々期待しています。私もシンシア様の気持ちが理解できて辛かったです。私たちはまたリリア様に助けてもらうことになりますね。ほんとうにありがとうございます。バミスもそう思わないか」

「はい。私もシンシア様に会っていただきたいと思っていました」

「そうか、バミスもそう思っていたのか」

「はい」

「私は祝賀会が終わってから話した方がいいと思います。シンシア様が祝賀会でシューマンをずっと見ていると、周りの者が変に思うかもしれません。人間の視線は何かしら意味あるものだと思います。ほかの者が何かしら感じるかもしれません」

「確かにそうですね。私よりリリア様が彼女の近くにいますので、そのようにお願いできますか」

「私はシンシア様がバルミン様にお会いするなら、バルソン様の息子としてシンシア様の屋敷にお入れしてもいいと思いますが、いかがですか」


 バミス様は珍しく自分の意見を言ったようだと思い、三人で話していても彼はいつも静かに聞いているだけで、会話に参加しないのよね。おしゃべりな私と違い、大人として自分の立場をよく理解しているのよね。


「そうですよね。シンシア様に会っていただくならその方がいいです。シンシア様に会わせないのなら、バルソン様が説明したことの方がいいと思いますが」

「なるほど。私の息子としてシンシア様の屋敷に入ることにするのですね」

「身元がはっきりしてその方がいいと思います。それではバルソン様の立場がなくなりますか。私はそこの所が分かりません」


 私は養子に入るという言葉がここでは存在しているのか分からないし、自分の立場という古風的な考えがここでは存在していそうで、そう聞いてしまう。


「それはありません。それは考えられることです。私の次男としてシシンシア様の屋敷に入れればいいのですね。そうすればシンシア様にバルミンを会わせてもいいということですね。今までこのまま会わない方がお互いのためだと思っていました。私はバミスの意見に救われたぞ。バミス、感謝する」

「いえ」

 彼はそれだけしか言わない。普段の彼らの会話を知らないが、バミス様は私みたいに余計なことは言わないのだ。


「王様には何と説明しますか」

「私の息子としてシンシア様の屋敷に入れると説明しましょう。シューマンの名前はマーリストン様をお守りするように、リリア様にもマーリストン様にも隠し、私がバミスに剣を教えてもらうために、名を変えて行かせたと説明します。そのことは事実です」


 彼がそう言い切ってくれたので、何かあればそのことはバミス様も認識していることなので、大丈夫だろうと思う。


「分かりました。私が責任を持ってシンシア様にお話しします。そして、シューマンと話せるように言葉を運びます。バミス様は何も知らない振りをしてください。私はバルソン様から相談を受けたとシンシア様に正直に話します。私は二人には隠すことをお約束します。しかし、いつかは話さなくてはいけないことだと思います。そのことはシンシア様と二人で決めてもよろしいでしょうか」


 私はそう尋ねたけど、立場がどうであれマーリストン様に弟がいるなんて信じられない。私は一人っ子だから羨ましい。シューマンは私の義弟になるのだ。


「分かりました。リリア様とシンシア様が話してそう決めれば、私は異存がありません。私はシンシア様に会わせるか会わせないかで悩んでいることが解決できてよかったです。会ってしまえば、それからまた何か考えられると思います」


 彼がそう言ったので、自分の子供として大事に育てた掛け替えのない息子を、私たちだけで決めてしまってもいいのだろうか、とそう思ったけど、シンシア様と相談すれば彼の耳にも入ると思い、別々に話し合えばいいとも思う。


「マーリストン様が双子だなんて、私はシューマンを見ても何も感じませんでしたよ」

「シンシア様は何か感じるものがあると言われたので、私は大変驚きました。前にも会わせてほしいと言われましたが、マーリストン様のことを考えて会わせませんでした。マーリストン様は王子様だと認めてもらえましたから、私もいろいろと考えて悩みましたが、何ごとにも話し合いは必要ですね。バミスに感謝するぞ」


