勝負
「みぃつけたぁ」
「キキキ、もうかい」
「人間のガキに女、子猫が一匹ずつだ」
「キキキ、人間のガキは殺して、残り二人で遊ぶか」
「いや、女も殺すさ」
「キキキ、もったいないもったいない」
「俺ぁナぁ、人間は嫌いなんだよぉ」
「キキキ、なら人間の女はわしがもらうぞ?」
「好きにしろ、ガキ殺してからだがなぁ」
「キキキ、すぐやるか?」
「いや、解散してからだぁ」
「キキキ、了解」
「今日は、そろそろ解散しましょ?」
「そうですね」
「じゃあ、また明日この場所で」
さて、滑り出しは好調。他種族美少女ハーレムを完成させるためにも、作戦を練らないとな。
「やっと、一人になったなぁ」
「キキキ、殺してやるよ」
いきなり、ピンチである。都合よく仲間が戻ってきてくれないかな。
「仲間を待っても無駄ぁ」
「キキキ、それぐらいは計算してる」
やばい、やばい。いきなり絶体絶命だ。
「まずは、右手ぇぇ」
「あぐぅ……」
「キキキ、うまく削ったな」
ひじから先を持っていかれた。それより、今の動きは獣人か。
「えらく余裕だなぁ」
余裕? そう見えてるのか、そうだ、いけるかもしれない。
「余裕だよ」
「キキキ、片腕失ってそれはないだろ」
「見てればわかるさ」
治癒魔法で腕を再生させる。
「なにぃ」
「キキキ、まさか」
「俺は魔術師、その中でもトップクラスでな。これぐらいは朝飯前だ」
実際は、これが限界だが。
「くそぉ、想定外だ。いったん引くぞ」
「キキキ、そうだな」
なんとか、うまくいったようだな。しかし、治癒魔法だけでも優れててよかった。これに失敗したら、なにも手がないからな。
「それで? おめおめと逃げ帰ってきたのか、おぬしらは」
「しかし、姉御ぉ。相手があんなに強いんじゃぁ……」
「ならば、他の二人からやればよいではないか」
「キキキ、しかしあの……」
「妾は、言い訳するものは嫌いじゃぞ」
「すぐにぃ行きます! 倒してきます!」
「キキ! すぐに」
二人は、逃げるように部屋を出ていく。
「あの二人じゃ、妾の期待には答えられぬか」
「仲間ができてよかった。私一人じゃ不安だったし」
「キキキ、見つけた」
誰かいる。
「誰?」
「お兄さんたちと遊ぼうよ、子猫ちゃぁん」
「キキキ、痛いことはしないよ」
なんだか、危ない感じがする。
「結構です」
「つれないこと言うなよぉ」
触れてこようとする。やめて。
「やめて!!」
「キキキ、暴れないほうが身のためだよ」
もういいよね。倒しても?
「諦めたかぁ」
「キキキ、懸命だな」
倒す。決定。後悔しても知らない。
「倒しますよ」
「あん? ないっーー」
「キキキ、なーー」
一瞬。少女が躍動したと思ったら、男二人が倒れた。
「もう二度とかかわらないで」
そう一言いい残し、少女は帰路につくのであった。
「使えぬ駒であったな。消しておいてくれぬか」
「わかりました。狐姫様」