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序章 高校生編

初めての投稿です。


最後まで読んでくれると嬉しいです。



祐介「これが俺の選んだ道かよっ!

こんな糞みたいな展開誰も望んじゃいないっ!

こんなに残酷な事になるなら…俺はっ…お前の事なんて…!!」



これは修羅の道を歩んできた1人の物語


梨沙「おーい!祐介〜!」

元気よく話しかけてきたのは幼馴染の梨沙だ。


彼女は物心ついた時から近所に住んでいてそれから高校まで同じ学校に通っていた。


見た目はショートカットで黒髪、目もまん丸で背もどちらかというと小さい。

客観的に見て可愛い方だろう。


祐介「あぁ?なんか用か〜?」

いつもみたく、適当に返事をする俺。



梨沙「アンタまーたこんなところで昼寝してたのー?

裕里香に怒られるよ?」


裕里香とは俺の彼女の事である。


祐介「別にいいだろ?俺は学校の屋上で寝るのが好きなんだ。

風が気持ちいいからな!」

いつもの俺は学校の屋上で寝るのが日課になっていた。そんな俺に学校でも美人な事で有名な女の子が彼女になった。


裕里香『良いわけないでしょ?授業に出なさいよ!』


祐介「げっ!裕里香!!」


梨沙「ぷぷっ怒られてやんの〜!」

梨沙はいつも俺が怒られている時、野次を飛ばしたりからかったりしてくる。


祐介「もう単位もギリ足りるし後は卒業するだけなんだから良いじゃねーか。寝させろよ。」


裕里香『でもまだ卒業してないんだから高校生でしょ?

卒業するまで授業に出なさいよ。それに2月よ?

こんなところで寝てたら風邪ひくわよ。』

裕里香は母性に溢れて若干オカンみたいなところがある。


見た目も、髪が長くポニーテール。

綺麗な黒髪で梨沙と正反対のような顔立ちだ。

目はキリッとしていて、可愛い系というよりは美人系だ。

そのビジュアルから男子からの人気も熱い…!



祐介「うっせーな…ババア…」


裕里香『誰がババアだってぇぇ⁉︎アンタ自分の彼女にそんな事言うの⁉︎

アンタだけよ?オカンやらババアやら私に言ってくるの!』


祐介「だってオカンみてえだし、ババアみてえだろ!」


梨沙「はいはい、また2人で夫婦ごっこですか〜

ウチはもう教室戻りますね〜」


祐介「あぁ⁉︎誰が夫婦だ!フザケンナ!」


裕里香『いや…夫婦とかそんな…まだ手も繋いでないのに…』


そう言ってる間に梨沙は教室に帰って行った。


祐介「まぁアレだな〜俺たち付き合ってもう1年になるのか?まだキスもしてねーな。」


裕里香『はっ…はぁぁぁ⁉︎な、何いきなり!大体キスとか結婚式でするもので…』

頬を真っ赤に染めて下を見ながら嬉しそうにもそれを隠すようにキレ口調で叫ぶ。


祐介「いやいや、そういうんじゃなくてさ。

2年半前、俺たちが出会って付き合って、もう卒業だろ?

早いなって思ってさ。」


裕里香『確かにそうね。色々あったもんね。』


祐介「あぁ…色々な…。」




時を遡る事2年半前 高校一年の夏


俺と梨沙は良く2人で遊んでいた。

2人とも新しい環境で友達を作れずに居た。

お互い苦手なのだ、新しい環境と新しい人間関係が。だからいつまでも2人同じ環境下で育ってきた。


祐介「あー、あちぃなぁ〜アイス買ってこいよ梨沙〜」


梨沙「はぁ?アンタが行ってきてよ!レディファーストでしょ!」


祐介「レディ?どこにいんだ?」


梨沙「アンタ本当に殺すわよ?」


祐介「冗談だよ、冗談!

お前ならやりかねないから怖えよ!」


梨沙「当たり前じゃない」


ニコッと笑ってそう言い放った。


祐介「こいつ…本気だ…」


こんな感じでいつも暇をつぶすように冗談を交えてなんの変哲も無い雑談をしていた。


梨沙「ねぇ、アンタ知ってる?

隣のクラスの子で虐待を受けているかもしれないって子の話」


祐介「はぁ?なにそれ、知らないぞ?」


梨沙「まぁそうだよね。隣のクラスだしアンタ学校の人の事とか興味ないもんね。」


祐介「興味あるのに友達作れないお前と違って自ら遠ざけてんだよ俺は。」


梨沙「なにそのトゲのある言い方!腹立つ!」


祐介「あえてトゲあるように言ったんだよ。

で、その虐待疑惑の子がどうしたの?」


梨沙「いや、ただ小耳に挟んでね。

アンタも…ほら、ね?この話聞いたらどうするのかなって思ってさ。」


そう、俺は虐待を受けて育ってきた。

高校に入り梨沙には話したが、それまで幼馴染の梨沙でさえ知らない間に虐待されてきたのだ。


祐介「まぁ別に…他人だしどうでも良いかな。

そんな事よりアイス買ってこいよ!」


梨沙「ジャンケンで負けた方が買いに行くって事で!


さーいしょーはグー!…」




次の日、学校でアザだらけの女の子が居て騒ぎになった。


梨沙「あ、あの子だよ!虐待疑惑の子!」

梨沙は目を丸くして驚いた様子でその女の子を見つめていた。

俺は昨日ジャンケンで負けてアイスを買いに行かされ奢らされた事を根に持ち、そんな事どうでも良かった。


祐介「ケッ知るかよ!

