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青空同盟  作者: 紅和
あかいそらのしろいくも
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心に怪我をした

 人でごった返した体育館の出口。負傷者が出るんじゃないかと思うほどみんな必死だ。

 月に一度、四時間目にある生徒総会の後はいつもこんな感じ。食堂に向かってもうダッシュする奴が多いから。



 うちの学校の食堂には「レア定食」なる物がある。一日限定20食で、値段はちょっと高めだけれどその分豪華でおいしい。そのせいか、食堂は毎日ものすごい混雑だ。入学して初めて食堂に行ったときはびっくりした。

 一年の途中まで、私もその中でお昼を食べていた。だけどいつからか、毎日お弁当を作ってくるようになったんだ。そう、あの男がいたから。



 ……私ってけっこう一途な女の子だったんだ。



 不意に湧き上がってくる終わったはずの想いは、まだ私を解放してくれない。

 もうあの日から一週間もたつのに……今までこんなにひきずったことはなかったのに……。




 立ち止まっていた私にぶつかっていく人の波。ここにいたら邪魔になることにやっと気づいてまた歩き出す。

 今日のお弁当のおかずにはから揚げが入っている。それを食べて元気だそう。

 少しスピードをあげて教室に戻った。







 教室に入ると、自分の席は既に占領されていた。クラスの女子のグループの中でも中心的存在な「木本グループ」に。


「あ、ごめんね」


 私の席に座っていた木本さんが言った。その言葉に愛想笑いを向けながらカバンの中から弁当箱を出して、すぐに廊下に出た。

 女子のグループ制は苦手だ、昔から。



 そのままゆっくり歩いて中庭にでると、ほっと息をついた。

 陽射しがやわらかくて気持ちいい。ここでお昼を食べようと思って、何個か置いてあるベンチの一つに座った。微かに匂う花壇に咲いた花たちを眺めながら、お弁当の包みをあけて箸を出す。



 だけど、癒しの時間はすぐに終わった。




 何気なく視線をあげたその先。一番会いたくないあの男がいた。隣には昨日も見たかわいい女の子。

 後姿でもわかる、そのことが心にツンときた。


 それでも頭だけはなぜか冷静で、体も動いた。

 気づかれないように立ち上がって、気づかれないように走った。




 頬をぬらすのは、涙じゃない。


 頬を伝うのは、汗だ。絶対に。

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