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駅前での密談?

 私は家に着くと慌てて軽く着替えて少し出てくるとお母さんに告げて出掛けました。


 普段は出歩かない私が急に学校から帰って来てすぐに出かけるのを珍しがってましたが、ナギちゃんと少し会ってくると伝えると納得した様子で頷いていました。


 友達を理由にして出掛けるのって何か罪悪感がありますが、後で問い出されれるのも面倒なので仕方無いですよね?


 よく漫画でこのパターンを見るのが少しわかる気がしました。古い手ですが効果的ですね。




 私が駅の改札近くに着くと、タツミ君は既に制服姿のまま待っているのが見えました。


 何かコレってデートの待ち合わせで待たせた感じですよね? 私の考え過ぎなのは分かるのですが、どうしてもそう言うシュチュエーションを妄想してしまいます。


 でも流石に声をかけない訳にはいかないので、意を決して声を掛けようと近付いていくと、タツミ君もこっちに気が付いて近付いて来ました。


「急に呼び出してごめん。病院に行く日だと稽古を休めるから話すなら今日が良いと思って……朝から連続ですまん。」


 そう言って手を合わせて謝って来ましたが、私的には朝から夢見心地な1日なので、逆にこれは全て夢では無いのでしょうか? と疑ってしまう程でした。


「ああ、あ、大丈夫です。ちょ、ちょっと驚きましたけど……じ、時間も取りづらいでしょうから気にしないでください。」


 相変わらず噛んでしまいますが、そんなに直ぐには緊張は解けません! いつまで続くのでしょうか?


「取り敢えず、近くの公園でも行くか? 駅前だと誰に見られるか分からないし。」


 確認する様に聞いて来ましたが、この時間帯だと何処に行っても人が多いので下手なお店に入るよりは良いと思ったので同意しました。


「そそ、そ、そうですね、こ、この時間帯ならそれが良いと思います。」


 私が同意するとタツミ君は案内する様に歩き出しましたが、そこら辺の道は私もよく知っているので大丈夫ですが、流石にそれを言うのは無粋という物ですよね?


「そう言えば、火神さんって駅が同じという事は家は近いのか?」


 急に聞かれましたが……昼の約束を早速忘れている様です。ちょっと自分が膨れっ面になっているのが自覚できました。


「あ、ひ、ヒジリもこの近くに住んでいるのか? ……すいません、お願いですから黙らないでください。早速言ってた事守らなくてごめんなさい。」


 私の無言なのを圧と勘違いして謝って来ましたが……ちょっと怒ってますが、何と言ったらいいか分からなくて困っているだけです!


 コミュ力が弱いから何と返せば良いか分からないのです! お願いですから怒って黙っている訳では無いのです! 勘違いしないでください!


「あああ、あの、え、えっと、何と言っていいか分からなくて。わ、私コミュ障だから……」


 私がどう対応して良いか分からずに俯いていると、タツミ君も困惑していますね。


 う〜ん、何故に昼間はあんなに喋れたのか自分でも不思議です。あの時はある意味緊張し過ぎて吹っ切れていたのでしょうか?


「そ、そうなのか? 昼はお互い緊張してたから気付かなかったが……嫌な事があったら言ってくれ……ってのも難しそうだな……表情から頑張って読み取れる様にします。」


 何というか、色々と気を使っているのかかなり頑張って喋ってくれているのが分かります。


 しかし私も何か言えれば良いのですが、コミュ力不足が響いてます! もっとコミュ力のスキルを上げるべきでした!