それより昨日、少ない小遣いでハーゲンダッツ買わされた俺に何かお礼があってもいんじゃね⁉︎

もう少し俺に気遣ってくれてもいんじゃね⁉︎」


そんな俺の悲痛な叫びを無視して梨沙はアザだらけの女の子に駆け寄り声をかけた。


梨沙「ねえ、大丈夫?どうしたの?そのケガ」


一瞬ビクッとして、視線を梨沙に向けた

そのアザの女の子は、ため息を吐きながらこう言った。


アザだらけの子『貴方には関係ない。ほっといて。』


明らかにショックを受けた顔をした梨沙だったが、かなりしつこく食い下がった。


梨沙「ウチ、貴方と友達じゃないし話した事もないけど、だからこそ話せる事もあると思うの!

なんでも話して!協力するよ?」


おいおい、そんな簡単に協力するとか言うなよ。と思ったがメンドくさそうなので口には出さなかった。


祐介「おーい、梨沙〜もう授業始まるぞ〜」


梨沙「あ、うん!今行く!」

そう言うと梨沙はアザの女の子に一言言った。


梨沙「ウチ、諦めないから!絶対!」

(こいつはなんで関わりのない奴にこんな積極的なんだ。

その積極性があれば友達作れるだろうに。)


午前授業が終わり、昼休みの時間、アザの女の子が屋上に向かうのを見た。


梨沙がその子を探していたので、隠す理由もないし教えてあげた。


祐介「アザだらけの女の子なら屋上に向かってったぞ。

他人だしどうでも良いだろ、ほっとけよ。」


梨沙「はぁ?アンタあんなアザだらけな子を放っておけるの?信じられない!

アンタだって誰かに助けてもらいたかったって言ってたじゃない!」


居場所教えてあげたのに、なんか怒鳴られて挙句に過去の傷を掘り返されたような気がして泣きそうになっていた俺を置いて屋上まで走っていった。


祐介「ちょっ待てよっ!」

キムタクの真似をしながら俺も後を追いかける。


屋上に着いた時、アザだらけなのにも関わらず、太陽の光に照らされ、サラサラと風を纏ってなびくその髪の毛を耳にかけた女の子を見た時、天使なのかと一瞬思ってしまった。


梨沙「あっ!居た!

こんなところでお昼ご飯?一緒に食べない?」


ニコニコ近づいて話しかける梨沙


祐介「えぇ⁉︎そういう感じ?


…一緒に食べないっ☆?」


いきなりのアプローチにビックリしつつも

ウインクしながらふざけて声をかけた。


アザだらけの子『いや、貴方達は誰なの?放って置いて。

1人が好きなの。』


そう哀しそうな目をしながら彼女は応えた。


梨沙「1人より皆んなで食べる方が美味しいよ!

一緒に食べてくれたらウチ達帰るよ!それでもダメ?」


こいつしつけーな〜って思いながら見てたが、これも優しさなのか?って思ったから俺も声をかけた。


祐介「まぁ確かに一理あるな。

むしろ一緒に食べてくれないなら一生離れる事なく永遠に1人にはならないぜ!」


我ながら気持ち悪いなぁって思ったけど案外良い台詞回しだったかもしれないと、今では思う。


アザだらけの子『いい加減にして!貴方達はなんなの?今日初めて話しかけてきて今までなんの接点もないのに!

いきなりなんでご飯に誘うの?このアザが気になるから?私が虐待されてるって噂の子だから⁉︎」


(ごもっともです。なんも言い返せません。

相手からしてみれば本当に俺たち頭おかしいです。

そもそも誰⁉︎ってなってると思います。はい。

それでもこの女は食い下がります。もう本当にしつこい。)


梨沙「でも誰だって最初のコンタクトはいきなりだし、出会いは突然だよ!!」


(いきなり何を言うんだお前は!

いやね?確かにファーストコンタクトはいきなりだと思うけども!出会いは突然って何⁉︎

突然っていうか確実に確信犯で自ら声かけに行ったよね?前日にその子の話ししてたよね?)


祐介「まぁまぁ、そんな事言わずに一緒に飯食おうぜ?

俺たち友達居なくて1人のお前を俺の仲間にしたいと思っていたところです!」


(俺も何を言ってんだぁぁ!

フォローするつもりがドラクエのパーティ誘うみたいになってんじゃねーか!)


アザだらけの子『は?仲間にしたい?何言ってんの?この人』


(ですよね〜そうなりますよ。お恥ずかしい…)


祐介「でも、この女はしつこいぜ?

飯食ったら1人にさせるって言ってんだから飯だけ食って解放された方がいんじゃね?」


アザだらけの子『まぁ…確かに…なんか納得できないけど仕方ないわね。』


なんとか飯までありつけた。

梨沙のしつこさと俺のフォローのおかげでなんとか話ができそうな空間を作ることに成功した。

当時の俺は興味無かったが。


梨沙「それでさぁ!回りくどいの抜きにして、そのアザはやっぱり虐待なの?

いや、喋りたくないなら喋らなくても良いけど…。」


(いやいや!いやいや!直球すぎ!時速160キロ超えるストレート!大谷もダルビッシュもびっくりのストレート!)


アザだらけの子『……そうよ。』


(お前も答えるんかいぃぃぃ!

濁すなり黙るなりあんだろ!)



祐介「へ、へぇ〜そうなんだぁ〜

あ、そういや、ハーゲンダッツって何味が好き?

俺はイチゴかな!やっぱイチゴ良いよな!」


(良し!やや強引だが話題をポップな方に転ばせて明るくしていこう!ファーストコンタクトでコレは暗すぎる!)


梨沙「いや、ハーゲンダッツとか良いから!

今大事な話してんの!」


(空気をよめぇぇぇ!ハーゲンダッツだって大事な話だろ!俺は昨日お前に奢らされてんだ!金返しやがれ!)


