第十三話 呼び覚ました記憶
弟さんが続いて語り出した。
【弟】「兄は母の記憶を消した後、父の亡骸を付き合いのあった組織の組長さんに渡すと、また東京の病院に帰って行きました・・・」
【京介】「・・・何故そんな話を俺に?」
【弟】「貴方、兄に会ったんですよね?」
【京介】「えっ?・・・会いましたけど」
弟さんには何でもお見通しと言う事か!
でもあんな話信じてくれるかな?
俺は自分に起こった事を包み隠さず弟さんに話した。
【弟】「そうでしたか・・・死んだ後もそんな事を」
ボーン、ボーン、ボーン ・・・
柱時計が鳴り出した!
【京介】「ええ、で?どうですか」
弟さんは少し下を向きながら考えた後で、俺の顔を見てきた!
【弟】「わかりました!協力します」
【京介】「えっ?本当ですか」
【弟】「はい・・・それに兄もそう望んでいると思うんです」
【京介】「恭平さんが・・・」
そして、俺は弟さんの手助けを借りて記憶を呼び覚ます事に成功した!
【京介】「うわああああ!!!!!!」
【弟】「あっ!京介さん」
俺は記憶を呼び覚ました瞬間に弟さんの家を出て走り、ただ走り!暗い山の中で震えていた・・・
まさか!これが眠っていた記憶だとしたら・・・
【京介】「俺はなんて事をしてしまったんだああああ!!!」
俺の顔はここに来るとき何度も転んだせいで、土だらけだ!
そんな事はどうでもいい!
そんな・・・花枝!花枝を。
【京介】「俺が殺した!」
そうだ、全て思い出した!
あの時俺は花枝と付き合っていた。
花枝は俺に色々尽くしてくれた。
いつも赤いワンピースを着て赤い私物を持っていた。
あの時の俺はそんな花枝がうっとおしかった!
俺が仕事仲間の女の子と歩いている時なんて、メールの受信履歴が全て花枝で埋まるほどだ。
そんな俺にも、花枝の他に好きな人が出来た!
俺は花枝にはもうなんの愛情も無かったし丁度良かった。
いつものチャットで花枝に好きな人が出来たから、別れてほしいと伝えた。
花枝はそんな事をするなら私がその女を殺してやる!と、脅して来た。
花枝は感情的になると危ない女だというのを俺は知っていた!
居てもたってもいられず俺は包丁を握り花枝のアパートに来ていた!
そして合鍵を使い、静かに部屋に入ると花枝を捜した!
花枝はパソコンの前に座っていた。
まさか俺が後ろに居るとは思わないだろう・・・
パソコンの画面にはいつも俺達がやり取りしている2チャットサイトのやり取りが映しだされている。
俺は包丁を再度握り直すと、花枝を後ろから包丁で背中を突き刺した!
骨に当たる感触が腕に伝わって来る!
花枝はパソコンのキーボードに頭を打ち付けて、そのまま動かなくなった・・・
俺は震えながら何度も壁や襖に体を当てながら花枝の部屋から出てきた!
俺は無我夢中で走った!
当然何処を走ったなんて覚えていない!
無我夢中で走って町外れの古い神社に隠れた。
その時頭が急に痛くなりそのまま俺は意識を失った・・・
全て思い出した!
だが・・・正直思い出したくなかった。
そして俺にはやるべき事が出来た。
死んだ筈の花枝が俺とチャットをしていた!
まだ決着はついてないんだ!
花枝にちゃんとお別れを言おう。
あの恭平が作った記憶!
まんざらデタラメでも無さそうだ!
何故かと言うと、あの俺が記憶の中で暮らしていたアパートは花枝のアパートだ!
花枝のアパートに行けば何かが分かる。
そして俺が全てを終わらすんだ!




