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復帰の方法

 兄さんに電話をかけると予想外にすぐに電話に出た。いつもは中々連絡がつかない程スマホを持ち歩いていないのに。


 俺は深呼吸をしながら冷静に兄さんに相談する順番を考えたが、色々考えて言った所で兄さんの中での答えは既に出て良そうなので既に出ていそうなので素直に提案を求める事にした。


「兄さん、テニス肘と言われたんだが、半年は竹刀握っちゃダメと言われたんだがどうすれば良い?」


「お前、俺の言いつけ守らずに自主練してたそうだな。この馬鹿が。ちゃんと考えてメニュー作っているんだから言われた事位守れ。」


 開口一番に兄さんからの説教が飛んで来る。ハイ、ごもっともです。反論の余地はございません。


「ゴメン、次からは守ります。」


 その言葉を聞いて兄さんが大きくため息をついたのが聞こえた。そして呆れた様子を含みつつも話を続けて来る。


「合宿が終わるまでの1週間は家で大人しく勉強してろ。家に帰ったら詳しく状態を見て相談に乗ってやる。ちなみに聞くが相談したいのは学校の事か? それとも剣道の事か?」


「両方です。自分では対応の仕方が解らないから兄さんに助言を貰いたい。兄さんの方がこういう事情に詳しいと思って。」


「はぁ……分かった。取りあえず家で勉強してろ。その間に自主練なんかしてたら見捨てるからな。ストレッチだけは必ず毎日やっておけ。」


 そう言って兄さんは電話を切った。真っ先に先生に相談でも良いのだが、兄さんなら他の部活仲間がケガした人なんかも見て来ているかもしれない、具体的なアドバイスを求めるなら兄さんが適切だと思った。






 そして1週間が経ち、兄さんが合宿から帰って来た。


「この馬鹿弟が、肘を見せて見ろ。」


 そう言って兄さんは俺の肘の状態を確認する。どう動かしたら痛いのか等を念入りに調べていた。


「いつ頃から痛みを感じていたんだ?」


「高校に上がってからすぐ頃からかな? たまに痛む時は有ったけど、一晩寝れば痛みが消えていたから気にしてなかった。」


 俺の発言の聞いて兄さんが呆れた顔をしていた。


「お前は、痛みが続くなら病院に行くのが普通だろうが。相当時間が経過していたと言う事か、これは悩むな。」


「悩むって?」


 兄さんがいつに無く真面目な表情で考え込んでいる。この時点で嫌な予感しか無いのだが。


「テニス肘は無理して続けたりしてると、全体の1~2割の人は難治性になる。お前の場合はこれも考慮に入れた方が良いだろう。」


「難治性? どうなるんだ?」


「自然治癒しないって事だ。その場合は色んな治療法が有るが、最悪は手術だ。高校時代は竹刀を握れなくなる事だって考えられる。」


「えっと……冗談だよな?」


 俺は恐る恐る聞いて見るが、兄さんの表情は真剣そのものだ。痛みって我慢しちゃダメなのか……、昔の根性論はもう古いんですね。


「色んな選択肢が有るが、タツミは剣道で大学推薦狙いたいんなら工夫しないといけないな。もしくわ必死に勉強を頑張るかだな。」


「剣道頑張らないと進級すら危険なので前者でお願いします。」


 まぁ本音は別の理由なのだが、そこは隠しておかないと面倒くい事になるのが目に見えているので黙っておく。


「お前、そこは勉強頑張るとか言うのが学生のセリフじゃ無いのか? まぁ俺は剣道の方を勧めるつもりだったが。」


 兄さんは呆れながらも結局は剣道の方を選択させるつもりだったらしい。と言う事は何かしらの方法が有ると言う事だ。


「何かいい方法が有るのか?」


「単純だ、左手一本での上段の構えを使う。但し、左肘への負荷が上がるから稽古はしばらく俺が管理する。部活のコーチと先生には俺の方から連絡をしておくから良いな?」


「それってコーチと先生が納得するのか?」


「俺はOBで実績も残してるんだぞ? コーチは変わって無いし、コーチから先生に話しを通して貰えば少し位は顔が効くさ。」


 自信満々で言うが、相変わらずこの兄のスペックの異常さは俺の常識が通用しないのだろうなと思う。


 そんな事を思っていると早速電話をかけ出してコーチと話している様だったが……俺が休日の稽古に出なくてもコーチが無言で納得していた理由はソレか!


「よし、許可は下りたから暫くは部活は出ずにまっすぐ帰ってこい。俺が専用のメニューを作るからな。」


「たまに兄さんの持ってる権力が怖くなる時があるんだが?」


「こんなのは権力とは言わない、信頼と実績による賜物だ。お前も誠実に生きていればこうなるさ。」


 当然の様に言ってくるが、それはどちらかと言うと実績に方のウェイトが多くないだろうか?


「さぁ、まずは使う筋肉から変わって来るから基礎から練習していくぞ。今度は必ず守れよ?」


 何と言うか何かを企んでいる様な兄さんの表情が気になったが俺に選択肢は無かった。


 その日から俺は部活動には出ずに兄さんの指示したトレーニングをする事になったのだった。








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