双子の魔法使い
Wing 双子の魔法使い
カンッ カンッ
芸者小屋の前に黒髪で長い、ポニーテールの子が薪割りをしている。
「月華、また踊りの稽古さぼったでしょ。」
芸者小屋から金髪でショートヘアの子が出てきて言った。
「あたしは、芸者なんてならないの。日華だけなればいいじゃない。」
カンッ カンッ
黒髪の子はまた薪を割り始めた。
「うちより月華の方が上手いのに・・・。それに、月華がやめるならうちもやめる〜。」
「あんたはやりなさいよ。姉の命令なんだからね!」
「双子なんだから姉とか関係ないと思うけど・・・。」
「・・・・・・・。」
「お姉さんたちも怒ってるし、やっぱり稽古休んじゃだめだよ。」
「血も繋がってないし、あたしより背の低い義姉さんでしょ。そんなの怒っても恐くないわ。」
黒髪の子は不機嫌になった。
「あの〜・・・・。」
そこへ、伝助とレイズがやってきた。
「なんでしょう?」
金髪の子が伝助に駆け寄った。
「見慣れない顔だな。」
黒髪の子が腕を組んだ。まだ不機嫌なようだ。
「月華、目上の人に失礼よ!」
「・・・・・。」
黒髪の子はますます不機嫌になっていく。
「ここに魔女がいるって聞いたんだけど?」
レイズが聞いた。
「ったく!あのおしゃべりめ、また話しやがったな!」
「月華!口を慎みなさいよ。 ああ、うちたちのことです。うちの名前は日華、14歳です。よろしくおねがいします。」
「他人に名前言ってもいいのかよ。」
「いいじゃない。この人たちいい人そうだし。月華もちゃんと自己紹介しなさい。」
「月華だ。同じく14歳。よろしく。」
月華は冷たく接した。
「私はレイズ、18歳。よろしくね。」
レイズは機嫌がいいようだ。
「伝助です。レイズと同じで18歳。よろしく。」
伝助も荷物を置いて自己紹介をした。
「それで、どうしてうちたちのところへ?」
日華が首をかしげている。
「セシディアに行きたいんだけど道が大きな氷で塞がれてるらしいの。」
「それをうちらの魔法で溶かせばいいんですね。任せてください。」
日華はやる気満々だ。
「んじゃ、あたしは寝とくわ。」
月華が小さく手を振った。
ムンズッ
「月華も行くの。黒魔術使えるの月華だけなんだから。」
日華は月華の後ろの襟を掴み、ズルズルとひこずって芸者小屋に入っていった。
「月華、早く準備してよ。」
日華が首を長くして待っている。
「・・・・よし、描けた。日華、今行くから焦らすな。」
月華が走って日華のところへ行った。
カチャッ
月華と日華が芸者小屋から出てきた。
「それじゃ、出発ーーー!!」
レイズに言われてみんなはスマラの村を旅立った。
To be continued