「……いえ、私は何も知らないことですから」と、バミス様がそう言うと、『分かった』とバルソン様はそう言う。


 バルソン様は一連の話しが済んで部屋から出ていったので、私はバミス様と二人でやっと話す時間ができ、私がマーリストン様に話したことを彼にも伝えると、彼はとても驚いていたけど、私たちはもう後戻りはできないという結果になり、私がバミス様のことがいちばん好きだということが伝わったと思う。久々にソードを切った。




 ☆★☆『リリアとマーリストン様』(47)


『トントン、今日はシューマンが疲れたというので早く寝ました。リリア様にカーラに来られるかどうか聞いてください』

『分かりました』


『今から行くと言っています』

『ありがとうございます』


 という話しの流れで、私たちは城に入り初めて二人で話すことになる。


「ケルトン、お待たせ。こっちの名前の方が好きだからね。シューマンは具合が悪いの? 部屋に戻る前に連絡が来たからそのまま来たのよ」

 私はカーラの中ほどの枝の上でそう聞くと、

「分かりません。今日は疲れたと言っています」

「熱とかないよね。ここのところを触ってみて熱かったら教えてね。それと寝ているときに汗とかかいてないか教えてね。そのことを明日確認してよ。具合が悪い場合は休ませてね」


 私はそう言いながら自分の額を触る。環境の変化で彼は疲れたのかもしれない。熱が続くのは困るが体力が落ちて熱が出る場合もある。


「分かりました。シガール様の屋敷に出かける日は決まりましたか」

「まだ決まってないけど、祝賀会の前には行きたいな。王様は家臣の前ではあんな話し方だけど、二人で話しているとバルソン様みたいな感じなのよ。マーリストン様も私と二人で話しているときはケルトンでお願いします。私もその方がいいからね」


 私はそう言ったけど、当然城では私の立場が下になるけど、今までみたいに二人で話すときくらいは、母親や姉や友達感覚で話がしたい。


「はい。ありがとうございます。俺はゴードン様の屋敷に戻れそうもありません。リリア様は子供たちに会いに行きましたか」

「行ってきた。元気にしていたよ。もう少しするとしっかり歩けると思うけど、歩き始めると大変ね。中庭で遊ばせてきた。でもコーリンはまだまだ歩けないわね」

「私たちがいないと世話をするのが大変ですよね」

「ケルトンもそういうことが考えられるようになったんだね。三人の父親だものね」

「こういう話しをするのは初めてですが、最初は自分の子供が産まれたなんて信じられなかったです。泣かれると何で泣いているか分からないけど、どんどん大きくなって俺の顔を見て笑ってくれるとかわいいですね。俺も小さい時はこういう感じだと思うと、シンシア様も大変だったと思います」


 彼がそう言ったから、ここにいても子供たちのことは、彼の心の中には目一杯存在しているのだな、と思ってしまう。


「子供を育てるのは大変なのよ。でも、親は子供のためなら何でもできる。私もそう思ったからね。だから、シンシア様の気持ちがよけいに理解できた。マーリストン様のことばかり考えていたのでしょうね」


 私だって同じ状態だからそう言ってしまったけど、過去の出来事とは言え、シンシア様は半年近くも泣き崩れ、生きた心地がしなかったと思うし、これから先はどうなるのか不安だらけだし、私だって同じ状況になるかもしれないし、そう思うと油断は禁物だ。


「リリア様と同じですね。今度はリストンのことをよろしくお願いします」

「分かりました。ゴードン様の屋敷でこのまま隠し通せると思う? リストン様だけは先に城に入れてもいいと思うけど、マーリストン様はどう思いますか」


 私は王様から言われた言葉を自分の言葉としてそう伝える。


「リリア様の手元で育てられるならいいですけど、今のリリア様はシンシア様に付いていますからリストンのそばにはいられません。そう思うと、このままゴードン様の屋敷にいた方がいいと思います。リンリンとコーリンのこともよろしくお願いします」