梨沙「でも16歳なのに虐待されてるのって不思議だね〜

この馬鹿も昔ね…」


俺は咄嗟に手を梨沙の口に当てて塞いだ。


祐介「いやいや!なんでもねーから!マジで!

ところで名前聞いてなかったな。俺の名前は祐介、十六夜 祐介。

苗字は中二臭いから祐介って呼んでくれ。」


梨沙「あっ!そういえば名前!ウチは渡辺 梨沙!梨沙って呼んで! 貴方は?」


裕里香『私は…裕里香、如月 裕里香』


(如月…どこかで聞いた事のある名前だな…)


祐介「まぁ仲良くしてこうぜ!」


裕里香『は?ご飯食べたらもう関わる気ないけど?』


梨沙「そんな!じゃあずっとご飯食べよ!」


(いやそれはキツイっす)


梨沙「それでさっきの続きだけど、どうして16歳なのに虐待されてるの?

もうだいぶ大人じゃない?」


少し戸惑ったような気がしたが、すぐに応えた。


裕里香『そんなの知らない、虐待してる人に聞けば?』


この時俺は裕里香の気持ちに気付いていなかった。

何故、隠す事なく話したのか、何故、虐待してる本人に聞けと言ったのか。


祐介「ふーん。まぁ俺から言わせれば虐待なんかしてる奴は殺せば良いと思ってるぜ。」


すると、裕里香は怒りながらこう言った。


裕里香『それができるなら苦労しない!

それができるなら虐待なんてされてない!

反抗できないから虐待されてるの!耐えるしかないの!』


まぁ確かにそうだ。俺も当時はそうだった。

だけど…

祐介「だけど、どっかで変えなきゃ何も変わらない。

お前はこのまま過ごすのか?お前が本当に変えたいのなら俺が変えてやるよ。」


つい勢いで言ってしまった。だけど俺は後悔もしてないし本気で変えるつもりだったから嘘は言っていない。


裕里香『何も知らないのにそんな事軽々しく言わないで!』


そう怒鳴って教室へ戻って言った。


梨沙「珍しいね。祐介がそんな事言うの。

他人だから放っておけだとか、興味ないとか言ってたくせに。」


祐介「知るか。関わっちまった以上なんとかしたくなったんだよ!

俺だって昔は誰かに助けてもらいたくても助けてもらえなかったから…」



梨沙「そっか。なら、裕里香ちゃんの事助ける?」


祐介「そうだなぁ〜やれるだけやってみるよ。」


梨沙「そう言うと思ったよ。協力するよ。」


祐介「ケッ足引っ張んなよな」


梨沙「すーぐそうトゲのある言い方する〜!

食べ終わったし教室戻ろっか。」



俺たちはその後2ヶ月間に渡り裕里香を観察した。

時には声もかけたし、一緒に昼ご飯を食べようともした。一緒に帰ろうともした。

だけど裕里香は一切関わろうとしなかった。


俺たちは2ヶ月間、ただ裕里香の行動をみる事しかできなかった。

収穫はあった。

裕里香は誰もやろうとしない事を一人で何も言わずにやっている事が多かった。

例えば、クラスの植物に水をあげたり、メダカの水槽の掃除をしたり。

ビジュアルが良く、男子からの人気もあり校舎裏に呼び出されては告白を受け、断り、時には下駄箱にラブレターが入っていたり。

そんな事から女子の目の敵にされていた。

好きな男を取られたと因縁をつける女子も居れば、泣きながら悲劇のヒロインを気取り集団で悪者にするものも居た。

それに一人で耐えていた。

たまに身体に出来るアザをみて、早くなんとかしなきゃとも思っていた。

だがそのアザを見た女子はヒソヒソと嘲笑い、悪者に仕立て上げ、男子からも敬遠されるような存在になっていた。

夏休み明けも変わらず、むしろどんどん悪化していた。

インターネットを使いイジメを受け、誹謗中傷の嵐。



俺たちは耐えきれなくなった。



ーある日-



歯止めが効かなくなったイジメを受けていた裕里香は、なす術なく机に突っ伏していた。

そんな彼女に5人の男子が空き缶やゴミなどを投げつけて女子はそれを笑い、男子は女子を盛り上げる為に必死だった。


それを偶然みた梨沙が俺に助けを求めた。


梨沙「ねぇ!大変なの!来て!」



祐介「は?何が?詳しく話してくんね?」


梨沙「良いから!!!みればわかる!」


俺は裕里香の事だろうと思っていた。

夏休み入る前のイジメから、夏休み明けでのイジメがもはや別次元の物となっていたから。



ゴミを投げられ、机に突っ伏していた裕里香をみてから、俺は本気で周りの奴らを殺してやろうという気になっていた。



祐介「おい…辞めろ…。」


生徒A「はぁ?オタク誰ですかー?白馬の王子さま的な?」


ゲラゲラと笑い声が教室中に響き渡る。

教師は一体何をしてるんだろう。



祐介「辞めろ…コレが最後の忠告だ。

今ならまだ三分の一殺しで許してやる。」


生徒B「プッ!なーに言ってんだこいつぅ!」

生徒C「ウケるんですけど!」


ガシャーンッ!!


