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秋の新人戦 でも観れてません!


 夏休みも終わり2学期が始まりました! 私は今日もぼっちで教室の隅で夏休み明けのみんなの雰囲気を眺めています!


 そこ! 同情なんていらないんだからね! 


 ……ウソです。この雰囲気の中一人でたたずんで居るのは結構メンタルに来るものが有ります。


 え? 夏祭りはどうしたのかですか? 打ち上げのBBQではしゃぎ過ぎて翌日から熱を出して寝込んでいましたよ! 虚弱体質をなめたらいけませんよ!


 しかしこの空気は耐えられません! 毎回の事だけどメンタルが削られます! 誰か私に友達を下さい! え? 友達は自分で作るもの? 知ってます! 作れてたらこんなお願いしてません!


 私はひとまず廊下に出て校内を散歩する事にしました。


 取り敢えずこのメンタルに良くない環境から一回離脱しましょう。


 そして職員室の前を通りかかった時でした。後ろから不意に声をかけられたのでした。


「火神ー? すまないが昼休みにでも少し職員室に来てもらって良いか?」


 確か……剣道部の顧問の桐生先生でしたっけ? 職員室に呼ばれましたが、私何かやりましたっけ?


 不思議に思いながら二つ返事で了承しました。





―――――――――――――――――――――――――


「いや~すまない。急に呼び出したのは実はお願いが有ってだな。火神は今回も新人戦は見学だろ? 良かったら剣道部の補助員をやってくれないか? もちろん内申点にもプラスになるしお弁当も出るぞ。」


 先生の元へ行くと予想外の依頼だった。確かに大会の時は審判以外にもたくさんの人が補助員をやっているのが見えたけど、私に出来るのでしょうか?


「先生、補助員って具体的に何をすれば良いのですか?」


「ああ、審判は協会の人がやるから、タイムキーパーやスコアボードの記入とかだな。そんなに難しい物じゃないから安心してくれ。補助員はいつも人手不足だからやってもらえるととても助かる。」


 先生は両手を合わせて頼み込んで来たのですが、私も少し考えてから先生に取引を持ち掛ける事にしました。


「先生、やっても良いのですが、一つだけ交換条件を付けて良いですか?」


「交換条件? 流石に変なのはダメだからな?」


 先生が警戒する様な表情をしていますが、流石に変な事はお願いしません!


「簡単ですよ、もし工藤君や他の部員の方に私の事を聞かれても先生は知らないフリをしてください。無理に他校の生徒と言う必要は有りませんけど、知らないと突き通してくれれば良いです。」


「それは別に構わんが、理由は聞いても良いのか?」


 先生は予想外のお願いだったのか、とても不思議そうな顔をしています。


「そうですね、何と言うか……恥ずかしいからです。それと私が中総体で見学していた事も内緒にして頂けると助かります。」


「それも別に構わないが……何が恥ずかしいんだ?」


 先生は不思議そうな顔をしていますが、難しい年ごろなのです! 万が一補助員やりながらタツミ君の試合をガン見している時に気付かれたら気まずいじゃ無いですか!


 出来るだけ出会いは自然なパターンを望んでいるんです! 会場まで見に来ている追っかけの様な事をやっていると思われたらただのストーカーじゃないですか。


 ……そこ? 既にストーカーだよとか今思いましたか? ある程度は認めます。でも第一印象が大事なんです! だからこの点は私的には譲れないんです!


 考えてもみてください、もしあなたが防具付けて顔も解らない人の試合の姿を見て一目惚れしましたとか言ったら疑いたくなりませんか? なので私は出会いは普通にしたいんです。


「おーい、火神。妄想の世界から返って来い~。」


「妄想の世界に入ってません!」


 先生の声で我に返りましたが、とにかく第一印象が大事なんです。大事だから2回言いましたからね?


「構わないが……工藤には火神が褒めてたと言ってしまったような……いや火神の名前は言ってなかったかな?」


 ちょっと待ってください? 今なんて言いました? 私の感想を言ったと? なんて事してくれるんですか!?


「先生!? 名前は言ってないんですよね?」


「工藤はそう言うところはドライだから気にしてないと言うか、名前を聞かれた記憶が無いから言ってないと思う。」


 不安ですが過ぎた事は仕方ありませんね、そこは先生の記憶を信じる事にしましょう。


「では、これ以上は私の件は内密でお願いします。」


 そう言って職員室を出ました。これで試合を見る大義名分ができましたね。名前の件は少しヒヤッとしましたが、取り敢えずは口止めも出来たので大丈夫だと思います。


 内心でスキップを踏みながら私は廊下を歩いて行きました。





 そして秋の新人戦が始まりました。

 

 初めての補助員の仕事は5人グループで行動する様でした。記入係にタイムキーパーと旗持ちが各1人、そしてホワイトボードの対戦表と試合結果のマグネットを貼るのが2人と言う事でした。


 私は初めてだったので『待て』が掛かった時に旗を持って立ち上がる旗持ちを任され、他の人の動きを見るように言われました。


 初めての作業は緊張しますが、私は大事なことを忘れていました。


 私は人見知りだった事を忘れてました!


「と言う事で、火神さん大丈夫そう? 分からない事が有ればすぐに聞いてね?」


「あ、ああああ、は、はい! わわ、分かりました!」


「……大丈夫よ。そんなに緊張しなくても気楽なお手伝いだからね?」


「え、えええ、えっと。がが、頑張りましゅ!」


 一緒のグループの優しそうな人が笑顔で教えてくれるのですが、緊張のあまり噛みまくってしまいます。


 その様子を見て、皆さん少し引いてます。初対面の人だとどうしてもうまく喋れません!


 私はガチガチに緊張しながら補助員の仕事を覚えるのに必死でタツミ君の試合を見る余裕が無かったのは言うまでもありません。


 そしてそんな私の様子を楽しそうに見ている人が居たのを知るのは、もうしばらく後の事でした。






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