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決闘と部屋割り

「さあて、契約も決まったし、今日は休ませてもらおうか。契約は後日にでも」


「少し待ってもらおうか」


 そういって前に出てきたのは、青いイケメンだった。いろいろ青い。鮮やかな青の髪にそれと同色の目。青を基準とした貴族っぽい服に腰には金や銀の装飾に大きな宝石もついた大きな剣を持っている。見たところ、どっかのお坊ちゃんかな?リア充ってやつですね。爆発しろ。


「俺はお前たちを信用できない。お前たちの力で魔王を本当に倒せるのか?地面を割るくらいなら少しランクの高いギルドの冒険者でも簡単にできる」


 《ギルド》これまたファンタジーな単語だな。


「それに俺だけじゃない。他にもお前たちを信じられない者たちが何人か(・・・)いるようだしな」


「それで?俺達にどうしろって?」


「力をためさせてもらおう。一か月後だ。一か月後に俺と決闘してもらう。俺に勝てば、契約でも何でもしろ」


「決闘だと?」


 正直言ってめんどくさいっす。嫌っす。なれもしない交渉して疲れたし。

 でもお坊ちゃん怒ってる感じだしな・・・。

 ああ、そうだキリだけ戦わせりゃいいじゃないか。うんそれがいい。


「それなr「一か月後、闘技場で決闘だ。俺以外にもう一人連れて来よう。いいか、逃げたらこの国から追い出すからな・・・!」


 逃げ道もふさがれました☆


「おいおい、そりゃ暴論だろう。俺は被害者だぞ?それなn「いいか!逃げたら承知しないからな!!」


 そういって、青いイケメンは足を踏み鳴らしどこかへ行ってしまった。

 ニヤニヤ笑っている奴ら、オロオロしている奴ら、ため息をする奴らと反応はそれぞれだった。


「はぁ・・・、息子がすまなかったな」


 そのなかのため息をしたグループの王が俺に謝る。あんたの息子かよ・・・。


「全くだ・・・、どうするんだ」


「うむ・・・、いい機会だ。皆に実力を認めさせてやるのもいい。明日から訓練を始めてもらおう」


 訓練ねぇ・・・。正直言ってめんどくさい。それに独自で調べたいこともあるしな・・・。


「いや、俺はいい。キリだけ訓練させておいてくれ」


「だがしかし・・・」


「いいんだよ、それと地図でもくれこの城の地図と町の地図」


「うむ・・・、用意させておこう。それでは今日は疲れたじゃろう。部屋に案内させよう」







「いやー、緊張したっすよ。勇者様すごいっす」


 案内役はなぜかさっきの緑の騎士だった。騎士は楽しそうに先ほどのことを語る。


「我儘姫と言われるマリア様を震えさせるなんて!マリア様ウザいからスッキリしました!」


「いや、ただのガキンチョだろ。てか上司だろ。いいのかよ、そんなこと言って」


「正、本当に何言ったの・・・?」


「だから、秘密」


「あ、部屋についたッス。どうぞ」


「「おお!」」


 部屋は一流ホテルのようだった。ふかふかのベットに大きなシャンデリア窓からは城下が見えさらに遠くには美しい山々が見える。


「正!見てみて!シャワーと風呂がある!」


 部屋の浴室にはシャワーも備えられていた。しかも現代風。


「マジか・・・。お湯も出るな・・・」


「それくらい普通っすよ。ちょこっと魔法使ってるだけっす。勇者様の国にはなかったすか?」


「いやあったけど・・・」


「正!トイレもある!しかも水洗!」


 キリがはしゃぎまわる。確かに驚くのも無理はない。文明レベルはかなり低いと思っていたし・・・。


「それじゃ、俺はかえるっす。おつかれしたー」


 緑の騎士はやる気のない挨拶で部屋から出ていく。


「え、ちょ、ちょっと待って!」


 だが、帰ろうとする騎士を慌ててキリが呼び止める。


「何すか?俺この後彼女とでーtゲフンゲフン指令が入ってるっす。重大っす」


 もう仕事したくないオーラを出しながら騎士が振り向く。いやお前今デートって言おうとしたよな・・・。


「え、僕の部屋は・・・?」


「何言ってんだキリ?」


「部屋は一つっすけど?」


 俺たちは首を傾げる。

 あ、そういえばキリは俺が女だと思ってるのか。


「あー、なぁるほどっすぅ」


 騎士も意味が分かったらしくにやにやと笑う。全身フルで鎧装備してるから表情分からないけどなんとなく声色で。


「いやぁ・・・、でも仕方ないっす当初の予定では勇者様一人の予定だったすから。いいんじゃないっすか?ベットでかいですし」


「別に俺はいいけど?」


「駄目!絶対!」


 キリは顔を真っ赤にして断る。

 仕方ない、それなら・・・。


「俺が廊下で寝るか・・・」


「それもダメ!」


 今度は真っ青にして言う。コロコロと表情が変わって面白いやつ・・・。


「まあまあ勇者様」


 騎士がキリの肩をたたきながら部屋の外へ連れて行く。



紀里谷side


 騎士さんは僕の肩をたたきながら強引に廊下に連れ出した。 


「勇者様、俺には痛いほどわかるっす。恋してるんすよね」


 き、騎士さん!!何を!?


「な、な、な、な、ななにおおおっしゃって!」


「いえいえ、俺もその年の時は味わいましたっす!恋の苦しみ!胸が痛いっすよね!好きなんすよね!」


 騎士さんは僕の背中をバンバンと叩く。い、痛い、鎧のとげとげが!


「ま、まあ・・・嫌いじゃないけどぉ?・・・お、幼馴染のお姉ちゃんだしぃ?」


 そ、そうだよ・・・!昔から正とはずっと一緒にいてただの姉弟みたいなもので、恋愛感情とかは全くなくて・・・。


「かーーーっ!若いっすね!恋っすね!切ないっす!!いいじゃないですか!チャンスっす!」


 思わずその言葉に顔が真っ赤になる。体の中から火が出ているようだ。

 や、やっぱり恋なのか!?


「ちゃ、チャンスって何言ってるんですか!」


「チャンスっす!女の子が全く知らない土地に!信じられる人ぁ居ない!不安な気持ち!そこで幼馴染の男の子がかっこよく助ける!はい!惚れました!付きあう!」


 しょ、正と付き合う!?

 そ、そんなことになったら・・・。



―――――――――――――

 

 真っ白な教会でたくさんの人に祝われる正と僕・・・。


『正・・・、綺麗なドレスだよ』


『キリもカッコイイね・・・』


『そーれ!早くキスっす!キッス!キッス!それ!チュッチュ』

 

 緑の馬鹿にも祝われて僕たちは唇と唇を重ねて・・・


―――――――――――――



「ゆうしゃさまー、トリップしないで帰ってきてっす」


「騎士さん!」


「なんすか!?」


「僕頑張ります!」


 正とのゴールインを目指して!




紀里谷sideout




ガチャリ


 扉の開く音がしてそちらを見ると肩をくんだキリと騎士が入ってきた。

 何やら楽しそうだ。キリもなぜか自身に満ち溢れた表情をしている。


「正!僕頑張るよ!」


「応援するッス!」


 二人は拳と拳をコツンと合わせた。

 なんだろう、何故か寒気がする。貞操的な意味で・・・。


「何がだよ。つーか部屋はどうするんだ?」


「えっ・・・そこは・・・廊下で寝ます・・・」


「勇者様へたれっす!!!」


 よくわからんが楽しそうで何よりだ。




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