11/11
私のナイトは……(1/1)
「ツグミー! そろそろ家を出ないと遅刻よー!」
階下からママの声が聞こえます。ツグミは作業の手を止め「はーい」と返事しました。
ツグミは机の上に広げていたビーズ入れやソーイングセットを片付けます。最後に、先ほど修復が終わったばかりのクマのぬいぐるみの胸にハート型の赤いビーズをつけました。
「これで完成だね、テディ」
二つに割れていた勲章は接着剤でつなぎ止められています。上手くくっつくか心配でしたが、ぴったりはまってツグミはほっとしていました。
ツグミはテディを棚の上に飾ります。その横には先にできあがっていた三体のぬいぐるみが置いてありました。モチーフはそれぞれフクロウと牛と馬となっており、どの動物の胸にも光り輝く勲章が取り付けられています。
「勇敢なサー・テディ。賢いサー・オウル。力持ちのサー・ブル。俊足のサー・ホース……」
ツグミはナイトたちの名を呼びました。
「行ってきます、私だけの四銃士」
ツグミはドアを閉める直前に、皆が主からの呼びかけに応じて微笑んだのを見た気がしました。