表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/18

8

冒険者になってしばらく経った頃。


酒場の隅で、私は仮面の口元だけを開けスープを啜っていた。


「おい、あの口元を見ろよ。絶対に美女だぜ」

「ああ、隠されてると余計に見たくなるな。きっと、とんでもないお宝が拝めるぞ」


人は、欠落した部分を勝手に想像で補完する。

その仮面の下に暗い穴が空いているとは夢にも思わずに……。



不意に、背後から無遠慮な手が伸びる。


「おい、ちょっと面拝ませろって!」


抗う間もなく、銀の仮面が乱暴に剥ぎ取られた。

正面に座っていた男が食べかけのパンを落とし、口を開けたまま硬直する。


「どうした? 声も出ないほどの美人だったか?」


仮面を奪った男が、ニヤつきながら私の正面へ回り込む。

視線が交差した瞬間、男の顔から血の気が引いた。


「う、うわっ!!」


男の喉から漏れたのは感嘆ではなく、生理的な拒絶だった。


「ああ……あ、なんか済まねえ……そんなつもりじゃなかったんだ」


その謝罪は、どんな攻撃魔法よりも深く私の尊厳を切り刻んだ。


「俺はただ、お前を今夜の主役にしてやろうと……」


男は、怯えた手つきで仮面を差し出してきた。


「……ご期待に沿えず申し訳ありません。貴方が思い描いていらしたお宝は、とうの昔に失われて、ここにはもう、見るに堪えない残骸しか残っていないのです」


私は仮面を奪い取ると、男たちの視線を振り払うようにその場を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