試合の後で、公式に4人で集合
「しかし、レンの成績はパッとしなかったわね。待ち過ぎでチャンスを逃している様に見えたんだけどヒジリちゃん的にはどう見えた?」
「そうだね、返し技が上手いのは確かだけど……攻めっ気が無いせいか相手へのプレッシャーが足りない様な気もしたね。」
私とナギちゃんは、学校の最寄り駅近くのファミレスで今日の二人の試合の感想を語り合っています。
「逆にタツミ君は攻めっ気が強すぎてって感じも有ったわね。でもその分レンよりは成績が良かったと言う所かしら?」
「ん~確かにタツミ君のスタイルが変わったのは驚きだね。前よりもさらに攻撃的になっているよね。その分、相手のさばき方が上手いと苦労している様だったから、そこら辺の対応力を上げるかもっと攻撃的に行くかの分岐点かも知れないね。」
「そうね、でも性格的に駆け引きは苦手と言ってたから、より攻撃的に伸ばした方が良いわね。何と言うか……安定しないポイントゲッター達で来年は大丈夫かしら?」
二人でポテトをつまみながらメロンソーダを飲んで談笑しています。しかしナギちゃんはマネージャーやった方が良いんじゃないかと言う位に人をよく見てます。
「後は、今日出てた一年生。アレは中々良いわね、鍛えればレンよりも強くなると見受けたわ。」
アゴに指を当てながら頭の中で分析を続けている様です。何と言うか……分析が大好きなのは知っていましたが、これは将来インストラクターとかの方が向いている様な気がします。
「へぇ~、誰が俺よりも強くなるって?」
不意に後ろから声が聞こえるとそこにはレン君が居ました。
「アンタよりも一年生の方が伸びしろが有るって言ってたわよ。言われたくなかったらもっと攻めっ気を出しなさいよね。」
「ふむ、適切な言い分だな。まぁ攻めっ気が有ったらレンらしくないとも言えるけど。」
レン君の後ろからタツミ君の声がして私とナギちゃんはビクッと体を震わせた。
ナギちゃんは予想外過ぎてなのだろうが、私は未だに直接に話をしようとすると緊張してしまいます。流石に3回目なのでいい加減慣れて欲しいものですが。
「えっと……そちらの方は……く、工藤君だわよね?」
ナギちゃんが何でここに居るの? と言う表情で驚いたままです。
そうですよね、レン君とナギちゃんで私とタツミ君を知り合わせようとしてたのに、急にこの展開ですからね。二人から見たら流石に突発的なイベント過ぎて混乱しますよね。
「ああ、君は確か……中学の卒業式の時に会った事が有るよね? 俺は『工藤 辰巳』って言うんだ。君たちの名前は?」
「あ、わ、私は『六波羅 凪』です。れ、レンとは……そ、その……友達で……。」
ナギちゃん! その緊張の仕方とどもり方は私のキャラだからね? お願いだから被らないで!
「ああ、あ、あの、わ、私は『火神 聖』です。お、同じく友達です。よ、宜しくお願いします。」
「そっか、レンとは友達だったのか。てっきり卒業式に待ち合わせる位だから恋人かと思ってたんだが……違うのか?」
タツミ君はイタズラを思いついた子供の様な表情でレン君とナギちゃんを交互に見ています。自己紹介と言い、話題の振り方と言い、私の方に疑惑を向けさせない様にするのが上手です。
「ななな、な、何を言っているのよ! こ、こんなのと付き合っている訳無いわよ! こ、こんなに2次元オタク!」
「な!? お前な……一応ここはファミレスだぞ? 大声で言うな! と言うか周りの迷惑を考えろよ、このガサツ女!?」
「な?! 誰がガサツなのよ? この前アンタの部屋の掃除と夕飯作ったの誰だと思ってるのよ!」
二人がいつもの口論を始めましたが……ちょって待って? 今なんて言ったの? 部屋の掃除に夕飯を作った? どう言う事のなのか少し詳しく聞きたいんですが?
