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短編とかその他

笑い声が絶えぬ世界を

作者: リィズ・ブランディシュカ



 聖なる竜石を、施設のコアに入れる。


 世界全てのエネルギーが集まる施設は順調に稼働していた。


 勇者は、これで自分が望んだ世界が来ると思った。


 この施設は、人々の心を一つにまとめあげるためのもの。


 あと、ほんの数分で、作業は完了するだろう。






 世界を救おうとした人物。


 多くの人から実力を認められた存在、勇者。


 とある勇者は、自分が歩んだ旅で、様々なものをみてきた。


 それはよくないものが多い。


 ささいな言動や行き違いから起こったケンカや諍い。


 殺伐としたその世界で、それらは決してすくなくはなかった。


 それだけではなく、その世界の大きな争い……人間と魔族が戦う様になった原因だってそうだった。


 始まりは、二種族の友好のために行われた会談で、不幸な事故があった。


 その火種が大きくなりすぎて、決して止められない戦になってしまったのだ。


 何千年もの間、ずっと続いている争い。


 その争いの原因はささいなものだったと、旅の中盤で判明した。


 だから勇者は旅の結果として、みんなのすれ違いをなくそうと思った。


 いがみ合うばかりの者達に、笑っていてほしかったから。


 人々の心を一つにすれば、争いはなくなるはず。


 そう思って、もう引くところまで引けなくなった魔族の王をなくなく退治したあと、とある施設にとある石を運び込んだ。








 目の前の施設が淡い光を放つ。


 新しい世界の到来だった。


「これで笑い声の絶えない世界がやってくる!」


 勇者は歓喜した。


 しかし、その瞬間、勇者は目撃した。


 施設で働いていた者達が笑いながら、壊れていくのを。


 一体どうして。


 そう思いながらも、勇者も「ははは」と笑い声をあげながら壊れていった。


 頭の中に、何万・何億もの人間の心がいっぺんになだれこんでくる気配を感じながら。




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