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夏の予定

 中学最後の夏休みが始まりました。


 県大会は残念ながら団体戦は予選落ちで、タツミ君の個人戦は準決勝までは進んだのですが惜しくも負けてしまいました。後は受験に備えて勉強をしないといけません。


 私とナギちゃん、レン君の3人は喫茶店のテーブルに勉強道具を広げながらアイスコーヒーを片手に夏休みの作戦を練っている所でした。


「さて、夏休みの計画だが。海と夏祭りどちらにする?」


 レン君が私とナギちゃんの前で夏休みの計画を立てようと、提案してきました。


「レン君。それは素直に浴衣と水着どっちかを見たいと素直に言った方が良いと思うわよ?」


「いやいや、ちょっと待て、人を煩悩の塊みたいな目で見て言うのは辞めてもらおうか? 普通は夏のイベントと言ったらコレじゃ無いのか?」


 まぁ確かに、夏と言ったらここら辺が妥当なイベントでしょうね。他にも山とかと言う選択肢が有りますが、私は体力的に無理なのでそちらは却下ですね。


「海は体調的に無理かなぁ。室内プールなら体に負担も少ない所に居れば良いから大丈夫だと思うけど。」


「あ、すまない。忘れてた。」


「大丈夫、普通の生活をしてるから忘れがちになるけど、それはそれで良い事だから気にしないで。」


 レン君がバツの悪そうな顔をしてしまったのでフォローをするとナギちゃんがヤレヤレと言った顔で追い打ちをかけてくる。


「煩悩にまみれてるからそうなるのよ。もっと状況をよく見ないとダメよ。」


「俺ってそんなに煩悩にまみれてる様に見えるのか? 結構ショックなんだが?」


 レン君の表情が一気に曇る。意外とこれでナイーブな所も多い様だ。見た目とはかなり印象が違うのでギャップが凄い。見た目は怖い系に近いのに。


「そんなに落ち込まないでよ~、ちょっと言い過ぎたわ。ごめん。」


 ナギちゃんはそう言っていたが、顔が物凄くニヤニヤしてますよ? もしかしてこの子って見た目は癒し系だけど、中身はドSですか? 


「ナギちゃん、顔がちょっと怖いよ?」


「気のせいよ、気にしたら負けよ。」


「いや、お前絶対にワザとだろ? お前ドSか?」


 あーあ、レン君。そう言う事は思っても言っちゃダメだと思うなぁ。


「分かったわ。レン君に対してだけはドSの態度をとるから。それで良いのよね?」


「スミマセン、勘弁してください。」


 ナギちゃんが静かに怒った顔をするとレン君は平謝りだ。まぁそれ言ったら普通はそうなるわよね。


「さて、本題に戻るか。そう言う事だと作戦は夏祭り一択になるな。」


「そうね、問題はどうやって自然に知り合いになるかね。」


 私とレン君が考え込むと、ナギちゃんがさらっと意見を言って来る。


「私とヒジリちゃんが歩いている所をレン君がナンパすれば良いんじゃない?」


「いやいや、ナンパする様なキャラじゃねぇぞ? 俺もタツミも。」


「ナルホド、そこは腑抜けと言う事ね。」


 ナギちゃん、最後の一言がちょっと多いと思うんだけど……、レン君に厳しくない? 気のせいかしら? またレン君が落ち込んでいるけど励ますのも面倒になってきました。


「仕方ないわね、だったらレン君が私をデートに誘いたいけど照れ臭いから、と言う理由で二人を誘うと言うのはどう?」


 ナギちゃんが代案を出してくれたが、今度もレン君が首を横に振る。


「いや、そもそも俺は2次元専門だ。タツミはそれを知ってるから、女子と遊ぶ訳が無いと知ってるので、その時点で変に思われる。」


「「…………。」」


「いや? 二人とも急に黙らないでくれるか?」


 私とナギちゃんはいきなりのカミングアウトに固まってしまった。いや、2次元も自由ですよ? 


