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召喚陣はあきらめない

 フラグを建てないでのリメイク版です。キャラはかなり変わりますが。アイリスと主人公と王子は変わりません。

 どうぞよろしくお願いします。

 オレンジ色に染まった空、俺は幼馴染の白鷹紀里谷 (しろたかきりや)と家へと帰るため歩いていた。

 高校卒業間近の俺こと黒田正平 (くろだしょうへい)は隣を歩く幼馴染と高校生活の思い出を話していた。


 かつての先輩たちとの思い出、部活の後輩との思い出、ハゲが発覚した桂岡先生、何故か男にストーキングされた事件、クラスメイト達との思い出・・・思い出しても切りがない。楽しかったな・・・。


「でも、僕は正が卒業しちゃうと寂しいな・・・」


 キリは俺より年下で、俺と同じように卒業しない。


「何言ってんだ、お前は友達いっぱい居るし、ハーレムメンバーが居るだろうが」


「はーれむ?なに言ってんの?僕はこんな顔だし、モテるわけないよ」


「自覚がないって怖いな・・・」


 こいつの顔はかなりイケメンだ。童顔イケメン。美少年と言う言葉がよく似合う。俺の肩より少し小さい身長に薄く茶色かかった髪に月を思わせる黄金の目、ふんわりと笑う姿は女子を魅了し男子を嫉妬させる。


「僕のお姉ちゃんは正だけだもん・・・。さみしいよ」


 キリは悲しそうにうつむいてため息をつく。


「俺は男だっつーの」


 キリは慌てて口を手で押さえる。そして片方の手の人差し指だけのばして、秘密だとジェスチャーしてくる。


「あ!そ、そうだったね!これは秘密だったね・・・」


「だから違う・・・」


 この馬鹿は何を勘違いしたのか、俺のことを女だと思っている。(十数年の間も一緒にいるのに)

 こいつの脳内では俺は金持ちのお嬢さんで社会勉強のため小さいころから一般の社会で生活している。しかも、俺は一人っ子で次期社長候補だが女のためなかなか実力が認められないから女であることを隠して生活をしているそうだ。

 どこの安いラノベだ。こいつ本当に俺の幼馴染なのだろうか。俺のこと誤解しすぎだ。


 だが誤解するのも仕方ない?かもしれない、かもしれない。


 艶やかな漆黒の髪を長く伸ばし(親に切らせてもらえない)髪と同じ闇のような色の瞳、ふっくらとした唇。これだけでも美女だと思う。自分で言うのもなんだが。それに加えて日本人としては高身長のためか女子からは≪ベストオブお姉さま≫の称号を頂いてしまった。すぐにお返ししたい。

 

 羨ましいと思うやついたら挙手しろ。その考え間違いだから。お前ら体育で着替えるたびに男子から獣のような目で見られるのを耐えられますか?そのために俺だけ別室で着替えるのに耐えられますか?

 勝手に百合女子に同人誌で俺を使われるのに耐えられますか?

 男子どもの夜のおかずにされるのに耐えられますか?ん?どうですか?


「あーあ、正が卒業しなければいいのに」


「物騒なこと言うな。お前が言うとエンドレス高校生活でも始まりそうだ」


 その時だった、キリの立つ地面が光り輝いたのは。


「な、なにこれ!?」


 爛々と光り輝く地面に目を向けるとそこには理解できない文字を使った《魔法陣》があった。

 やべえ・・・これは非科学だ。まさかの《勇者召喚》ってやつかい? 


「くっ、キリ!狙いはおまえだ!!よけろ!!」


 おそらく狙いはキリ。それ以外ありえない。このフラグ体質野郎以外ありえない。

 案の定、魔法陣はキリを追いかけていく。


「さて、どうするかな・・・」


 これが異世界召喚てやつなら召喚者がいるはず。そいつの力?だか魔力?かなんかが尽きたら俺らの勝ちだ。


 キリは追いかけてくる魔法陣をひょいひょいと避ける。


「正!っよっと、これっ、どうする!?あらよっと」


 余裕そうだな。よけながらバクテンも加えはじめた。

 正が避けると魔法陣はついて行く。正がジャンプしながらひねりを加えて避けると魔法陣は地面をはって移動する。


 見たところ魔法陣は飛ぶことはできないらしい。しかも光が弱まってきた。これなら逃げ切ることが出来そうだ。


「そのまま避けろ!たぶん逃げ切れるはずだ」


 だがそううまくいかなかった。魔法陣はキリをあきらめてこちらに向かってきた!


「正!」


 魔法陣は最後の力を振り絞っているのか、ものすごい速さでこちらに向かってくる。

 やべえな・・・いきなりだったからか動けない。


 俺は魔法陣の光に呑まれる。ズププ・・・と、どこか知らない世界に引きずり込む。

 俺はどうなるんだろう・・・、異世界で家畜のように働かせられるのか?魔王でも倒せって言われんのかな?もしかしたら洗脳でもされて一生帰れなかったりして・・・。


 薄れゆく意識の中、キリが魔法陣に向かって飛び込んでくるのが見えた・・・。

 バカだなあ・・・、お前・・・、だが・・・・・・、そんなお人よしだからみんなに好かれてるんだろうな・・・。


 そして俺たちは地球から消えた。



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