「取りあえず座れレン。あ、火神さん。すまないが席を六波羅さんの隣に移動してもらって良いか? 流石に見知らぬ男と隣同士で座るのは嫌だろうから。」
「え? あ、はい。今動きますね。」
私はタツミ君の気使いのまま移動しましたが……別にタツミ君の隣でも良かったのにな……。
「さて、着席した所で、さっさと注文するぞ。火神さんと六波羅さんも何か食べるか? 流石にこういう時は男が金を出すんだろ?」
そう言ってタツミ君はメニューを広げてレン君の方をじっと見てます。レン君はため息をつきながら少し間を置いて頷きました。
「別に良いけど……ナギは夕飯は家で食うのか? 弟君の分の夕飯作るんだろ?」
「ああ、大丈夫だわよ。今日はお母さんが休みで家に居るから、流石に夕飯位は……作るでしょ。」
うん? 何で少し言いよどんだのかしら? 私とタツミ君が小首をかしげていますが、レン君だけは少し不安そうな表情で納得しています……ってもしかしてレン君もナギちゃんの家に行ってるの?
「なぁ……レンと六波羅さんって……お互いの家に行き来してるのか?」
タツミ君が理解出来ないと言った表情で二人を交互に見ながら質問をすると、ナギちゃんは顔を赤くしながら下を見て俯きだしました。
「え? あ、そ……それは……」
「ああ、コイツの成績が壊滅的にダメなんでな……週末はお互いの家で俺が家庭教師をやってやっているんだ。下手すりゃ留年レベルだからな……。」
レン君が間を置かずに言い出しましたが……だったら図書館でやったらどうかなぁ……? 何でお互いの家なのか謎過ぎるんですけど……? と言うか本当にこの二人の行動って恋人だよね? 私の感覚がおかしいのかな? ちょっと誰か正解を教えてください。
「で……お前は、家庭教師代として部屋の掃除や夕飯を作らせているのか? バイト代は労働で返せと言う事か?」
うん、タツミ君。ツッコミ処はそこじゃないと思うんだ。普通は男の子の部屋の掃除とかしてたらお約束の展開が待っていると思うんだけど? 何でこの二人の関係は進呈しないのかしら?
「誤解を生んでいる様だから訂正するが……部屋の掃除も夕飯の下りも、全て姉ちゃんが先導してナギと一緒に行った事だ。部屋掃除に関しては興味本位で二人で始めた位だ。」
レン君が誤解の目を辞めろと言わんばかりの不機嫌は口調で言って来ました。と言うか……お姉さんと一緒に悪ノリでやったと言う事ですか……。
私とタツミ君のジト目の視線がナギちゃんに向かいますが、本人はずっと下を向いたままですね……これはどっちの意味で顔を上げれないのでしょうか?
「ま、まぁレン君も工藤君もお腹空いてるでしょ? 何か頼みましょう?」
そう言って私が促すとレン君はそうだなっといった表情で注文を決めてい行きました。そしてタツミ君も決めてタブレットに入力が終わると、おもむろに私とナギちゃんの方をみて語りかけてきました。
「しかし、皆が名前呼びの中で一人だけ苗字呼びは何か嫌だな……タツミって呼んで良いから名前で呼んで良いか? 流石に初対面だから嫌と言うなら苗字呼びのままにするけど?」
上手いですね、最初に呼び方を固定しないと変えるタイミングが掴めませんからね。この前の時も私もそう思って最初に名前呼びをお願いしたのですが、タツミ君がリードしてくれて助かりました。コレでうっかりと名前呼びをすると言う心配は無くなりました。
「わわ、わ、私は、か、構いませんよ。よ、宜しくお願います……た、タツミ君。」
「私も別に構わないわよ。ナギって呼んで頂戴。宜しくねタツミ君。」
「ありがとう、宜しくなナギ、ヒジリ。」
屈託のない笑顔で言われるとやっぱり照れます! これで私達が二人で会っても既に知り合いと言う事になったので作戦を立てやすくなりました。
取りあえず、この後のプランって……話して無いけどタツミ君の方で何か考えているのかなぁ……?




