〜早く帰って来いメロス〜
「俺の代わりに人質になってくれ」
は?なんだこいつは?久々に顔を合わせたと思ったら人質になれだと?
俺の名はセリヌンティウス。ある町で石工という仕事、簡単に言えば石を細工して墓などを作る仕事をしている。師匠の元を出て、この町に店を建ててまだ13日目、仕事もこれからと言ったところだ。
話は変わってこの町の最近の事情について話そう。
王様がヤバい。
どれくらいヤバいかっていうと邪智暴虐。
なんか身内殺しまくってるの、ヤバくない?さらに怖いのは少し贅沢な暮らしをしているものも殺されているそうな。
怖い、なぜ怖いかって?俺は自分の店を建てて13日だと言いました。つまり新築でちょっと綺麗…。殺害対象なのでは…と恐れている毎日です。いや、なんでこんな町に建てたのかって言われても安かったからだよ!ここの土地が安かったのは王が凄いヤバいやつだったからなんだと知ったときには後の祭り。
ま、まあそんな怖い話は置いといて…楽しい話をしよう!
今日、友達に久々に会う。メロスだ。こいつは昔からの友達で仲が良…い…あれ?こいつ、そういや昔から腹立つやつだったな。子供のとき、村で流行りのおもちゃがあって俺がそれで遊んでいたらメロスが
「俺、それ持ってないんだよなー」
とか言いながら奪っていった。俺は
「返せよ!」
と言って少し取り合いになって奪い返したらメロスが泣き出して、そこにちょうど母親たちがやって来て、メロスが
「そのおもちゃで一緒に遊ぼうって言ったら汚い手で触るなとか言われたぁー!」
「えっ」
もちろん俺は怒られた。その怒られている間、メロスは俺のおもちゃで遊んでた。
他にもそんな話はたくさんあった。なんで俺会うの楽しみにしてんだろ…。あいつ、いつも嫌なことするじゃん…と思いつつ、ま、まあ腐れ縁ってやつかな!って前向きな意味で腐れ縁という言葉を使った。なんだよ前向きな腐れ縁って。しかし今日は久々に会うのだ。あいつも今日ばっかりは嫌なことは持ち込んできたりしないだろと一言。
そして店のドアが開く。
「王様がお呼びだ」