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3年生になりました。

 春になり、私達は3年生になりました。中学校生活も後1年です。そろそろ進路を真面目に決めないといけない時期です。


 私は当然タツミ君と同じ高校にするつもりなのですが……、タツミ君の成績がどの位か知らないので不安が有ります。同じ位だと理想的ですが、多分そうではない気がします……。

 

 今日も日課の情報収集をしていると、何とも微妙な会話が聞こえて来たのでした。




「タツミ、お前はどこの高校に行く予定なんだよ?」

「俺は、今のままだとK高か、N高辺りだなぁ……。」

「大学進学は考えて無いのか? そこら辺だと卒業後就職が多数だろ?」

「いや、行けるなら行きたいけど学力がなぁ……。」

「お前は剣道の推薦が前提で勉強サボり過ぎなんだよ。」

「まぁ、ぶっちゃけ推薦が一番確実なんだよなぁ……。」



 いつものグループで話している様ですが、やっぱり推薦狙いで勉強をサボってましたか。何となく、そんな気はしてました。


「工藤君、良かったら勉強会でもしない? もう3年生だし受験の前に成績を上げないと!」


 おっと、何やら女子から勉強会へのお誘いが。もしろ私が誘いたいんですが!


「いや、最後の大会前だから遠慮しておくよ。推薦狙いだから結果出さないと。」


「だったら、中総体が終わってからでも……。」


「いや、もし推薦決まったら多分そのまま練習に駆り出される筈だから、マイペースで頑張るよ。気遣いありがとう。」


 おーい。それはどう見ても勉強デートのお誘いだと思うんですが? 相変わらずこの人は自分への好意に鈍いのかワザとなのか解りませんが、自らフラグへし折ってませんか?


 ちなみにどんな人が誘ったのか気になったので、コソッと教室の入り口から覗いてみたら、友達らしき人達に囲まれて慰められている様な人が居ます。多分あの方でしょう。


 セミロングのゆるふわ系の美人系の方でした。う~む、好みじゃ無いのか、それとも本気で無自覚で断ったのかが謎です。


 誰か意中の人でも居るのかと思いましたが、今までの情報集中ではそれらしき人の影は見えませんでしたが……。


 ただ彼女が欲しいと言ってるなら、あの人でも十分に彼女候補に入るとは思うのですが……、男心は良く解りません。まぁ私からしたらラッキーですが!



---------------------------------------------------------


「なぁ、タツミ。お前勉強会の誘い断って良かったのか?」


「ん? だって推薦狙いなら今は剣道の方じゃ無いか?」


 俺は友人の「鳴海なるみ れん」に言われてそちらを振り返った。

 レンとは小学校からの付き合いで剣道のスポ少で出会って以来の友人だ。ずっと剣道部でお互い切磋琢磨して来た仲だ。


 レンは最初出会った頃は俺より小さかったのに今では180㎝を超える高身長でちょっと羨ましい。そして一重で目つきはキツイ様に見えるが整った顔立ちの上に性格は温和なので、見た目とのギャップで惚れている女子は多数だ。チクショウ! 俺もモテたい!


「いや、だってアレって勉強会と言う名のデ……いや、やっぱり何でもない。」


 蓮は途中まで何か言いかけて話題を断ち切った。そして話題を変えて来た。


「そう言えば、お前は例の子を見つけれたのか?」


「ん? ああ、相変わらず情報は無しだな。チャンスは中総体の時と思ってる。」


「ヒントはお前の剣道を知っていて、尚且つ同学年だけか。難しいな。」


 そう、俺は例のバレンタインにチョコをポストに入れた子の情報を集めていたが、全然情報が掴めない。先生もヒントは同学年と言うだけで、同じ学校かどうかも教えてくれなかったのだ。


「ただ、先生のヒントからすると去年の中総体は見ていたんだから、今年も見る来る可能性は高い。」


 そう言うとレンも手をアゴに当てながら頷く。


「そうだな、たまたま補助員で来ていた線も濃厚だからそこまで確認しないとな。まぁ、そこまで見ていた人なら、会場でお前を視線で追っかけている奴を探せば見つかる可能性も高いだろう。」