生徒B「グヘッ…!」


視界が赤く染まっていく、段々と赤黒く、そして次第に真っ暗に。

眠る様な感覚。水の中に沈み、周りの声や音が水中の中で聴こえてくるような感覚。


しばらくしてから、眠りからゆっくりと目が醒めるように。

水中の中から浮かび上がり、プカプカと浮いたような感覚。

梨沙が俺の名前を呼ぶ。


梨沙「祐介!祐介!祐介ってば!」


祐介「ん?あぁ…」


そのクラスで響き渡っていた笑い声がなくなり、セミの鳴き声だけが聞こえていた。

目の前を見渡すと、さっきまでゴミや空き缶を投げていた者、女子を盛り上げる為に必死だった者

その数約20名、全員が鼻血や頭からの流血、歯が折れている者、ゲボを吐き散らしている者。

そのおぞましい光景を見て、女子達は絶句

言葉も出ずにただ見ていることしかできなかったであろう女子達は、冷静さを取り戻し次第に一斉に声を上げる。



「『鬼っっ!!!!』」







しばらくしてから教師に呼び出され、警察や消防などが来たが、事が事だけにあまり世に出回ってほしくないと二週間の停学処置で済んだ。


虐めていた本人達は転校や自主退学する者も居たが、大多数が前と変わらない生活をしていた。

変わったとするなら、虐めは無くなり、裕里香が梨沙と仲良くなっていた事だけである。




祐介「え?なに?お前らいつからそんな仲良くなったの?」


梨沙「祐介が停学中でーす!」


祐介「いや、そこはわかってるよ?

そうじゃなくて。つかそんな事よりお前らアレなのな!

停学中家に来てくれたりしねーのな!

仲良くなったなら俺の家に見舞いに来てくれても良くね?

せめてラインで一言言ってくれても良くね?」


梨沙「まぁそれはそれ。コレはコレだから。」


祐介「なんだよそれ!絶対お前ら俺の事忘れてただろ。

その証拠に俺に会った時、祐介だ。久しぶりにみたって言ってたもん!俺聞き逃さなかったもん!」


裕里香『もう良いよそんなの。』


祐介「そんなのってなんだよ!

大体なぁお前が虐められてたからこんなんになったんだろ?なんかあんま記憶にねえけど。」


裕里香『そんなのイジメをしてた人に言ってよ!私助けてなんて言ってないもん!』


祐介「あーそ!勝手に喚いてろ!」


梨沙「まぁまぁこれで仲良くなれたし良いじゃん!」


祐介「いや良くはねーよ!大体虐待の件は解決してねーだろ!」


梨沙「あっ!確かに!」


祐介「……え?この二週間の間になんも展開進んでないの?話も聞いてないの?何してんの?馬鹿なの?死ぬの?」


梨沙「えへへ☆」


祐介「可愛くねんだよっ!!殺すぞクソアマ!」


裕里香『2人は仲が良いんだね。』


祐介「あぁ⁉︎良くねーよ!」


梨沙「裕里香!ウチ達は兄妹みたいなもんなの!

仲が良いなんてレベルじゃないの!」


裕里香『そーなんだ。知らなかった。末長くお幸せに。』


祐介「おいコラ!クソアマ!コラ!適当な事言ってんじゃねーよ!信じてんじゃねーか!」


裕里香『そんな事より、祐介…だっけ?今あなた大変な事になってるわよ。』


祐介「はい?俺何かしました?」


梨沙「いやしたでしょ…。」


裕里香『学校中であなたの事が噂になってるわ。

高1にやべーのがいるって。』


祐介「まぁ事件起こしちゃったししゃーないな。」


梨沙「中学の頃も有名だったもんね。」


裕里香『学校中だけにとどまらず、SNSでも拡散されて一躍有名人よ?』



祐介「へぇ〜どんな感じで有名なの?」


裕里香『見た目は、銀髪に白いパーカーを着た男』


祐介「まぁ俺だな。そのまんまじゃん」


裕里香『その銀髪の髪をなびかせ、白いパーカーを返り血で真っ赤に染める事からこう呼ばれているわ』


祐介「なんだ?」


裕里香『“銀鬼”と』


祐介「お、おぉ……マジで?」


梨沙「大真面目よ!アンタどうすんの?転校するの?

新しい学校でも頑張ってね!」


祐介「いやしねーよ!つか俺1人で転校かよ!しねーけど!」


裕里香『アンタこれから大変だよ?良いの?こんなんで。』


祐介「いや良いも何も勝手になっちまったもんは仕方ないだろ。

“銀鬼”も割とかっこいいし良いよそれで。

十六夜 祐介じゃなくて、十六夜 銀鬼ならカッコ良かったのに。

なんだよ、祐介って。普通かっ!」


裕里香『普通が一番でしょ!』


祐介「だな!」


そういうと裕里香が笑ってみせた。

俺はこの時始めて裕里香の笑顔をみた。

綺麗な顔立ちで可愛い笑顔だ。普通の家庭ならばこいつはどんな子になっていたんだろうか。



祐介「まぁ俺たち仲良くなれたし、飯でも行くか?

宴だ!宴!」


梨沙「え?良いの?ありがとう!」


祐介「え?何が?なんの話?」


裕里香『ゴチになりまーす!』


祐介「え?なに?え?」


梨沙「言い出しっぺだし奢ってよね!」


祐介「ふざけんなぁぁあ!!!!」











それから俺たちは誰もが認める仲良し3人組になった。

ただ特に目立つ3人組だった。

1人は虐待の疑惑がある虐められっ子

1人は“銀鬼”と恐れられた不良少年

1人はしつこ過ぎて頭おかしい子


この変人3人組なのだから仕方ない。


そして高校1年では何事もなく普通に2年生になった。


問題児の3人は一つにまとめた方が良いだろうという事になり全員同じクラスになった。


トントン拍子で進む日常の中、俺たち3人は一つの問題を見て見ぬ振りをして過ごした。

裕里香の虐待だ。何を隠そうここ最近、アザが多くなっている。

これは紛れもなく虐待されている。教師達も気づいているはずなのに、児童相談所などに通報しない。

何故か?