 彼のその言葉を聞いて、城のことも子供たちのことも彼なりに考えた決断だと思い、ゴードン様にもお願いして、王様には二人の気持ちとして伝えようと決心する。


「すごいね。私は王様から言われたのよ。このまま隠し通せるかってね。だから、マーリストン様と相談しますと答えたのよ」

「今まで通りに何も起こらなければいいですが、俺はもうゴードン様の屋敷には行きません。そうしたら隠し通せると思います。コーミンがいるから誰の子供か分からないと思いますよ」

 ケルトンがそう言ったから、

「ケルトンも色んなことを考えているのね。セミル様も誰にも話さないと言ってくれたので、私は隠し通せると思います。ゴードン様の屋敷は広いから外には出なくてもいいと思います。子供たちも一緒に遊び、子供同士のやりとりも上手になると思う。姉弟や友達は大事だからね。自分のことを考えるとよく分かるでしょう? ケルトンはシューマンとコーミンしかいなかったのよ。色んな友達がいたらよかったけど、でも、その中でもマーリストン様は考えることができる男になったので、私はほんとうによかったと思っているのよ」


 私はほんとうにそう思い、もっと親しい友達をたくさん作ってやりたかったけど、結果的には、その二人が運命の出会いになってしまったようだ。


「リリア様がたくさん話してくれたからですよ。リリア様は大事な友達で母親ですね」

「そうよね。ありがとうございます。このまま隠し通せると王様に伝えますね。私たちには誰にも話せないけど、アーサとマーラいるから大丈夫だと思います。子供たちが話せるようになれば、離れていても中継ぎをしてもらえればお互いに話せるからね。私は早く子供たちと話しがしたい。そう思わない?」

「はい。俺は子供たちに早くリリア様のことを話したいです」

「私もケルトンのことを話すわよ。いつか私のほんとうの名前も教えてね」

「分かりました。俺はリリア様には内緒だと言って、色んなことを話しますからね」


 彼は意味深長気味にそう言ったけど、私のことを考えて色んなことを話してくれるのだろうな。早くそうなってほしい。


「内緒にしていても私が聞き出しますよ」

「えっ、それは困ります。二人だけの内緒話しも大事ですよ」

「そうね。そう考えると元気が出るでしょう。子供の力をもらわなくてはね。生きていれば必ず会えます。ほんとうにシンシア様の気持ちが分かりました」

「俺も自分の子供が産まれてこういう状況になり、その意味が実感できました」


 彼がそう言ったから、何だかね。どうなるのかな。私ばかりが会いに行くのも気が引けるけどな。


「子供たちの立場で話す内容も違ってきそうね。私の悪口だけは言わないようにね。頼みましたよ」

「リリア様の悪口は探さないと分かりませんね。今まで何かありましたか」

「本人に聞いてどうするのよ。それは自分が思うことでしょう?」

「俺は考えられませんね。強いて言えばバミスのことですかね」

「えっ、バミス様は私の大事な友達でしょう。コーミンと一緒なのよ」

「リリア様がバミスのことを好きだと思ったときは、俺はとても辛かったですよ。でも、コーミンがそばにいたから助かりました。コーミンは俺のことを知らないから何でも話してくれましたからね。比べることではないけどリリア様みたいでした。俺のことをいつも心配してくれ、自分の立場も理解しているので、それに彼女はおしゃべりですからね」


 ケルトンがそう説明してくれたけど、ここで私の気持ちを話しても仕方がない。立場の違いとは何と面倒臭いものなのだろうか。


 学生時代の先輩と後輩から始まって、社会人になって仕事を始めれば上司という言葉が出てくるし、私の場合は大学を卒業していないので、仕事での上司はいなかったけど、ルーシーとは友達同士のように気楽に話したいな、と思ってはいても、彼女もバミス様みたいに根っからのお城人間なのよね。