「すまないな、協力を頼むぜ。」


「ああ、構わないさ。その代わり俺がそう言う時は協力を頼むぞ。」


 そう言って蓮が俺の肩を叩いて将来の協力を約束させる。まぁコイツの為なら別にそれ位の努力は全然惜しく無いと思う。


「しかし、お前の好みってどういう人なんだ? この前も告白されたのに断ってたよな?」


「ん? 俺の好みか? そうだなぁ……俺の場合は姉ちゃんが苦手だからどうしても年下の方が安心するんだよなぁ。」


「ああ……、お前のあの姉ちゃんか。お互い苦労するよな。」


 そう、レンの姉も俺の兄と同じように人気者なのだ。特に女子に。

 

 よく言えば竹を割ったような性格だが、悪く言えば弟に対してのデリカシーが全く無いのだ。なので必然的にレンの場合は年上女性は全て対象外になっているらしい。


「まぁ、俺の場合はタツミと違って人類で誰が一番嫌いかって聞かれたら、間違いなく姉ちゃんと答えるな。それに趣味も真逆で全く合わない。どうして姉弟で生まれて来たのか謎過ぎる。」


「相変わらず、本気で仲が悪いんだな……。」


 俺とレンの違いはソコだろう。うちは男同士だから何となく共通点が有ったりで仲がそこまで悪いわけではないが、レンの場合は趣味も正反対なので余計に仲が悪いらしい。


「まぁ、俺は2次元の世界で満足するよ。現実の女は怖い。」


「その年でそういう事言うなよ……。」


 レンが遠くを見つめてボヤいている。レンの奴はモテるけど逆に悟りを開いて2次元に逃げてやがる。


 いや、何となく気持ちは分かるけど教室で堂々と言うのは辞めておこうか? 周りからの視線がイタいよ?


「いやな、女の本性と言うものを姉を見て知っている訳だ。なので俺としては純粋無垢な子なんてのは妄想の世界にしか存在しないと解ってるんだ!」


「お前、自分の姉さんを見て全ての女子の一括りにするなよ……。女子全てを敵に回すぞ? まぁそれでもモテるんだからタチが悪いが。」


「ふん、タツミの様な鈍感男には言われたくないね。」


「誰が鈍感だよ? 俺は兄さんにフラグを全部持ってかれてるだけだよ。もしろ、レンは年下が好みのロリコンって言う事にしておくか?」


 鈍感どころかフラグも立って無いのに言われるのは少しイラっと来たので意地悪をしてみたら、意外な返事が返ってきた。


「ふむ、その手も有りだな。穢れを知らない彼女として育てる。光源氏を見習うとするか。」


「おーい……、それって、どこまで本気だ?」


「いや、意外に良い案かも知れないと真面目に思ったぞ?」


「本気でロリコンに走る気か!」


 周りの視線を気にしない様なので、追い打ちをかけてやった。しかし、レンは気にせずに熱弁を続ける。


「お前は光源氏のロマンが分かってない! いいか、あれこそある意味最強のロマンだ! 自分の理想の彼女は自分で育てる、これこそが至上だとは思わないのか? そう考えるならロリコンの何が悪い!?」


「だから大声で言う様な内容じゃないだろ……。」


「い~や、言い出しっぺはお前だ。だったらこの議論を最後までやろうじゃ無いか、ロリコンの同志としてな。」


 おーい、俺もまとめて痛い視線が周りから送られて来てるから辞めてくれないか?

俺はロリコンじゃ無いぞ、多分。と言うか巻き添えにするな!


「だからロリコン違うわ! まぁ、この話はここまでにしようか。このままだと本気で周りからロリコン認定されそうで不安だ。」


 俺はレンを引き連れて、この居辛くなった教室を後にした。


 残念な事に、このロリコン騒動で見事に俺達は勝手にロリコン認定された。


 新しくなったばかりのクラスで俺達は見事に浮いたのだった。そして恋愛フラグも全部折れたのは言うまでも無い。







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