祭りの後 女性側
「それで、あの後は無事に合流できた?」
「お陰様でね……それよりもそっちは何か進展は有ったのかしら? 折角の2人での夏祭りなのだから何かしらは有ったのだわよね?」
お昼の学校の屋上で私とナギちゃんはお弁当を食べながら先日の夏祭りの報告をお互いにしていました。
「一緒に屋台で遊んで、色々食べて花火を見て、いろんなお話をしたって感じかな? ナギちゃんの方は?」
うん、ナギちゃん達を見てそれを真似たタツミ君と手を繋いだとかは……いろんな意味で言えませんね。
「相変わらずだわね……まぁ、私が人混みに流されてはぐれてしまったせいで、あんまり時間も無かったわね。」
「合流後は? 特に何も無かったの?」
「え? べ、別に何も無いわよ?」
「ふ〜ん……」
顔を赤くしながら言っても説得力が無いですね。照れ隠しをしていますが、手を繋いだ位は言えば良いのにと思ってしまいます。
「ね、ねぇ? 確認だけど……そのリアクションは……見てたわね?」
「何の事かな〜? 人混みが凄かったから覚えてないな〜。」
私が目を逸らしながら棒読みをしていると、ナギちゃんがワナワナと震えながら詰め寄ってきました。
「ね、ねぇ!? 見てたの!? 見てたんだわよね!? ちょっと、どこから見ていたか正直に話しなさい!」
「気のせいだよ〜、レン君がはぐれない様にって手を出したのとか見てないから!」
私が棒読みを続けていると顔を真っ赤にして少し涙目になりながらこちらを睨んでいます。
段々とプルプルと震え出しているのが分かりますが……ちょっと可愛いなと思ってしまいました。
「案内した手前、ちゃんと合流できたか心配になったのよ。無事に見届けてから立ち去ろうとしたんだけど……相変わらず、ああ言う時のレン君の行動は凄いよね。」
「ね、ねぇ? 本当にどこまで見たの? それにどこまで聞いてたの? お願いだから正直に言って!?」
「それ以上は見てないよ。流石にそれ以上は無粋だから辞めようってタツミ君が言ったから。」
「本当に? 信じるわよ?」
未だに疑いの目で見て来ますが……そこまで恥ずかしがるなんて、あの後何かあったのでしょうか?
「ねぇ、何か見られたくないイベントが起きたの?」
「え? あ、いや……その…… 」
なんでしょうか? いつものナギちゃんらしくありません。いやコレもこれで何と言うか可愛らしいのですが。
「うん、正直に言おうか? そうでないと私も協力するのが難しくなるよ?」
意地悪く言うと諦めた様な表情で語り始めました。
「べ、別にヒジリちゃんが期待しているような事は無いと思うけど……ほら、私って小柄じゃない?」
私は素直に頷きましたが、小柄な事を気にしているナギちゃんが自分からそのネタを出すと言う事は……
「あの後も……結局手を繋いでもはぐれそうになってね……混雑が酷い場所に移動したせいで離れそうになったのよね。」
何故にそんな混雑地へ……穴場をもう少し探そうよ。レン君にしては珍しく減点内容のプランです。
「結局はほとんど密着状態での移動になっちゃってね……流石にその状況に耐えられなくなってしまったのよ。」
「はぐれない様にしてたら必然的に人混みに押されて密着状態が続いたと言う事なのね?」
黙ってナギちゃんが頷いて顔を真っ赤にしています。が、それで終わり!? その後は何か進展は無いの! え? これって更に突っ込んで良いんだよね!?
「それ以上聞かれても、これで終わりだわよ? 後は人混みの少ない所ので見てから、疲れ切って帰ったわよ。」
「え? そこまで密着状態が続いたのに進展無しなの? もうちょっと何か起きないの?」
「聞いてた? 疲れ切って帰ったの……正確には私の体力が限界を迎えたわよ。流石にしばらくは人混みは勘弁して欲しいわ……」
本気でウンザリした様な表情で頭を抱えています。人混みに当てられましたね……こうなるとしばらくの間は引きこもりモードになると言うやつですね。
「そうなのね……まぁ、ムードよりも疲労の方が強かったと言う事なのね。」
「そうね……あそこまでの疲労に達すると色気も何もあったもんじゃ無いわよ。デートするなら体力配分も大切と良い勉強になったわよ。」
私達の場合はタツミ君が私の体調を気遣って花火を見る場所はあんまり混まない位置にしてくれましたから問題有りませんでしたが、そう言う要素も大事なのですね。
「と言う事は……あの後は特に進展も無く?」
「全くと言ってね? と言うか、あのヘタレが私から行動しないでアクションを起こすとも思えないわよ。」
大きな溜息と共にガックリと頭をうなだれています。
う〜ん、レン君の普段はの行動は充分に文句が無いのに意外と奥手と言うか何と言うか……いや、ここはナギちゃんの言う通りにヘタレという言葉が正しい気がして来ました。
「そう考えると……まだ私達の方が進展したと言えるのかな?」
「そうよ、むしろ本題はヒジリちゃん達よ!? どうだったの?」
「いや、何というか……まぁそこそこかな? 良い雰囲気での会話をした位だけど、前よりは距離が縮まったかな? っていう程度だけどね。」
興味深げにナギちゃんが身を乗り出してきてます。
「どんな感じの会話だったのよ? 何と言うか今までの様なお勉強だけの会話とかじゃ無いわよね?」
「え、えっと、普通にお祭りの屋台で遊びながらの会話とか、花火見ながらまた来年も来れたら良いねとか、そんな話をした記憶が有るかな? 後、タツミ君の剣道の話とかも少ししたかな?」
「ほほう……って来年も来れたらと言ってる時点で中々好感度は高そうだわね、良い感じゃない? と言うか……剣道の話をした時にストーカーさんネタの部分はバレなかったでしょうね?」
ちょっと悔しそうな表情を浮かべながらも素直に喜んでくれている感情が伝わってきました。
「多分大丈夫だと思うよ? ナギちゃんに連れられてレン君の試合を見に行くときに一緒に見たと言っておいたから。口裏合わせはお願いします。」
「その程度は大丈夫よ、もしレンが口を滑らせたら……何をしてやろうかしらね。」
そう言って両手を合わせて頼むと、ナギちゃんはいつもの笑顔で応じてくれました。すこし邪悪な笑みが見えるのは気のせいでしょうか? いや、気のせいでは無いですね。
そして残ったお弁当を食べ終わりそうな時、それは突然やって来ました。
「あ、居た! やっと見つけた! ちょっとお二人さん、すこ~しお話したい事が有るんだけど良いかしら?」
私達が声の主の方へと視線を移すと、そこにはおさげ髪が特徴的な人居ました。
「み、三上……さん?」
お話? もはや嫌な予感しかしません! すぐにでも逃げ出せと頭の中で警報の様な物が鳴っている気がします!




