第九話 葉山恭平
【浮浪者】「ここはな・・・病院だったんだよ、3ヶ月前の火事で焼けてしまったがな」
【京介】「やっぱり火事で・・・」
【浮浪者】「火事で死んだのは、医者と看護婦二人・・・」
【京介】「じゃあ俺が見たのはやっぱり・・・」
俺は気になった事を浮浪者のおじさんに聞いてみた!
【京介】「その医者のお名前、分かりますか?」
【浮浪者】「たしか、葉山恭平だと思ったぞ!」
【京介】「葉山恭平・・・」
【浮浪者】「葉山は凄腕の精神科医だったんだ、絶対治らないとされる、痴呆症まで治しちまうんだからな!」
【京介】「痴呆症まで・・・」
【浮浪者】「あの事件が起こるまではな」
【京介】「あの事件って、記憶を消す治療をして医師会から医師免許を取り上げられた事ですか?」
浮浪者の男は驚いている!
【浮浪者】「随分物知りだな・・・アンちゃん」
【京介】「いえ、たまたま聞いた話ですよ」
俺は誤魔化した!
【浮浪者】「その通りだ!しかも同じ能力を持つと言われている弟がらみで起こした事と言われてるんだ」
【京介】「ん?同じ能力!」
ガシッ!
俺は浮浪者のおじさんの胸ぐらを思いっきり掴んだ!
【京介】「同じ能力って、記憶を戻す事も出来るんですか?どうなんですか!!!」
【浮浪者】「ぐるじ・・・」
みるみる浮浪者の顔が青くなっていく・・・
【京介】「あっ!ごめんなさい」
バッ!
俺は浮浪者の服から手を離した!
【浮浪者】「バカヤロ~!殺す気か」
【京介】「すいません!・・・俺どうしても記憶を取り戻したくて」
浮浪者は俺をじっと見た後に懐に入れていたウィスキーを差し出して来た!
【浮浪者】「飲みな!」
【京介】「は、はい!」
俺はウィスキーの小瓶を一口飲んだ!
【浮浪者】「どうやら訳有りみてえだな・・・」
【京介】「はい・・・」
浮浪者のおじさんは落ちていた新聞の広告の裏に持っていたマジックで何かを書き始めた!
【京介】「あの・・・何を書いているんですか?」
【浮浪者】「え~と・・・ここがこうなって・・・出来た!」
【京介】「何が出来たんです?」
浮浪者のおじさんは俺に広告を渡して来た!
俺はおじさんが書いた広告の裏を見てみた!
【京介】「これは・・・地図!」
おじさんはウィスキーを呑みながら答えた。
【浮浪者】「元漫画家だけあってなかなかのもんだろう!」
確かに・・・上手だ!
しかも葉山の弟の事まで書いてある!
人物画は・・・・目がキラキラしている!
【京介】「もしかしておじさん・・・少女漫画家だったの?」
【浮浪者】「おお!分かるか、やっぱり腕は落ちてなかったな~」
いや、分かるよ!目がキラキラだもん・・・
【浮浪者】「そこには弟の住んでる所までの地図も書いてあるからな!」
俺は驚きまくりだ!
【京介】「よく、そんな事まで分かりますね・・・」
おじさんは親指を立てて自分に当てた!
【浮浪者】「伊達に浮浪者してんじゃねえよ!この辺の事だったら何でも分かるぜ!」
俺は立ち上がりおじさんにお礼を言って去ろうとしたが、最後にもうひとつ聞きたい事があった!
【京介】「おじさんのお名前は?出来ればペンネームで・・・」
【浮浪者】「俺か?俺は・・カトリーヌシュバルツだ!」
【京介】「色々ありがとうございました!」
【カトリーヌシュバルツ】「おう!早く用事済ませて帰って来いよ。
そしたらまたゆっくり酒でも呑もうや!」
【京介】「はい!行ってきます」
俺はカトリーヌシュバルツと別れると駅に向かって歩き出した!
そうそう、後でカトリーヌシュバルツをスマホで検索したら・・・・少女漫画家の中でも神的存在の人だったらしい・・
何故今浮浪者をやっているかは謎だ・・・