この当時、一つだけ引っかかることがあった。

それは、裕里香の苗字だ。

“如月”

どこかで聞いた事のある苗字なのだ。

でも思い出せない。それはどこか小さい頃の記憶。

脳の中に扉があり、鍵で閉じられて開けることのできない扉がある。

それは記憶が詰まっているはずなのだが、開けられない。制御されているのか、思い出してはならない記憶なのかはわからない。


ただ、“如月”というワードだけ引っかかる。

詳しく調べていくのはマズイんじゃないかって思った。過去の自分の事かもしれないし、裕里香の事でさらに環境を悪化させるかもしれないと考えたから。


いずれにせよ、時が来たらわかる!そう思っていた。




高校2年生の春




梨沙「いやぁ〜2年生でまさか3人同じクラスとはね!

楽しくなりそう〜この一年!」



裕里香『本当にね!ひとりの馬鹿が居なければ良かったのになぁ〜』


祐介「ひとりの馬鹿って俺の事ですかぃ?すいやせんね、お馬鹿で。」



いつもみたく楽しく代わり映えのない生活をしていた。


時は過ぎ幸せな毎日を過ごしていた


真冬のそんなある日




梨沙「ねえ!裕里香と連絡取れる?」



祐介「取れるけどなんで?」


梨沙「電話に出ないの!今日映画見に行く予定だったのに!もう始まっちゃう!」


祐介「俺のいないとこでそんな約束が?

代わりに俺が行こう。なんの映画だい?」


梨沙「そういうの良いから!あの子虐待の件もあるし連絡取れなくなると不安になるの。」


祐介「まぁそだな。電話してみるよ。」


梨沙「ありがとう!また掛け直して!」


祐介「あーい」


(なんだぁ?裕里香と連絡つかないなんて始めてじゃねーか?

あいつ友達いねーしすぐ連絡でるじゃねーか。

あっ!俺も友達居なかった。)


プルルルル

(アレ?ほんとに出ねーな。寝てんのか?)


ピッ!

(おっ、出た!)


祐介「もしもし?お前…ん?」


電話の向こうで何やら声なのか物音なのかわからないが、確かに音がする。

耳を澄まして聞いてみた。


謎の男[おい!こ…は……い……こ…だ!]


(ん?男の声?なんて言ったんだ?どういう事だって言ったのか?)


裕里香?[……うの!………いて!]


(今度は女の声…裕里香なのか?

抵抗している声だな。)


謎の男[い……け……か聞き……!お前……殺……ん……!]


(は?殺す?今なんて言った?ダメだ聞こえねえ!

これやべえんじゃねーのか?)



謎の男[わかっ……?い………り…しろ…?]


(脅迫しているのか?)


裕里香?[わかっ……]


(承諾した。何を?脅されて何かを承諾した。

クソ、ほとんど聞こえなかった。本人に聞くべきか?

いや、話すわけがない。むしろこの会話を聞いてたってのがバレたら裕里香がどうなるかわからない。

どうすれば……)



裕里香[あっ!もしもし!]


祐介「……⁉︎あっ、もしもし。裕里香か?」


裕里香[うん。ごめんね、立て込んでて。通話中になってたの気づかなくって。]


祐介「あぁいいよそんな事は。

それより大丈夫か?」


裕里香[え?何が?]


(隠すつもりか?それとも聞こえたと思ってないのか?)


祐介「いや、なんでもない。梨沙が連絡取れないって言うから電話したんだ。

映画行くんだろ?時間大丈夫か?」


裕里香[あっ!そういえば!急がなきゃ!ありがとね!]


祐介「おう。楽しんでこいよな。」


ーガチャー


(大丈夫なのか?俺は今何を聞いていたんだ…どうするべきなんだ。)



この時の俺はまだ知らなかった。

いや、気づいていなかったんだ。忘れていたんだ。


そして、裕里香が何をやらされそうになっていたのか、誰に脅されていたのか知る事になる。





ー後日ー


梨沙「ねぇ、祐介!」


祐介「裕里香の事か?」


梨沙「え?うん。そうなんだけど、あの子アザが増えてて…」


祐介「やっぱりな。映画の日か?」


梨沙「そうなの。てかやっぱりってどう言う事?」


(ここで梨沙に言って平気なのか?俺だけならまだしも、こいつに話したらしつこく問いただすだろう。

裕里香がそれをされた時どんな行動に出るのかまだわからない。どうするか。)


梨沙「祐介?」


祐介「え?あぁいや考え事してて。」


梨沙「裕里香の事でしょ?ウチにも教えてよ!

ウチも友達だし知りたいよ!協力するって最初に言ったじゃん!」


祐介「いや。お前を巻き込む事になるかもしれない。

あいつが抱えてる問題はそんな簡単なものじゃない可能性がある。」


梨沙「それでも!知りたい!友達だもん!」


こうなった梨沙はもう諦めない。

持ち前のしつこさでずっと俺につきまとうだろう。


祐介「わかったよ。話すよ。あの日の事を。」


俺は全て話した。電話越しに聞こえてきた事も、如月という苗字に引っかかる事も。


梨沙「そっか。でも如月ってさ昔の祐介の名前じゃない?」


祐介「は?」


俺はただ気づいていなかった、忘れていたんだ。


過去の記憶を。


梨沙「祐介が話してくれた、祐介の過去…。

祐介が昔に如月って名乗ってたよ。

まだ、中学上がる前の時だったかな?」


この女は何を言ってるんだ?俺はそう本気で思っていた。

だけど、薄々だけど感じていた。

実は、裕里香の父親は俺の父親はなんじゃないかって。


虐待から解放された時

その苦しみに耐えきることができず、記憶を封印した。自己防衛だ。脳が防衛するために記憶を脳の奥深くに隠す事がある。

その苦しみを思い出させない為に。

俺の脳にある記憶の扉に全て隠されている。

裕里香を助けるのには、俺の記憶を思い出して苦しむ必要がある。

脳が防衛してしまうほどの記憶。

だが、迷いはなかった。なんとか記憶を引きづり出そうと考えた。



祐介「俺の小さかった頃の話を詳しく話せ!全て!わかる事を!」


梨沙「え?何急に…」


祐介「良いから!そうすれば裕里香の謎が全部わかるかもしれない!俺の記憶に隠されてるんだ!」


梨沙「わかった。」




全て聞いた。俺の父親の話、母親の話。なにもかも。


当時の事を思い出した。痛い。怖い。苦しい。辛い。助けて。助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて


無限に湧いて出る“助けて”という感情

絶望の最中、光なんて見えずなんとか必死に生きる為に見出した俺の脳は記憶を封印した。


父親に、殴られ蹴られなりふり構わず、場所などわきまえず、サンドバックにされていた。


母親は飯も作らず、夜な夜な遊びに行き、父親がいない時は友達を連れて自分の子供の目の前でシンナーを吸いラリってやがる。


逃げ場なんてない。俺に2人の弟がいる事を思い出した。その弟を守る為に必死だった。

自分1人ならどれだけ楽だったか。簡単に逃げ出す事も出来ただろう。

出来なかったのは弟を守るため。

必死に庇った。弟が少しでも怒られたならそれは殴られるサイン。

必死に庇った。代わりに何度も何度も殴られた。

それでも耐えた。弟の為ならって。

でも弟を守るのと同時に自分が壊れていった。


ある日、弟が何かの間違いで壁に穴を開けてしまった。

まだ6歳の弟の頭を踏みつけ殴りつけているのを見て、恐怖で動く事ができなかった。

怖かったんだ。まだ11歳の俺に何ができる。

助けなきゃなんとかしなきゃ。そう思ったよ。

身体は動いてくれない。殺されてしまう。どうしよう。殺される?なんで?俺たちが何をした?

いつもいつも理不尽に殴られ、当たり前の生活さえ出来ていない俺たちが何故、殺される?

俺は“2人になった”。



祐介「全てを思い出した。如月も。如月が何をしようとしているのか。裕里香が何をやらされそうになっているのか。全てわかった。」


梨沙「そう…」


梨沙は涙を流していた。


祐介「なんで…泣いてるんだ?」


梨沙「祐介が泣かないからだよ」


全く理解できなかった。この時は。

本当の本当に最後、わかったよ。その意味を。



俺は昔、“2人になった”。

その時とった行動は、逆襲

何もせずに大事なモノを壊されるくらいなら、俺がこの手で壊す奴を殺せば良い。

自分を壊してまで手に入れた力は絶大だった。


自分の父親を本気で殺そうとした。

父親は抵抗したが本気の殺意と不意を突いたのが功を成した。

相手は片目を失った。

命までは奪えなかったが、片目を失明させる事はできた。

弟を守れた。程なくして親戚に引き取られ、“十六夜”として生きた。


弟とは離れ離れだけど。


俺が“銀鬼”と呼ばれたあの事件も、もう1人の自分がやったのだと考えれば辻褄が合う。

あの感覚はまさしく父親を手にかけようとしたものと同じ感覚。




祐介「今日ケリをつけよう。裕里香の家に突撃するぞ!」


梨沙「え?なんで?」

涙を拭いながらキョトンとする梨沙


祐介「早い方が良いだろ?俺が裕里香を守ってやんよ!」


梨沙「そうだね!善は急げ!今日やろう!」


祐介「なんで楽しそうなんだお前…」


梨沙「え〜だって、友達を救えるかもしれないんだよ?嬉しいじゃん!」


祐介「まぁな。」


(こういうところは素晴らしいよお前。

お前は友達の為に、いつか大切な人ができた時にそうやって元気付けてやってくれ。)




そして学校が終わり帰宅中の裕里香に声をかける。


祐介「帰ろうぜ。今日お前の家寄ってくわ」


裕里香『え⁉︎なんで⁉︎ダメ!家はダメ!』


祐介「いやお前の意見は関係ないから。俺が決めた」


裕里香『は?何言ってんの?無理なもんは無理!ただてさえ…」


祐介「ただてさえ、なんだよ。お前脅されてんだろ?」


裕里香『えっ⁉︎なんでそれを…』


祐介「“如月力也”だろ?お前の父親。いや、再婚相手」


裕里香『なんでそんな事まで…』


祐介「実はな、俺の実の父親なんだ。そいつ。」


裕里香『はっ?え?どういう事?』


祐介「まぁ端折るけどな、あいつに昔虐待されててよ〜あったまきたから殺そうとして、片目潰してやったのよ!殺せはしなかったけど。

で、お前はその如月力也に俺を殺せと脅されてんだろ?」


裕里香『そんな過去が……。

私はたしかに貴方を…殺せと言われてる…だけど!

そんな事やるつもりない!友達殺すくらいなら殺された方がマシ!だから今日が最後の登校だと思ってた。』


祐介「やっぱりか」


梨沙「ねぇ、裕里香。ウチ達友達だよね?

友達ならさ1人で抱え込まずに、みんなで解決しようよ!」


裕里香『嫌!これは私の家の問題!友達を巻き込みたくない!』


祐介「そんな事言ったら、そいつ俺の父親だぜ?

昔俺が殺し損ねたから今のお前に危害が加わってるんだろ?俺の問題なのにお前を巻き込んでるのは俺なんだぞ?」


裕里香『でも…今は私の父親として私の家に住んでるの!

