高校生活の始まり 聖側
皆が無事に合格を決めて入学式を迎えました。クラス分けを確認すると、ナギちゃんと同じクラスになれましたが、残念ながらタツミ君とは別のクラスです。
もうここら辺はお約束ですよね。2年になると進学先の文系理系等で分かれるので、来年以降はタツミ君の進学先希望次第でチャンスは無くなります。そこら辺のリサーチはレン君に頼むとしましょう。
「ヒジリちゃん。無事に同じクラスになれたね!」
「うん! 良かった。宜しくね!」
掲示板で名前を見つけたナギちゃんが嬉しそうに声を掛けて来た。私も安心して手を取り合って喜んだ。これで新学期早々ぼっちからの開放が確定したのだ。
「私も中学では若干浮き気味だったから、ヒジリちゃんと一緒で安心したわ。」
「私も、ナギちゃんと一緒じゃ無かったら普通にしゃべれる相手が居なくて心細かった。」
お互い両極端な性格でぼっちだった私とナギちゃんはお互いに安堵したのです。
「ナギの場合はドSの性格も災いしてるんじゃないのか?」
不意に後ろから声がして振り返るとレン君が居た。
「あれ? レン君は一人なの? タツミ君と一緒かと。」
「ああ、あいつは早速剣道部の先輩方に絡まれて部室に連行されていた。俺は入部届をまだ出してないからな、一応部外者。」
ナルホド、入学式早々に拉致られたのね。まぁ既に合同練習で顔が割れてるでしょうから確保されるのも早かったと言う事ですか。
「ちょっとレン。ドSとか学校で言わないでくれる? 間違ったウワサが早々に広がったらどう責任取るつもりよ?」
「いや、事実だろ? 少なくても俺に対しては。」
おっと、いつもの漫才が始まるのだろうか? 入学早々目立つのは避けたいので二人をなだめて会話をすり替える事にした。
「ハイハイ、入学早々目立つわよ。それよりもレン君は何組?」
そう言うと二人はハッと周りを見渡す。まだ視線が集まっていない事に安堵した表情を浮かべて、二人とも平静を装いました。
「俺は1組で、タツミも同じだな。多分スポーツ系の人は1組にまとめられた感じがするな。俺は一般で入ったのに……。」
「そうなんだ、私達は6組よ。そうすると1組以外は適当に振り分けたのかしら?」
「多分だけど入試の成績を平均点が同じになる様に振り分けしたんじゃ無いか? 成績別なら絶対に火神とナギは同じにならないだろ?」
「ちょっとレン。それはどういう事かしら? 事実だけど言い方を気を付けましょうか?」
あ、またすぐにいつものパターンに戻ってしまう。取りあえず一度この場を離れてしまいましょう。
「まずはカバンを置きに教室に行こうか。ここは目立つから後でまた話しましょ?」
そう言うと、二人はまた周囲を見回していた。本当にこの二人はすぐに夫婦漫才なのか痴話喧嘩なのか分からないモノをすぐに始めるのだから困ったものだ。
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「と言う事で、内申書にも書くので各自部活にはできるだけ入部する事。もしくわそれに準ずる活動の団体に所属するなら先生に相談してください。」
クラスで最初のHRが始まった。学校の基本的な校則の再確認があった位で、後は各自の簡単な自己紹介をしてHRは終わった。
「さて、では中庭へ行って先輩達からの部活勧誘を受けたら本日は下校してください。仮入部は1週間以内に入部届を先生までに、本入部は1カ月以内だからな。」
そう言って先生は教室を出ていく。残された私達は各々移動する時間までグループ形成を始めたのでした。ナギちゃんはすぐに窓際の私の席の所へ来ると窓に体を預けて話しかけて来ました。
「ヒジリちゃん。どっかのグループとかに入る?」
「そうね、急ぐ訳じゃないけど悩む所ね。少なくともナギちゃんとは一緒に居るつもりだけどね。」
「ふふふ、嫌と言っても離さないわよ。むしろグループ作るなら面白い人じゃ無いとダメよね。」
「ナギちゃんの場合は一緒に居て面白いかが大事だもんね。本当にブレないわね。」
ナギちゃんの面白いこそが至上主義は相変わらずブレない。まぁ分かり易いし変な裏が無いので良い事なのだが、たまに暴走しそうで怖い時が有りますけど。
そんな事を話していると不意に他のクラスメイトから声を掛けられた。
「もしかして火神さんって同じ中学だった?」
声の主の方を振り返ると、そこには一方的に良く見知った顔が居たのだ。髪こそあの時に比べて伸びており、胸元まで伸びた髪をおさげにして結っている。活発そうな表情はそのままだ。
「えええ、え、えっと、みみ、三上さん?」
「そう、三上 悠輝よ。中学で見かけた事は有ったけど話すのは初めてね。宜しくね。」
「あ、あああ、かか、火神 聖です。よ、宜しくです。」
初めて正面から見たけど、活発なオーラに満ち溢れている。陰キャな私とは対照的な存在な気がした。これは恋敵でも有るが別の意味でも違う人種な気がする。
「火神さん、良かったら一緒のグループにならない? 同じ中学の子達も何人か集まる予定なんだけど。」
「え、あ、ああ、あの。」
私が急すぎるお誘いに慌てふためいていると、それを察したナギちゃんが助け舟を出してくれた。
「ゴメンね、ヒジリちゃんは既に私と一緒に組んでいるんだ。同じ中学だけで集まっちゃうと私が浮くと思って困っちゃってる様なの。」
「あ、そうなのね。それじゃ仕方ないわね。もし良かったら気軽に話しかけてね。」
そう言って颯爽と三上さんは自分のグループの子達と思わしき方へと移動した。
「まさか、三上さんも同じ学校で同じクラスだとは……。」
「ヒジリちゃん、そこは気が付きなさいよ。ちなみに三上さんはまだ諦めて無いのかしらね? ストーカーさんの情報網ではどうなってるの?」
「2年の終業式、クリスマスで失敗、バレンタインはお兄さんの方へ纏められてたわね。3年の夏祭りへのお誘いはレン君が先約なので断られて、クリスマスは稽古でそれどころじゃないと断れ、バレンタインは前の年と同じ結果ね。」
「調べる方も凄いけど、5回フラれて2回はスルーされてるのに折れないと言うメンタルが凄いわね。彼女も面白そうね。」
ナギちゃんが悪い顔になってる。興味が湧いたようだが、恋敵と同じグループになるだけは勘弁です。
「後で絶対ギクシャクするのが目に見えているから一緒のグループは嫌だからね?」
念の為にナギちゃんに釘を刺す。
「流石にいくら面白そうでも、それはやらないわよ。しかし三上さんは意図的に追いかけて来たのか、たまたま同じ高校になったのかは興味があるわね。」
「まぁ、機会が有れば分かるかもね。それよりも中庭に行って、部活を決めないと。」
そう言って私達は中庭へと向かう事にした。まぁ私は文化部以外の選択肢は無いのだが。
「そう言えばナギちゃんは何の部活にするの? 中学の時の部活も聞いた事無かったけど。」
「ん? 私はもう決めてるわよ、文芸部にね。ヒジリちゃんも決めて無いなら一緒に入ろ。」
ナギちゃんが笑顔で質問に答えて来た。文芸部か、確かに選択肢としては悪くないな。文章力が上がれば手紙をもっと上手に書けるだろうし。
「いいわね、では一緒に文芸部の勧誘を受けに行きましょうか。」
そう言って二人で笑いながら中庭へと歩いて行くのでした。




