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#083

「私たちも、理事長とお話をする日にお邪魔してもよろしいでしょうか?」


「お話が終わるまで、彩音様のお部屋で待たせていただければ嬉しいです。」


 楓が呼ばれたことも伝えると、澪と悠花は何かが起こることを予感しています。


「私たちも、ご一緒したいのですがダメでしょうか?」


 理事長が関係していることで気にしていた千和が、渉美と共に待機組に加わりたいと言ってきました。

 そして、今回は更に参加希望者がやって来ます。


「今回の記事について理事長に対応策を問い合わせましたが、彩音様とお話されると聞いております。……どのようなお話になっているか生徒会としても気になるので教えていただけませんか?」


「それは、私ではなくて、理事長は父とお話をされるそうです。」


「えっ!?そうなんですか?彩音様のお父様と……。」


「はい。父のところに連絡があったみたいです。今度、理事長がお話に来られるそうですわ。」


「そんなお話になっていたんですね。……どうなっているのか分からない人が、生徒会に質問に来てしまっているんです。」


 生徒会にも対応を要求する生徒がいるらしく、状況の分からない倉本沙織も困惑気味で彩音のところに来ていました。初仕事がトラブル対応であり、生徒会の範疇を超える内容だったので、彩音は少し気の毒に感じています。


「お話合いの日、よろしければ倉本さんもいらっしゃいますか?ご同席いただくことは出来ませんが、状況はご説明できると思いますよ。」


「……私がお邪魔してしまっても、よろしいのでしょうか?」


「もちろんですわ。」


 その場にいた他の四人も笑顔で倉本沙織を見ていました。


「えっ?もしかして、皆さんも?」


「ええ、なんだか親睦会みたいになりそうで、楽しそうではありませんか?」


 彩音の緊張感のない言葉に一同は驚きました。理事長が関わってきたことで重い展開を予想していましたが、彩音は全く気にしていない様子でした。


「彩音様は、どんなお話になるのか分かっているのですか?」


「いいえ、全く分かりませんわ。」


「彩音様のお父様は、何かおっしゃっているのでしょうか?」


「いいえ、まだ何も聞かされておりませんよ。」


 澪と悠花は疑問を投げかけましたが、納得できるような答えはありませんでした。

 彩音は、マリー・アントワネットが悪役だったかもしれないが悪人ではなかったかもしれない楓の言葉を思い出しています。


「運命に逆らうために、私たちは頑張っているんです。これだけのお味方がいてくだされば、心配することはないと思っておりますわ。」


 彩音の言葉は、皆を困惑させることになりました。澪と悠花は辛うじて通じる話ですが、他の三人は全く意味が分かっていません。


 ソフィアは悪人だったから処刑されたと考えていましたが、楓と話をしたことで『悪役=悪人』ではない可能性も知ることができました。

 そのことが少しだけ彩音の気持ちを楽にして、前向きな考えにさせています。『悪人』は本人の性質であり、『悪役』は他者との関係性が問題でした。


「理事長が私たちを悪役にしようとしても、ちゃんと分かってくれる方もいてくださるんです。」


 余計に意味の分からない台詞で皆を混乱させていしましましたが、彩音は笑顔でした。


 ソフィアは悪役にされてしまったかもしれませんが、悪人ではなかったと信じています。そうであるならば、他者との関りを大切にしていけば未来は変えられるはずでした。

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