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  作者: 空と雲
8/9

無線07

side.七尾シラギ


 はぁーまったく。オレの人生は災難が多い!

 なにも先輩を探しに行かなくても……。あ、いや。先輩だからこそ探しに行くのか?

 どちらにせよ、身に降りかかってくる危険は免れないということだ。


「確かこのあたりだな」


 オレは一旦浮遊を止め、地上に降り立った。土の湿った感触がどうにも心地悪い。

 青梅さんによると、このあたりは無線も繋がらないらしいから、気をつけなければ。

 ん? 待てよ。無線が繋がらないってことは、連絡手段が途絶えたってこと……だよな。


「オレ早速ピンチじゃんかぁあああ!!」


 どうする、オレ。どうするどうする。まだ死にたくないよー!

 

??「発狂なさって、どうしたのですかおチビさん」

「……へっ??」


 そこに立っていたのは、黒い影。勿論人間なのだが、ひとかたまりの黒い影のように見えた。


「七尾殿ですね。大丈夫ですか」

「烏羽……〆離さん??」

「ええ。援護に参りました」

「えっ。あの……オレ――――の?」

「他に誰がいるというのですか。お馬鹿ですね」


 〆離さんってこんなに優しい人だったっけ。


「それで――――青梅さんは今……?」

「ああ、モノさんは大丈夫です」

「本当ですか? さっきは貴方が1人で保護していたのではないんですか?」

「ええ、いかにも」

「今はどうなんですか。玉なんとかって奴に狙われているのでしょう?」

「玉露は戦闘ではC階級トップクラスですが、S階級トップレベルのモノさんに匹敵するとはとても思えません」

「しかし、青梅さんはお怪我をされていると……」


 ドスッ


『!?』

 ふたりの話を遮るようなタイミングで、空から何か棒のようなものが降ってきた。


「なんでしょう、これは」

「さあ。何か薄く文字が書いてありますね」

「読んでみましょうか。ええと……」



      竹壱



 戦慄がはしった。

 それは、酒井囲雄の唯一の武器だった。

 驚きと不安の要素はそれだけではない。


「これ……血、ですか?」

「そのようですね」

「無事、ですよね」

「おそらく」

「まだこの地にいますよね?!」

「……大丈夫でしょう。彼は、そう簡単に死なない」


 不安はつのる。

 気がついた頃には、オレは〆離さんのボロボロの腕に抱かれていた。


「カコオさんは、まだ二酸化炭素を放出しています。急ぎましょう」

「……はい」


 お願いです。生きていてください。

つづきます。

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