貴方達には関係ない!!!!』


裕里香と初めて屋上で話した時、哀しそうな目をしていたのはコレが理由だったんだと知った。

殺せと命じられていた相手が、わざわざ仲良くなろうと近づいてきた。

人を殺す事さえ出来ないのに、仲良くなったらさらに出来ない。

裕里香の性格上、優しくて人の嫌がる仕事を黙ってやるような子だ。

友達を殺すなんて事絶対できない。

ずっと悩んでいたんだ。



祐介「大丈夫だ。お前に危害が出ることはもうない。

俺が必ずなんとかしてやるから。約束する。

大和魂の宿った侍はできない嘘はつかないんだぜ!」


梨沙「祐介が侍ね〜」


祐介「なんだよ!日本男子たる者皆侍だ!」


梨沙「はいはい」


裕里香『どうするつもりなの?あの人にあって勝算があるの?』


祐介「いや特に考えてないぞ。とにかくぶっ飛ばして最悪殺す覚悟で挑む。」


裕里香『殺すなんて無理だよ!捕まるよ!』


祐介「いや覚悟だよ、本気で殺そうとはもう思ってない。

当時はガキだったからな!」


裕里香『でも…』


祐介「だーいじょうぶだって!一回俺は成功してんだ!

何よりお前を使って殺そうとするって事はあいつじゃ勝てないって言ってるようなもんだろ?

俺が相手なら余裕!なんせ“銀鬼”だからな!」



裕里香『わかったよ!お願いします!!』


梨沙「そんなかしこまんなくていいよ!この馬鹿なら、やれ!の一言でやるから」


祐介「あぁ⁉︎俺は奴隷じゃねんだぞ⁉︎」


梨沙「やれ」


祐介「はい。」


裕里香『プッアンタ達2人といると怖い思いするってのに楽しくなっちゃうな』


祐介「怖い思いなんてしねーよ!俺が守ってやんよ!」


裕里香『カッコいいね。頼りにしてるよ!銀鬼くん!』


祐介「任せろ!」





こうして俺たちは如月家に向かった。


俺は木刀を手に裕里香と梨沙にはケータイ電話を必ず持てと指示をして、スタンガンとハサミを持たせた。


裕里香が玄関の鍵を開け、父親と話をする。

その会話は録音する。

梨沙には物陰からケータイで動画を撮ってもらい、いざとなったら俺が飛び出すという作戦だ。


自宅に入り皆作戦通りに配置に着く。

動画を撮り録音をし、俺はスタンバイOK!



裕里香『あ、あの…お父様…』


(お父様とか呼ばしてんのかあのオッさん)


如月『なんだ?ちゃんとあのクソ餓鬼殺してきたんだろうな?言い訳は聞かねーぞ』


裕里香『いや、その…殺すなんて事私には無理です…できません…』


如月『あぁ⁉︎できねぇってどういう事だゴラァ!!!』


裕里香『ヒッ! 人を殺すなんて普通の人にはできません…』


如月『うるせぇんだよ!やれっていったらやりやがれ!このッ!』


俺はすかさず木刀で如月の右手を叩いた。


如月『ウワッ!イテっ!誰だ!』


祐介「おいおい、実の息子を忘れたか?

お父さんよぉ〜」


如月『テメエは祐介か…ノコノコと良く出てこれたなぁあぁ⁉︎』


祐介「そりゃこっちのセリフだぜ…お前を殺し損ねて何年だ?リベンジマッチしにきてやったんだよ、感謝しろや」


如月『アレから随分経ったなぁこの目の傷が疼きやがる。

実の息子を殺す為にこの女を利用した。何が悪い。

使えるもんは使ってお前を必ず殺すと誓ったんだよ!』


祐介「自分で殺す事が出来ない弱者が偉そうに。

来いよ…相手してやる…!」


祐介『上等だぜクソ餓鬼がぁ…!』


すると、如月は近くにあった日本刀を片手に持った。


木刀で顔面に1発叩き込む

顎の骨を粉砕するつもりで思いっきり叩き込む。


如月『グハッ テメエぇぇぇえ!』


家中に響き渡る。家の中がめちゃくちゃになる。


裕里香と梨沙はその光景をみて泣きわめく。


お互いがお互いを殺しあうその光景を見てただただみている事しかできない。


動画も録音も忘れて非現実的な光景を見届けるしかできない。


俺も如月も血まみれだ。


俺のひたいには血が滝のように流れ、如月も同様。

どちらの血液かわからないくらい服にも家中にも血が飛び散る。


2人とも息を切らしている。


祐介・如月「『はぁはぁはぁ』」


祐介「ウラァ!!!」


如月『ウリャァァア!!!』


俺が木刀に対し、如月は真剣だ。

圧倒的な武器の差がありながらも互角に渡り合う。


泣きながら見ている事しか出来ない2人を見て「逃げろ!」と声を出そうにも出ない。


そしてある一手が勝負を分けた。


如月が真剣を使い裕里香や梨沙を狙って斬りつけてきた。

この時の俺は丁度、裕里香と梨沙に気を遣っていた。

俺に斬りかかったのなら裕里香達に気を取られてやられていたかもしれない。

だがここで木刀で間に入り、攻撃を受け止める。


すかさず、「裕里香スタンガン!」と叫ぶ。

ハッとして裕里香はスタンガンで如月に当てる。


感電した如月をボコボコにして終わらせた。



最後は警察に届け、最初の方の録音データと動画を提供し、証拠として如月は逮捕された。


俺達はお咎めなし。





祐介「…はぁ…はぁ…はぁ…イェイ…!」

笑ってピースしてみせた。


裕里香『もう…そんなボロボロになって!血だらけになって!

何が怖い思いはしないよ!怖かったわよ!

だから嫌だったの!』


泣きながら、叫ぶように吐く


祐介「知るか…友達だろ、俺達。

ボロボロになってまで助けたい相手が居ただけだ。

お前も友達ならそんな事気にしてんじゃねーよ…!

泣きたい時は泣け!笑いたい時は笑え!

お前が辛くて…哀しくて泣いてるなら…俺はそれ以上に汚ねえ面して泣いてやる…!

お前が楽しくて…嬉しくて笑ってるなら…それ以上に馬鹿でかい声で笑ってやる…!