「いや、ちょっと、どう声を掛けたら良いか分からなくなったわ。レン君も大概な面白キャラね。少し気に入ったわ。」


 ナギちゃん、もしかしたらキャラが面白ければ良いとか思ってるのかしら? ある意味懐が深いと言うか、面白半分なだけと言うか、キャラが掴めない。絶対にナギちゃんも()()()()()の人間だと思って来た。


 「ちなみにナギちゃんは何が好きなの?」


 この流れなら何かしらの性癖をカミングアウトするかなと思って言ってみたらサラッと答えて来た。


「私はどちらかと言うとニオイフェチね。特に青春の汗臭さが大好きなの。あ、でもおっさん臭は却下ね。あれはただ不快なだけだから。」


「もしかして、剣道の補助員をやった理由って……。」


「もちろん、間近であの青春の汗臭さを味わえるからに決まってるじゃない! 試合後の面を取った時のあの青春を凝縮したような汗と防具から染み出る香り……、最高だと思わない?」


「「…………。」」


「ちょっと! 何で二人とも黙るのよ!?」


 うん、それはフェチの領域を超えて変態に近いのではないだろうか? 結局は、皆変わり者だった。会うべくして会った感じがして来ました。





「で、2次元オタク君。結局どうするのよ?」


「ニオイフェチさんからの意見を聞きたいんですけど?」


「私は直接接点が無いから問題点を指摘する位しか出来ないわよ。ストーカーちゃんは何か良い案は無いかしら?」


「2次元オタク君とニオイチェチちゃんが元々知り合いで、たまたま偶然に夏祭りの会場で遭遇してお話しするって言うのはどうかしら?」


「ナルホド、ストーカーさんにしては良い案だな。」


「確かに、それなら2次元オタク君の問題を解決しつつ、不自然じゃないわね。」


「ところでニオイフェチさんや、これいつまで続けるん?」


「いや、面白いから別に良いかなと思ってたけど。ダメ?」


「そろそろ周りの視線が気になるから辞めておきましょうか。」


 三者三様の新しいあだ名の呼び方をここで止める事にする。もはやこれはコードネームと言う感じになっています。


「では、後は偶然に待ち合わせる時間と場所を決めるだけだな。」


「花火が始まると会話どころじゃ無いから、余裕を持って1時間位前を目途にして集まりましょうか。」


「1時間……そんなに間が持つかしら……。」


 1時間と言ってはいるが、実際はもっと短くなるだろう。しかし初対面でそんなに会話が続くとも思えないのが難しい所だ。


「最初のうちは俺と六波羅さんで上手く話題を振ってフォローするか。」


「そうね、でもそうなると苗字呼びは変ね。昔からの付き合いという事にするなら名前呼びの方が自然ね。」


「じゃあ、ナギって呼ぶけど良いか?」


「良いわよ、私もレンって呼ぶから。それとボロが出ないように今からその呼び方に変えましょう。」


 ん~、私だけそのままなのも気になるけど、急に変えると違和感有るからこのままで良いかな? 


「ヒジリちゃんはそのままにしておかないと、逆にタツミ君に不信感を抱かれるかも知れないからそのままね。最初からレンを呼び捨てだと知り合いと思われちゃうでしょ? 」


 事の細部まで考えているナギちゃんを感心した表情でレン君は見ていました。


「おぉ、ナルホド。ナギはそう言う所は頭が回るな。」


「それと、私とヒジリちゃんの関係は出会った場所だけ内緒にして、それ以外はありのままで行きましょう。その方が下手にボロが出ないから。」


「わ、分かったわ。ナギちゃんとの関係はそのままで、レン君だけは初対面と言う事にすればいいのね。」


 ナギちゃんの頭の回転の速さに驚きつつも作戦を煮詰めていく。問題は私のコミュニケーション能力だけなのは言うまでも無かった。


 そして夏祭り当日を迎えるのでした。


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