第八話 記憶
クラシックの音楽が聞こえる・・・
俺は目が覚めた!
【京介】「ん・・朝か・・」
暗い部屋・・クラシックの音楽・・・
ここは俺の部屋じゃない!
【京介】「何処なんだ!ここは・・・」
俺は起きて辺りを見回した!
詳しくは判らないが、どうやら病院の診察室みたいだ・・・
カツ、カツ、カツ、
足音がすぐ隣から聞こえた!
【京介】「誰だ!」
俺は足音の主に尋ねた!
【医者】「目が覚めたみたいですね・・・」
そいつは俺が行った精神病院の先生だった・・
【京介】「何で先生が居るんです?俺はいったい・・・」
【医者】「どうでした?私が作り出した記憶は」
【京介】「えっ!どういう事ですか?」
【医者】「貴方は毎日朝起きて歯を磨き、コーヒーを飲み鍵をかけて会社に行く・・」
【京介】「・・・何でその事を・・・」
【医者】「会社に着くと外回りの営業、帰って来てタイムカードを押し帰る!」
俺は何で先生が俺の私生活を知っているのか訳が分からなかった!
【先生】「そしてコンビニにより酒とつまみを買い家に帰る・・・」
【京介】「あ・・あ・・・・」
俺は恐怖で錯乱状態になりかけていた!
【医者】「ここからが面白いんですよ~」
先生はニッコリ笑って話始めた!
【医者】「あなたは、花枝という女性と出会う!」
【京介】「!!!!!!」
【医者】「しかも花枝はチャットで話すだけの関係・・・最後には彼女になった様だね・・」
花枝さんの事まで知ってるのか・・・
【医者】「しかも、花枝さんとの出会いから少しずつあなたの生活が狂ってきましたね」
【京介】「あ!・・」
【医者】「横芝という謎の宅配員、赤い物が送りつけられ、コンビニの店員が箸をつけたがる・・・ま、そこは私が考えたコメディですが」
【京介】「じゃあ、2時55分も!!!」
【医者】「あ~、花枝がチャットを止める時間でしたよね」
【京介】「貴方は・・・何者なんです?」
【先生】「私は唯の医者です、まあ医師免許を持っていませんが」
【京介】「闇医者・・という事ですか?」
医者は急に怒り出した!
【医者】「医師会が私の医師免許を取り上げたんだ!私がある治療をしたということで・・」
【京介】「ある治療・・・」
医者はニヤリと笑った!
【医者】「人の記憶を消去する治療さ!」
【京介】「人の記憶を消去!」
俺は驚きを隠せなかった!そんな事が出来る人がこの日本にいたなんて・・・
【医者】「後私は、記憶を作れる治療も編み出した!」
【京介】「その治療で俺の記憶を作ってたのか?」
【医者】「そう私はある人に頼まれて貴方を拉致し、この病院まで連れてきた!」
【京介】「嘘だろ・・・!」
【医者】「貴方はある事件を起こした直後の状態だった・・」
【京介】「俺が・・事件を起こした?」
もう俺の頭の中はぐちゃぐちゃだ!
【医者】「私はそのある人に頼まれて貴方の事件の記憶を消した!」
【京介】「何だって!」
【医者】「私はある人の望む記憶を貴方に植え付けた・・・」
俺は気になっていた事を医者に聞いてみた!
【京介】「ある人って、誰なんですか?」
医者は急に恐い顔になった!
【医者】「それは教えられない!!!!」
【京介】「ひっ!!」
まるで狐に取りつかれた人の様な顔だ!
俺は恐怖で体が動かなくなっていた!
【医者】「さあお喋りはお仕舞いです・・・また貴方の記憶を消しましょうか・・・今度は一生思い出すことも無いくらいに!」
【京介】「や・・やめろ!」
ガシッ!
【京介】「うっ!」
俺の体を看護婦達が押さえつけた!
【看護婦A】「動かないで・・ください・・・」
【看護婦B】「すぐに・・・何もかも・・・忘れますから・・」
看護婦達の顔も蒼白い顔で生気が感じられない!
【京介】「やめろおおおお!やめてくれえええええ!!!」
【医者】「次に目覚めたら全てが元通りです・・
何も心配はいりませんよ・・」
次に医者と看護婦を見たときは、顔も身体も溶けていてドロドロに垂れていた!
医者が俺の顔に手をあてて来た!
熱い!まるで熱されたヤカンを顔に当てられたみたいだ!
【京介】「ぎゃあああああ!!」
俺は意識を失った・・・・
【男】「おい!兄ちゃん・・・おい!」
誰だ俺を呼ぶのは?
【男】「こんな所で寝てんじゃねえよ!」
は?寝てる・・・
【男】「起きろ!!!」
【京介】「はっ!・・・」
俺は目が覚めた!
辺りを見回した!
造りは俺がいた病院の診察室だが・・・真っ黒だ!
まるで大火事の後みたいに!
壁も床もすすや灰で真っ黒になっている!
【男】「良かった、気が付いたか・・・」
男を見ると、ボロボロの帽子に無精髭!衣服もボロボロで浮浪者の様な人だ!
【京介】「ここは・・何処なんです?」
男はビックリしている!
【男】「何だ、兄ちゃん知らないでこんな所で寝てたのかよ!」
【京介】「見る限り・・火事の跡に思えるんですけど・・」
男は俺の横に座り話始めた・・・・