知り合い? お友達?
「ところでヒジリちゃん。気になった事が有るんだけど聞いても良い?」
外の日陰で並んでお弁当を食べていると、急にナギちゃんが真剣な表情でこちらを見て来た。
「え、ええと、ななな、な、何でしょうか?」
「もしかして、ヒジリちゃんって同じ学校の工藤君と付き合ってるの?」
いきなり何をストレートに聞いて来るの!? って言うか何故そんなにピンポイントで聞いて来るのかしら!?
「え、ええ、えええ!? つ、付き合ってません!? な、ななな、何でそう思ったんですか?」
「付き合っては無いのね、でも好きなんでしょ? 分かり易いわね。」
ナギちゃんはニヤニヤした笑顔でうつむいた私の顔を覗き込んで来る。
「だってねぇ、隣の試合場の補助員なのに、彼の試合の時だけ視線がガッツリ向いてたし。あれは流石に気付く人なら関係者か何かと思うわよ。」
「え? えええ!? 私そんなに見てました!? 」
その言葉を聞いて自分が無意識にやっていた行動を知らされる。
「え? 無意識にやってたの? まぁアピールしたいのなら間違って無いと思うわよ。」
しまった! さらに墓穴を掘ってしまいました! もうバレバレじゃないですか!
「あ、あああ、あの。こ、この事は内緒に……」
恥ずかしさの余り声も出ない状況だが、何とか声を振り絞ってナギちゃんにお願いする。
「ん? 内緒にしておきたいの? 別に構わないわよ。それに学校も違うんだから喋る相手も居ないでわよ?」
「そ、そうよね。でもホラ! 高校が同じになるかも知れないし!」
「それもそうか、分かった内緒にしておくわ。それと、同じ高校だったら楽しそうね。ヒジリちゃん見てて面白いし。」
そう言ってナギちゃんはコロコロと表情を変えて笑いながら言う。本当に表情が感情豊かな子で、見ててこちらも飽きない。こんな子が友達だったら学校生活も楽しいだろう。
「そそ、そうだね、ナ、ナギちゃんみたいな友達が居たら学校生活楽しそう。」
私も思ったままを口に出して答えると、ナギちゃんは嬉しそうな顔をしてくれた。
「よし! では今、友達になるわよ! 連絡先交換しておきましょう!」
「え? えええ!? 良いの? ととと、友達ってそんな簡単に決めて良いの?」
友達付き合い自体が皆無な私にとってこんなに気軽に友達が出来て良いのでしょうか? 一人で困惑してしていると、ナギちゃんは私のリアクションで噴き出すように笑いだしました。
「プッ……あははは! 面白いわよ! ヒジリちゃん面白過ぎ! 友達なんて気軽で良いのよ、そんなにかしこまるのは彼氏彼女になる時くらいにしておきなさいって!」
「そそそ、そう言う物なの……かな?」
「そう言う物よ。後はそれがただの友達のままなのか、ただの知り合いになるか、もしくわ親友になるかだけよ。細かい事を気にし過ぎて人付き合いを決めるのはナンセンスだわ。」
そう言ってナギちゃんは笑い過ぎて出た涙を拭きながらスマホを差し出して来た。
「そうか……ありがとう。」
何だろう、出来ればナギちゃんとは仲良くやっていきたいと思います。私も納得してスマホを出して連絡先を交換しました。
中学に入って初の友達だ! ちょっとワクワクしてします!
ん? 前にも言いましたが、私基本的にぼっちなので中学の友達いませんが何か問題でも?
「でも、あれだけ分かり易い行動は控えた方が良いかもしれないわよ? 逆に私の男に手を出すな~って意味なら構わないけど。」
「え? えええ!? いや、そそそ、そ、そんな事無いわよ。だってタツミ君と話した事すら無いし……。」
「へ~、タツミ君って言うんだ。ってちょっと待って? 話した事も無いのに好きになったの?」
ナギちゃんが驚いた顔でこちらを二度見してきた。まぁ、それが普通のリアクションだよね……。
「い、いや、じ、自覚は有るんだけど。ひひひ、ひ、人に話しかけるの苦手で、か、彼とは話したいんだけど中々きっかけと言うものが無くてね。」
「そこは私みたいに気軽に話しかけてみたら? 何事も考えすぎは良くないわよ?」
「だ、だから、それが出来ないから困ってるの。だから今出来る事は彼の情報を集める事位で……。」
私がモジモジしながら今の現状を伝えると、ナギちゃんはちょっと引いた顔をしている。
「ヒジリちゃん。それってストーカー状態になってない? 大丈夫? 犯罪は犯しちゃダメよ?」
「ししし、しませんし、迷惑もかけませ……」
そこまで言いかけてバレンタインの事を思い出しました。あれは迷惑だったのかしら? 人によっては迷惑だよね?
「ヒジリちゃん……まさか……。」
ナギちゃんの顔がドン引きになっている。これは一応話を聞いて貰った方が良さそうだ。
「いや、実はね……。」
私はナギちゃんにタツミ君の話とお兄さんの話。オブラートに包んだ三上さんの失敗談等を話したうえでバレンタインの話をする事にしたのでした。