「ごご、ごめんね? よ、余程慣れた人じゃないと……う、上手く喋れなくて……」


 私がうつむきがちに謝りながら歩いていると、タツミ君は振り向いて再び謝って来ました。


「本当に強引に物事進めてごめんなさい。次からは気をつけます……って次って有るのか? 一番緊張する筈の初対面を既に済ましているからな……?」


「そ、そうだね……もう後は慣れるだけだよね。頑張ります……」


 私が覚悟を決めて顔を上げるとタツミ君は頷いて感心した表情をしています。


「そうだな、お互い友達の恋路の為に頑張ろう! 俺も女の子との会話は慣れてないから頑張る! 問題な発言が出た場合は注意して欲しいし、直す様に心がける。」


 話していると、いつの間にか公園の前に着いていました。


 私達はお互いに特に言う事もなく夕暮れのブランコにお互いに腰をかけて話し始めました。


「そ、それで急に呼び出したと言う事は、なな、何か急ぎのイベントが有るの?」


「ああ、もうすぐインハイ予選が有るんだが、その時に補助員の枠が有るんだが……六波羅さんと、ひ、ヒジリは文化部だったりするか?」


 この時点で何かピンと来ました。その枠は既に私達が確保していますが、ここは話を合わせましょう。


「そ、そうだね、わ、私とナギちゃんは文化部だよ? もしかして補助員に誘ってレン君の試合の姿を見せると言う事ね?」


「察しが良くて助かるよ。もし良ければ誘導できるかな? そして2人は知り合いなんだからそのまま俺が2人ごと打ち上げみたいに誘えないものかと思って。」


「で、その時にレン君をけしかけて告白する様に促すと言う事ね?」


 そこまで言うとタツミ君は頷いて肯定して来ますが……そんなに上手く行くかなぁ?

 

 その程度であの2人がくっ付くなら既に付き合っていると思います。タツミ君もまだまだあの2人が分かっていませんね。


 しかし、このタツミ君とのせっかくのお話する時間を無くすと言う選択肢もありません。今回は既に手引きは済んでいますが、話を合わせておきましょう!


「お願い出来そうか?」


「わ、分かりました。せ、先生の方には私の方から話しておきますね。結果は明日スマホに連絡を入れますね。」


「ありがとう。では頼んだぜ。」


 そう言ってタツミ君は立ち上がると帰ろうかと合図をしている様だった。


 私も頷く様に立ち上がって一緒に歩き出すと、タツミ君は何かを思い出した様にカバンからガサゴソと紙袋を出して来ました。


「協力の前金という訳じゃ無いけど、良かったら使ってくれ。レンのホワイトデーの買い物に付き合った時に店の中で気不味くて買ったヤツなんだが……家に置いておくと、家族に見つかった時に何を言われるか分からなくて。」


 差し出して来た紙袋を受け取って中を見てみると、可愛らしい、ふわふわが付いたファーヘアクリップが入っていました。


「え? も、もらって良いの?」


「むしろ貰ってくれ。持ってても困るし、ヒジリは髪が長いから使えるだろ? あ、でも気に入らなかったら使わなくてもいいからな。」


 タツミ君がどう言った方が正しいのか分からないと言った表情で言って来ましたが……使うに決まってるじゃ無いですか! 偶然とは言え好きな人からのプレゼントですよ!?

 

「あ、ありがとう……ど、どう? に、似合うかな?」


 私は早速取り出して肩口に髪をまとめて付けてみました。手を離すと背中の真ん中あたりにちょうど良く降りてきて程良く纏まりました。


 クルッと回って見せてみませいたが。タツミ君は照れ臭そうにしながら何とか口を開いたかと思うと、ボソリと一言だけつぶやく様に言いました。


「あ、ああ、よく似合っているよ。」 


 私はとても満足した表情になっていたのが分かります。多分ですが少しだらしない表情をしている自覚がありますが、少しくらいは良いですよね?


 そして私達は駅までの道でレン君とナギちゃんの知ってる情報を交換しながら歩きました。


 駅に着くとお互いの家の方へと別れましたが、時間が少なかったのが名残惜しいですが、あれ以上は私の心臓が持つか分かりませんね。


 しかし今日という1日は私にとって、とても大きな変化が生まれた1日だった気がします。


 さて明日から色々とみんなを誤魔化しながら動くのは大変ですが頑張りましょう。


 私は貰った髪留めを肩口に寄せ直して弄りながら帰路に着いたのでした。

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