二年生の新学期
さあ、新学期が始まる。二年生になってクラス替えの掲示板を見る。
「タツミ、お前はスポーツ系のままだ。一組から抜けれると思うな。」
レンが俺の肩に手を置いて首を横に振ってやがる。
「やかましい! お前も仲間……だろう……?」
言いかけたところでレンは三組の掲示板の方を指を刺していた。まさか……貴様はあの暑苦しい組から抜け出したと?
「なん……だと……? どう言うことだ!」
「この前の模試での俺の偏差値は61だった。この意味が分かるか?」
レンが自慢げに言ってくる。と言うかコイツの頭が良いのは知ってたが61だと?
「俺は普通の進学コースなので、理系の三組です。頑張れ体育会系の一組。」
「お、おのれ……」
そして途中で俺が気がついた。この前のお団子頭の子は何組だ?
「なぁ、レン。お団子頭の子は何組なんだ?」
「え? 教える訳ないだろうが。」
「ふーん、まぁあんだけ特徴ある子だその気になればすぐに見つけれるけどな。」
「うわ、お前親友の女を横取りする気か? 流石に俺でもドン引きだぞ?」
レンがわざとらしい仕草で揶揄ってくるが、流石にそんな趣味はないわ!
「いーや、お前を揶揄うネタにするだけだ。それに俺はそんな浮気性じゃない……ってお前自分の女とか言ったが付き合い始めたのか?」
「……違います。大袈裟に言いました。すみません。」
神妙に謝って来たが……コイツが3次元の女子に冗談でも自分の女と言うところを初めて聞いた。
随分とコイツも変わってきたな。その子と出会って変わったと言う事なのだろうか?
「まぁ、頑張れよ。親友として応援はしている。」
そう言って俺は暑苦しい漢達が待っている一組の教室へと向かうことにした。
……本当に暑苦しいんだよなぁ、物理的に精神的にも。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今年の私は進路調査で文系で出したので6組になりました。ナギちゃんは得意分野が理数系に偏ったので理系の2組になってます。
レン君は3組で、タツミ君は1組だったのでキレイにみんなが別れてしまいました。
「流石に今年は組が別れちゃったわね……ってヒジリちゃんのところに三上さん居るわね。これってもう何かの腐れ縁みたいな物を感じるわね。」
ナギちゃんが6組に三上さんの名前が有るのに気が付いて嫌そうな顔をしています。去年一年間は特に接点が無いまま過ごして来たから大丈夫だと思うんだけど……
「別に絡まれてないから大丈夫だよ。でも三上さんは相変わらずクリスマスと誘ったけど轟沈してたし、バレンタインは渡そうとして準備していた様なんだけど……」
「また何かの不運にあったのかしら? 相変わらずリアルラックが壊滅的に無い子だわね。」
ナギちゃんは三上さんの今までの失敗の経緯を知っているので、普通に運が無さ過ぎると言ってましたが……
「今回はバトミントン部の男性陣に義理チョコを女子でまとめて準備していたらしく、渡す際にタツミ君用のチョコを先輩が勝手に勘違いして一緒に渡しちゃったらしいよ。」
うん、言ってて気の毒にしかなりません。本当に三上さんの運はどうなっているのでしょうか?
「ちなみにクリスマスは『一緒に遊びに行かない?』と誘っってたけど、タツミ君は知らない人を見る目で『誰?』と言われてたよ。」
「うわぁ……未だに顔を覚えられてないのね。」
ナギちゃんが本気で同情している。流石にあの頻度で玉砕しているのに顔すら覚えられてないのは気の毒過ぎるのですが……私もそうならない様に工夫しないといけません。
そんな事を考えていると、レン君が近寄って来ました。
「流石に今回はバラけたな、集まる時はどうする? 一番遠い火神の6組に集まる感じにするか?」
「そうね、ターゲットから遠い場所での集合の方が良いわね。まぁ基本はスマホでの連絡になるでしょうけど。」
「うん、分かったわ。でも良い加減今年辺りには知り合わないと青春が満喫できないよね……頑張らないと。」
知り合うのが三年生になってしまうと受験とかで親密度を上げる時間が無くなってしまうのが目に見えてます。
なので今年こそ何とかして知り合うようにしないといけません。
「だったら、今年の夏は俺とナギをダシにしてダブルデートの様なものをセッティングしようかと思っているんだが。」
レン君がサラッと話して来ましたが、ここでは誰に聞かれるか分からないので放課後か昼休みの方が良い気がします。
「レン、聞かれるとまずいわよ。お昼休みに屋上で集まりましょう。」
ナギちゃんも同じ考えだった様で、その言葉を合図にして私たちは黙って頷いて各自の教室へと移動しました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
うん、レンの奴。予想通りに例のお団子頭の子に会いに行ってたな。俺の勘も悪くないな。予想通りにレンがホワイトデーに買ったシュシュを付けていたのでよく目立った。
レンとお団子頭の子、は2組と言ってたな……今日なら番号順の席に座るはずだから名前が分かる筈だ。
そして一緒に話していたロングヘアーの女の子は6組か、もしあの2人をくっ付けるのにはあの子にお手伝いをお願いするのが近道になるかも知れないな……。
俺は全員が居なくなったところで、掲示板の名前をスマホで撮影して、並びを確認する。
そしてゆっくりと6組、2組を通って座っている位置を見つけて、教室に戻ってから名前を確認する。
ふむ、お団子頭の子は『六波羅 凪』と言うのか。そして一緒に居たロングヘアーの子が『火神 聖』と特定できた。
うん? 何かこの行動だけ見てるとストーカー臭いけど……大丈夫だよな? まぁ名前を調べる位ならね?
さて、あの2人をくっつける作戦を行いたいのだが……1人では限界がある。
となると、やはり六波羅さん側の協力者が欲しい所だ、候補は先ほど一緒に居た火神さんだろうか?
そうなると俺の最初のミッションは火神さんと2人だけでのコンタクトになる訳だが……女子と2人だけで話した事なんて小学生以来無い俺にはハードルが高い!
取り敢えず昼休みにレンの行動を追って見るか。そこでもあの3人で揃う様なら何とかして火神さんと知り合いになって、あの恋愛下手なレンを何とかフォローしてやりたい。
俺はそう心に決めて、昼休みストーカーばりにレンの行動を遠目で確認していると、屋上へと向かっていった。
俺は反対側の屋上へと上がって隠れながらレンの行動を見ていると、六波羅さんと火神さんが合流したのが見えた。
「これは……確定だな。」
俺はどうにかして火神さんとのコンタクトを取る為に情報を集める事にしたのだった。