それで良いだろ…助けが欲しいなら…俺に縋り付け……!!!!」



裕里香『うん…うん…ありがとう…!』


そう泣きながら嬉しそうに笑顔で言った。


梨沙「良かったねぇ〜!裕里香ぁぁぁ!」


号泣しながら抱き寄せる梨沙

女子2人が抱き合いそして慰めあった。


そうこうしたいるうちに救急車が来て俺は運ばれた。


おデコを4針も縫った。



祐介「普通真剣とか使う⁉︎てか、なんで持ってんだよ!」





1週間ほど入院をして、退院した。

すぐにまた学校かな…なんて思っていた時。

裕里香から電話がくる。


裕里香『話があるから学校の屋上で待ってる。

必ず明日の放課後来なさいよ!!』


祐介「果たし状⁉︎

てかなんで放課後なんだよ!」


裕里香『良いから!要件はそれだけ!じゃーね!』


ブチッ



祐介「えぇ…」




そして次の日の放課後




裕里香『あのさ…話があるんだけど…』

なんだかモジモジしている。


(なんだ?小便か?)


祐介「いや昨日聞いたけど。話って?」


裕里香『うん……』


(え?なに?なにこの間…気まずい。俺何かしたか?こないだの決め台詞が痛かったとか?てか果たし状か?これ。今からお前を殺す!的な?ちょっと待ってよ。俺退院したばっかだよ?俺が何したってんだよ!てか、如月から俺を殺すように命じられて拒否ってたのに何で急に⁉︎

アレ?俺何かしたっけ?)


裕里香『あ、あのね…⁉︎実はね⁉︎最近…その…自分の気持ちに気付いたというか…知ったというか…』


(はぁ?しらばっくれてんじゃねーよ!果たし状なんてそうそう最近知るような事じゃねーよ!

殺意っつーのは隠せるもんじゃねーんだよ!今更自分の気持ちに気付いたとかありえねんだよ!来るならきやがれ!コンニャロー!)


裕里香『……祐介の事が…好きです…!!

付き合って下さい!!!』


祐介「……え?…ん?…え?どゆこと?」

(状況が読めないぞ?ん?どういう事だ?果たし状で付き合ってって何?アレ?俺話聞いてたよな?

どっかで、途切れてねーか?)


裕里香『いやだから、好きなの!好きになったから!付き合って下さい!』


(ん?なんかおかしくね?果たし状ってこんなんだったっけ?

全くわかんねぇ理解できない。最近の果たし状ってこんな感じなの?てか、最近の子って果たし状とか送るの⁉︎え?てか果たし状ってなんだっけ?

あれ?俺今何してんだっけ?もうわかんない!なにこれなんなの?)


祐介「いやぁ〜…え?果たし状ってこんなんだったっけ?」


裕里香『は?』


祐介「え?」


裕里香『いや、果たし状ってなに?』


祐介「え?いや、ほらあんじゃん?屋上にて待つ!みたいな、決闘する為に送るアレ」


裕里香『いやそうじゃなくて。果たし状はわかるよ?

なんで果たし状が出て来るの?』


祐介「いや、え?屋上で待つって言うから…え?なんか勘違いしてます?僕」


裕里香『してるね。すごいしてるね。私今ね?祐介に告白してるの。』


祐介「あっ、そう言うことね!通りで話が噛み合わないと思っ…たぁぁぁぁあ⁉︎告白ぅぅぅぅ⁉︎なんで⁉︎」


裕里香『いや、好きになったから…付き合いたくて…付き合って下さい!』


祐介「いや急すぎる!何があったんだ!お前の中で!」


裕里香『イジメを救ってくれたり今回の如月事件も助けてくれたり、惚れない方がおかしくない?』


祐介「まぁ、確かに俺のかっこよさと男前なとことかっこよさをみて惚れない女とかいるわけないよな」


裕里香『ちょっと調子に乗りすぎてて腹立つけど、本当に惚れちゃったんだ。私じゃダメかな?

祐介みたいに強く逞しく人の為に生きれる人になるから!絶対貴方を幸せにするから!』


祐介「それ俺のセリフじゃね?それプロポーズに使うセリフじゃね?」


裕里香『たしかに…で、応えは⁉︎』


祐介「え?いや…まぁ…別に彼女とかいねーし…まぁ、断る理由もねーし…まぁ別に…アレだし…そこまで言うなら仕方ないかな〜なんて思ったりもしてるし…」


裕里香『なにそれ。ダッサ。男ならズガン!と言う時言いなさいよ!覚悟決めてほら!』


祐介「え?あ、はい!

あれ?俺が告白されてるんだよね?なんで俺が告白してるみたいになってんの?」


裕里香『そう言うの良いから!さんはい!』


祐介「わかったよ!付き合うよ!」


裕里香『やったっ!!!大好き!ありがとう!』


そういうと泣きながら抱きついてきた。

こうして俺達は恋人になった。


ーガチャー

梨沙「あっ!やっぱりここか!告白は成功したの?」


祐介「なんでお前が知ってんだ!」


梨沙「聞いたもん。場所は教えてくれなかったけど。」


裕里香『成功したよ!ありがとね!』


梨沙「……そっか。良かったね…。末長くお幸せに〜!」



ちょっと拗ねたように梨沙は屋上を後にした。

雪が降り、もうすぐ3年生だねって顔を見合わせ、ニコッと笑いながら

俺も裕里香もその後を追うように3人で帰宅した。


そして何事もなくただただ、平和に3年生になり、もうすぐ卒業を迎えようとしているのである。

実はこれ、若干実話も混ざってます。

実話を大袈裟にアピールしたりしてます。


物語のアイディアは実話からなんですよね〜

リアル感出てるかなー

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