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小さな住人たち

  Wing 小さな住人たち



 「ん・・・んん。・・・・・・?」

伝助が目を覚ますとそこには生い茂る木々たちが集まる森の中だった。

 「ここは・・・・どこ?」

 伝助がキョロキョロと辺りを見渡すと、翼の手入れをしている女の子の姿があった。

 「えと、あの・・・レイズだっけ?名前・・・。」

 伝助はレイズの方を見て聞いた。

 ギラッ

 レイズはいきなり振り返り、伝助を睨みつけた。とても不機嫌そうだ。

 「なんで、あんたがその名前知ってんのよ。なのに、こっちはあんたの名前知らないのよ。不道理だと思わない?」

 レイズは足をパタパタさせて、すごくイライラしている。

 「え?あ、ごめん。えと、僕の名前は渡部 伝助って言います。」

 伝助は慌てて自己紹介をした。

 「伝助・・・・・なんかいまいちピンとこない名前ね。」

 レイズの機嫌はまだ直っていない。

 「ところで、ここは?」

 伝助が質問した。

 「ここは、あんたの地球界からとおーーーーーーーく離れてる世界。って言っても、超空間で繋がってるけど・・・。」

 「よく分かんないんだけど・・・。」

 伝助が首を振っている。

 「つまり、あんたのいたとこじゃなくて、別世界なのよ!そして、この世界は私の生まれた世界で、私の育った世界。」

 伝助はまだ分からないようだ。

 「・・・・・って言われても、風景もあんまり変わらないし・・・。」

 「あんな地球界と一緒にしないでくれる?!あそこは空気だって汚れて、呼吸するだけで一苦労だったんだから!おまけにあんな薄汚れた檻に入れられるなんて・・・!」

 レイズはどんどん不機嫌になっていく。

 「まあ、分かったから。・・・それで、帰り道はどっち?」

 伝助は話しを聞くのに疲れてしまった。

 「この森をまっすぐいったところの滝の裏側に地球界に繋がる道があるわ。50キロほど歩くことになるけど。」

 レイズが腕を組みながら言う。

 「50キロも?!」

 「そう、50キロ。じゃ、私は私の家に帰るから、ここでお別れね。」

 レイズが背を向けて歩きだした。

 「ちょっと、待ってよ。僕一人で帰るの?送ってくれないの?」

 伝助がレイズを止めた。

 「私は、地球界に近づくなんて二度とごめんだわ。それに、帰りたいのはあんたなんでしょ!帰って何するかは知らないけど、帰りたい理由があるんでしょ!」

 レイズは怒鳴り散らした。

 「別に・・・・帰りたい理由はないけど・・・。」

 「じゃあ、私に付いてきてよ。今からあの村で荷造りするんだから、手伝いなさい。」

 レイズが示した方向には小さく建物がちらほら見えた。

 「行くわよ。」

 レイズが歩きだした。

 「行くって決めてないんだけど・・・・・歩いて行くのか?翼があるんだから飛べばいいのに。」

  伝助もしょうがなく歩きだした。

 「村の付近じゃ飛べないのよ。魔物や戦争が起こったとき兵士が上から攻めてこないように特殊なシールドをはっているの。今は戦争してないけど。」

 「魔物がいるのか?」

 「いるわよ。特に森にはたくさん。今だって、あんたの後ろにいるかもね。」

 そう言われて伝助は辺りをキョロキョロと見渡した。



 村に着いた。しかし、様子がおかしい。建物が少し小さくできている。

 「どうやら、小人族の村ね。でも、食料や旅の準備はできるかも。」

 「小人って本当にいたんだ・・・。そういえば、旅って?」

 小人の存在に驚きながらも、伝助は質問した。

 「ここは、シェルアータ国の南西のスマラっていう村だから、東のずっと向こうの首都、セシディアが私の故郷なの。そこまで帰るための旅よ。だから、食料や武器、薬も準備しなきゃ。・・・手始めに、この白い、ヒラヒラした服をどうにかしなきゃね。」

 そう言うとレイズはお店らしき建物に入っていった。



 「やっぱり、旅をするのだからそれなりの格好をしなくちゃ。ああ、あとあんたの服、結構な値段で売れたわ。地球界の布が珍しかったのね。」

 服装の変わったレイズは上機嫌で店から出てきた。

 「なんかゲームにでてきそうな服装だ。」

 伝助が自分の格好を見た。

 「ほら、これ。食料とか旅に必要なものが入ってるから。ああ、それから、はい。あんたの武器は剣でいいでしょ。私は銃ね。」

 伝助にレイズは大きなリュックと幅が20センチはある大きな剣を渡した。

 「なんで、武器がいるの?」

 「さっきも言ったでしょ。魔物がいるって。武器持ってないと急所狙われてお陀仏なんだから。」

 伝助に悪寒が走った。

 「お前たち、セシディアに向かうのか?」

 一人の小人が話しかけてきた。

 「ええ、そうよ。」

 レイズが答えた。

 「にしても、お前、鳥人族なのにくちばしがないんだな。」

 小人が不思議そうな顔でレイズを見ている。

 「そんなことを言うために話しかけたの?」

 レイズに少し苛立ちが見える。

 「ああ、そうだった。セシディアに向かう道なら大きな氷で塞がれてるよ。」

 「なんですって?!その氷って溶かすことできないの?」

 「普通の火じゃ溶けないんだ。けど、いい方法ならある。」

 「それってどんな方法?」

 レイズがすかさず聞いた。

 「魔女に頼むのさ。」

 小人は腕を組んで言う。

 「魔女?・・・・でも8年前に魔女狩りがあって滅びたんじゃ・・・?」

 「逃げてきた双子の魔女がそこの角を曲がった芸者小屋にいるから会ってみるといいよ。」

 小人は指差して居場所を教えてくれた。

 「・・・・行ってみる価値はありそうね。」

 「ありがとうな、坊主。」

 伝助が小人にお礼を言って、芸者小屋の方に向かっていった。

 「・・・・・もう30歳なんだけど。」

 小人は少し困った顔をした。



 To be continued


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