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羽の使い道

 Wing 羽の使い道



 ピピッ

 レイズからアラーム音のような音が聞こえた。

 「レイズ、何の音?」

 伝助が訊いた。

 「ただの時計のアラームよ。計画的にセシディアに向かうためにセットしておいたの。」

 そう言って、レイズは左手の袖を捲り、みんなに腕時計を見せた。

 「・・・・・。」

 セツが腕時計をじっと眺めた。



 「レイズ、話があるんだが・・・。」

 夜になり、みんなが寝静まった頃にセツが言った。

 「ちょっと場所を変えて話さない?みんな起きちゃうわ。」

 レイズはセツの真剣な眼差しに気付いたのか分からないがそう言った。

 二人は、遠く離れた岩の裏側に足を運んだ。武器などは一切持たずに。

 「俺は鳥人族をはっきり言って信じていない。近頃じゃ他の種族は鳥人族の奴隷のように働かされてる。セシディアに抗議に行く途中に鳥人族と擦れ違いにぶつかっただけで俺は刑務所行き。この前までは王がいなくてとても平和だったのに、今じゃまるで王が帰ってきたみたいにまた種族の格差が激しい。」

 セツが強い口調で話した。

 「それと私に何か関係がある?」

 レイズは自分は関係ないという態度を示した。

 「さっきの腕時計は本当は通信機じゃないのか?それで城内と通信してる。」

 「何のために?」

 レイズはまた反抗的な態度だ。

 「理由は二つ。一つはおまえが王だから。もう一つは伝助たちを捕まえるため。地球界の人間だから城の科学部隊に預けて実験体にでもするんだろ。月華と日華は唯一の生き残りの魔術師。いろんなことに使って、使えなければ処分にでもすればいいってたぶんおまえは考えてる。違うか?」

 セツの表情が少し恐々しい。

 ペリ・・・

 レイズがいきなり自分の翼の羽を一枚むしり取った。

 「・・・・・・ねえ、知ってる?鳥人族の翼の羽って普通の鳥より丈夫なの。むしり取ったから分かるだろうけど、先端って長細くってそれに、鋭いの。だから・・・」

 ザシュッ

 「武器としても使えるのよ。分かった?」

 セツの左胸に羽が突き刺さり、レイズはもっと奥へ喰い込ませるようにグリグリと羽をねじっている。

 「細いけど、さすがに心臓に穴を開けられたら立っていられないでしょう?肺に穴を開けた方が確実に死んでたかしら?まあいいわ、どっちみちあなたはこんな何もないところに放っておかれて死ぬんだから。」

 「ガフッ!」

 ボタボタボタッ!!

 セツの口から血が零れた。

 「さて、日が昇る前に汚れた手をなんとかしなきゃ。こんな下衆な臭いが残ったら、獅子族もろともただじゃおかないわ。」

 レイズはそういい残し、伝助たちのところへ戻っていった。セツは意識が遠のく中、レイズの後姿をただただ見ることしかできなかった。



 「セツは?」

 月華が物音に気付いて目を覚ました。目をこすり合わせている

 「ああ、やっぱり自分の住んでた獅子族の村に帰ることにしたんだって。別れを言うのが辛いから、みんなが寝てる間に行っちゃった。」

 レイズが微笑みながら言う。

 「・・・・そう・・・。」

 月華はまた横になり、眠り始めた。



  To be continued


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