2 新井素子のコバルト文庫もの
まあ正直、この方を知ったのはふぁんろーど辺りだったんじゃないですかね。
既にコバルト文庫で、
・あたしの中の……
・いつか猫になる日まで
・星に行く船
・通りすがりのレイディ
辺りまで出ていた頃に出会いましたな。
あとは昔から作者買いの自分としては、出たら買う、探して買う、でしたね。
その後コバルト文庫では「星へ行く船」シリーズが全部で5巻出ましたな。
・カレンダー・ガール
・逆恨みのネメシス
・そして、星へ行く船
・ブラック・キャット ……の1.2巻
までは買ったな。
……何か後に前日譚としての「星から来た船」が上中下巻で出てる様だし、ブラック・キャットも続刊出てたけどまあそれは略。
つか読んでない。
Wikiで見てみると凄いね!
著作数すげえよ。
本当に令和になっても書いてるよ!
そして現在61歳。
だいたい高校時代にコバルト系の本は探して買ったのかな。
ではもの凄く好きだったのか、というと微妙。
これは後の大和真也にしても同様なんだけど、「凄く好き!」と言える程、沢山ぴんと来る本がすぐ手に届くとこに売っていなかった、というのがでかいんだよ。
高校に入ってからも「でかい本屋」はそれこそ「まち」に出なくちゃ無かったし、その中でも特にマンガや文庫に特化した様な本屋は一軒だけだったし。
だからとりあえず面白い「かもしれない」「薦められているのだからきっと面白いのだろう」で読む場合も。
正直新井素子には「共感」は全くできなかった。
ただ、面白くはあった。
それとコンプリート癖。
で、コバルト文庫の中で特に好きだったのは「いつか猫になる日まで」と「あたしの中の……」に収録されていた「大きな壁の中と外」。
前者「いつか猫になる日まで」はそれぞれ特性(超能力というよりは今だったらスキルに近い。指揮官・戦闘・医療・技術・テレパシーだったかな)を持った大学生がUFOに出会ってしまって、そこで星間戦争に関わって、終わらせてしまう。
だけど戦争しているのが当たり前の異星人はどうしていいか判らない。
で、特にスキルがある訳ではない主人公だけが「造物主に逆らう」という特質を持っていたと。
そんで「俺達の戦いはこれからだ!」と地球側ではなるんだけど。
その戦争とかの宇宙を作った造物主はゲームをしましょう、と自分の作ったパートナーの一手であるその存在に驚き笑うんだけど、結局笑い続ける中で造物主以外全てが消えて行くという。
造物主とパートナーの会話がブロローグとエピローグにある箱型構造。
この話は好きだったんだよな。
ただヒロインの男の趣味はさっぱり共感できなかった。
というより、新井素子の描く男性キャラはどれを見ても好きになれなかったんだよな。
星へ行く船の太一郎さんにしても、正直好きではなかった。
というより、まあ単純に、新井素子というひとは何処までも女の子思考なんだよな。
だからワタシにはさっぱり何でこう思うのか判らない部分も多かった。
ただ時々ひょい、とこの作品の中でも友人のことを愛してる女というのは出てくるんだけどな。
百合要素はもうデビュー作からあるんだよ……
「大きな壁の~」は、汚染されていない壁の中の世界でほんわかした「収容所」で暮らしている数名の若者達が、外の世界に出るために色々するという話。
キャラ達が皆普通の社会では弾かれた存在として描かれているんだけど、実はこれも核戦争後の世界での人類再生プログラムだったよー、という。
都市に逆らって追放された人が行く収容所というのは三種類あるんだけど、実は自分達しか居なかった、誰も外に出ようという気力も何もなかった。
出ようという生命力がある人間自体彼等だけだった、と。
これが三作目ってどうよ、と言いたくなってくる……
ただこの「人類再生プログラム」自体はあくまで最後の方で気付く、というものなんだよな。
一貫して視点が少女のものなんで、説明が易しい。
で、結果として「おおっこんな仕掛けが」となるという。
この書き方は上手かった。
あと後の作品でも時々顔を出すカニバリズム要素もある。ヒトタンパクとか。
ただ当時はまだ表紙も挿絵も過渡期で、初期の文庫はキャラが想像しづらいイラストばかりだった。
これが再版された時に色々絵が変わったりするんだけど、……まあ、やっぱり印象違うよね、という。
ただ再版を何かとされていたというのは凄い。