レン君改造計画の始まり
「しかし珍しいわね。わざわざ私の教室に二人で来てお昼を誘うなんて。」
翌日、私達は作戦を決行する為にナギちゃんの教室に来て3人でお弁当を食べる事にしました。
「だ、だって……ユキちゃんと一緒に食べてると、私が珍獣の様な視線が飛んで来るんだもん。」
「だからヒジリちゃんは気にし過ぎだって。本当に目立つ事に慣れていないんだから。」
ユキちゃんは呆れ顔で言いますが、正直メンタルに来るので遠慮したいです。せめて屋上とか妥協案としてナギちゃんのクラスの方が平和です。
「そう言う事ね……相変わらずの様で安心したわよ。ところでタツミ君と知り合わせる話ってどうなったの?」
ナギちゃんは週末に何も連絡が無かったので少し拗ねた様子で聞いてきました。別に仲間外れにしたわけじゃ無いからね?
「ああ、それはもうバッチリ紹介してもらったわ。やっと名前を憶えてくれたの……取りあえず第一段階は突破したわ! 持つべきものは友達ね!」
「恋敵を友達と呼べるユキのメンタルだけは本当に尊敬できるわよ……本当にこの子の場合は後腐れが無さそうな所が逆に恐ろしいわね。」
ナギちゃんは相変わらず、苦手だけど憎めないと言った表情でユキちゃんの方を見ています。多分苦手の部分は私の恋敵として居ると言う点だけでしょうけど。
「だから言ったでしょ? 恋は恋、友情は友情ってね!」
「ハイハイ、私も変わり者と思ってたけど、十分にユキも変わり者ね。」
「変わり者同士仲良くしましょって事で良いのかしら? まぁヒジリちゃんも変わり者の方だしね。」
「え? 私の方がかなり変わり者の様な気がするんですが……。」
皆で変わり者同士と言いますが……ストーカーのレベルとかを考えれば私が一番の変わり者の気がします。あ、でも愛の重いナギちゃんとか、陽キャラ過ぎてリアルラックが無いユキちゃんとかも十分に変わり者としては似ていますかね?
「でもこうやって見ると、黙っていればイケてるメンバーよね?」
「黙っていれば……ここが大事だわよ。」
「口を開いた瞬間、残念女子の集まりとすぐにバレるって事?」
「ヒジリちゃん、自分で残念女子と言うのは止めておきなさい。まぁ残念な所は各自が分かっているだけになおさらね。」
ユキちゃんがそう言って秋空を見上げる様に外を覗いています。ナギちゃんもつられて目を向けています。
「確かにこの風景だけを切り取れば素敵な光景に見えるね。」
「ヒジリちゃん!? いや、解ってるわよ。でももうこの年齢になるとキャラなんて変えられないわよ。」
ナギちゃんがちょっと怒りながらも、すぐに諦めた表情になってため息をついています。
「キャラは変えられないけど、少しイメチェンする位は出来るんじゃない? 折角だから週末に買い物行かない? 今度はしっかりお小遣い持って買い物行きましょう! 私が二人に少しだけどイメチェン出来るものをコーディネートしてあげるわ!」
ユキちゃんが楽しそうに提案してきましたが、ナギちゃんは憂鬱そうな表情で顎を机に当ててぼやき始めました。
「週末は勉強漬けの毎日よ……新人戦が近いからレンが勉強見れないからって大量に宿題出してきてるのよ。まぁそれを添削しているアイツも凄いとしか言えないけど。新人戦後にすぐに統一テストってどう言う行事日程よ。」」
私とユキちゃんは顔を見合わせてしまいました。今までは特に気にして無かったけど、確かに何か変な感じがします。ちょっとナギちゃんも根を詰め過ぎている気がします。
「じゃあ、今週は放課後3人で勉強会をやってササッと終わらせましょう! そうすれば半日位は買い物に行ける時間が作れるんじゃない?」
「そうだよ、どこかで一回息抜きしよう? 折角だし、今回は気兼ねなく3人で遊ぼう?」
