白い訪問者
ある夜のことでした。
団地の一室に明かりが灯り、鳥籠の黄色いセキセイインコと青いセキセイインコがしきりにさえずっていました。
外を飛んでいた白い鳥が物寂しい気持ちで、セキセイインコたちの声に惹かれてベランダに降り立ちました。
夜に部屋の明かりは眩しすぎて、白い鳥は、隣の部屋の方に近づきました。
そちらの部屋は、常夜灯がついていて、淡いオレンジの光が灯っていました。
白い鳥は小首をかしげて、ガラス戸から薄暗い部屋を覗きました。
「あっ!お母さん。鳥が来てるよ」
女の子が明るい部屋の方から叫びました。
女の子と目が合うと、白い鳥はびっくりして飛び立ちました。
「かわいい鳥だったんだよー」
「きっと遊びに来たのよ」
母娘は夜のベランダに出て、外の景色を眺めました。
「あっ、流れ星」
「願い事3回言えた?」
「速すぎて言えなかった」
白い鳥がまた遊びに来るといいな、って女の子は思ってました。