 

「よかったわね、大事な友達ができて、コーミンを大事にしなくてはね。シューマンにも大事な友達を作ってあげてね。シューマンに何気なく話してみてよ。この城で見つかれば、マーリストン様が責任を持って話しをさせてあげなさい」

「分かりました。シンシア様やリリア様みたいに剣客の女性がいいですね。コーミンにはもっと剣が上手になるように伝えてください。ここでも子供たちを守ってもらわなくてはいけませんからね」

「コーミンはゴードン様の子供だから上手になるわよ。ゴードン様にリストン様もリンリンもコーリンにも剣を教えてもらうように話してあるから、何も心配しなくていい。五歳までは自由に子供らしく育ってほしいからね」

「いつだか忘れたけど、俺はコーミンからゴードン様の子供だと聞きました。リリア様が俺のことを思って孫だと話したと説明してくれましたよ」

「たぶん聞いていたと思っていたのよ。コーミンはゴードン様の家族であることは変わりがない。ゴードン様は昔は赤の編み紐だったことを知っていますか」

「えっ、知りませんでした。バミスと一緒だったのですか」

「それともう一つ、マーランド様に剣を教えていたそうよ」

「えっ、それも知りませんでした。だから昔の話しはしなかったのですね」


 彼はその両方の事実は知らなかったようで、彼の声の響きはとても驚いているような気がする。


 私だって赤い編み紐の話しをシンシア様から聞いて、言葉にならないくらいにビックリしたからね。


「その話しをシンシア様から聞いて驚いたのよ。私は思ったのだけどマーランド様もバルソン様も左手で何でもするでしょう。ゴードン様は右手なのよね。だから教わっても感じ取れなかったんじゃないかしら。だから剣を習ってもやる気が出なかったのでしょうね。今度聞いてみようかしら?」

「リリア様は何でも考えられるのですね」

「そう思っただけだから、でも、リストンもリンリンも右手でよかった。コーリンは左手のような気がするのよね。ミーネ様とコーミンにもそのことは話したから、無理に右手にしなくてもいいと言ったのよ」

「俺は気づきませんでした」

「もう少ししたらはっきり分かるから、子供たちには自由にさせたいからね」

「俺もそう思います」

「何だか……今夜は子供の話しばかりになったわね。バミス様の子供のこともよろしくお願いします」


「……分かっています。コーミンと三人の子供たちが城に入れば、ゴードン様の屋敷は寂しくなりますね。バミスの子供がずっといれば四人で暮らせます。リンリンとコーリンはこの城で一緒に育てます。二人で姉妹として育てます。俺が王様にお願いしますから心配しないでください」


 彼は私が前に話したことを自分で理解したごとくそう繰り返してくれたから、嬉しさと寂しさと安心したような複雑な気持ちになってしまった。


 リンリンは三人の中でいちばんしっかりしていると思う。

 リストン様はのんびりとしているからコーリンと同じようだ。

 彼らが双子のような気がする。

 この際だから双子も三つ子も関係がないな。

 彼らはマーリストン様の子供で血のつながった姉弟なのだ。

 私たちが守らなくてはいけない子供たちなのだ。


 今夜は久々にマーリストン様と話したのに子供の話しばかりになってしまい、自分がゴードン様の屋敷に行かなければ、このまま隠し通せると考えたみたいで、会いたいとは言わなかったけど、絶対に会いたいに違いない。


 シューマンがそばにいると夜もなかなか外に出にくいのだろうし、何かよい方法はないだろうか。城に入るまで待ってもらうしかないのだろうか。


 久しぶりに会ったマーリストン様は少しだけたくましさが感じられ、話し終わって別れた後でも私の意識は子供たちに飛んでしまい、早く話せるようになってほしい、と心から願った。


今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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