私達がそう言うと、ナギちゃんは少し考えた後に頭を上げて結審した表情をします。
「そうね! たまにはそうしましょう! やる事やったら文句を言われる筋合いも無いわよ!」
そして私達は放課後にナギちゃんに勉強を教えながらレン君のからの課題を片付けましたが……この問題のレベルはどこの大学に行くつもりなのでしょうか? 正直私でも難しい問題がチラホラありました。
既に高校2年生の秋ですから、志望校は決まり始めないとダメな時期です。でも勉強会での話の中では特にレン君の希望大学も言われていないとの事でした。
今までは今行けるナギちゃんの大学にレン君が合わせるとばかり思い込んでましたが、ソウタさんからの一言で色々と疑問を持つようになってしまいます。
そして私達は作戦の第一段階である、ナギちゃんを土曜日の午後にショッピングモールへ連れて行くと言う目的を達成しました。
ここからはソウタさんの出番なのですが……本当に大丈夫でしょうか? 真面目な時は頼れる感じがするのですが……どうも何か抜けている気がして不安でしょうが有りません。
「ヒジリちゃん? どうしたの? 難しい顔をしてるわよ。」
「え、あ、いや、ヘアアクセサリーを見ててちょっとした違いで随分と雰囲気が変わるなと思って。」
「そうね、私もレンから貰ったこれ以外は持って無いわね。そう言えばヒジリちゃんのヘアクリップもいつの間にか付けていたけど可愛いわよね。」
そう言って私が普段使っているヘアクリップを見て来ましたが……流石にタツミ君に二人の件で協力をお願いされた時にもらったとは言えません!
「あ、うん。一目惚れして買っちゃんたんだ。でもそれ以外はあんまり買おうとも思えないのよね。」
私とナギちゃんがそんな話をしていると、ユキちゃんが商品が置かれている台の反対側から顔を出して来ました。
「二人ともイメチェンなんだから、髪型を変えるとかと言う方向性は無いのかしら? ナギはいつもお団子ヘアーだし、ヒジリちゃんは背中で一本に纏めている以外見た事無いんですけど。」
「それはいつもおさげ髪にしているユキには言われたく無いわよ?」
ナギちゃんが不服そうに言い返していますが、どこか楽しそうに言い合っているのが分かります。
「だから私も今日は変えてみようかと思ってね。ナギも道連れよ。」
ユキちゃんはすぐにナギちゃんの後ろに回って来ると、シュシュを外して髪をほぐしてどこからか取り出したヘアブラシで髪型を整えて行きます。
「ほい、いっちょ上がり。簡単だけどポニーテールも良い感じじゃない? 学校の日はクセ毛だから大変そうだけど、今日みたいな日は変えてみても良いんじゃない?」
そう言って器用に髪をまとめ上げてしまいました。ヘアゴムで仮止めして、そのままアクセサリーを選んで遊び始めました。
「き、器用ね……私がやろうとしても中々出来ないわよ。」
ナギちゃんが驚きながらユキちゃんの玩具にされてます。
「ナギ、ヘアブラシも今はクセ毛を纏めやすいのが有るのよ? そう言うの試してる? まぁちょっとお高いけどね。」
ユキちゃんはヘアブラシのコーナーを指差しています。私はそのコーナーを覗いてみると確かに普通のに比べて3倍以上しますね……。
「さてと、どうかしら? たまには良いんじゃない?」
振り返るとふんわりとした感じのポニーテールにしたナギちゃんが居ました。シュシュも変えて新しいのにしています。コレはコレで可愛いです!
「凄く似合ってるよ。」
「そ、そう? だったら折角ユキがやってくれたからコレ買うわ。後、ヘアブラシも教えてもらえる?」
3人で談笑をしながら買い物をして店を出ましたが……さて、ここからが本番です。




