表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/134

#079

「記事が掲載されてから、こんなにも早く理事長が連絡してきたことは気になってしまいます。」


『早すぎるくらいだよ。』


「はい。……ですが、あんな目線を入れられるなんて、私すごく悪いことをした人みたいですよね?」


『やっぱり、あの写真は九条さんだったんだ。かなり分かり難くなっているから大丈夫だけど、気分悪いよな。』


 楓の言い方は明らかに不服そうでした。楓が不機嫌になってくれていることに彩音は嬉しくなってしまいます。


『学校が決めた修学旅行なんだから、誰がどんなことをしてたとしても余計なお世話だ。』


 修学旅行中は何も起こらなかったのですが、修学旅行の様子がネットのゴシップ的な記事で掲載されてしまっていたのです。


 記事の内容は『修学旅行で贅沢三昧』とか『これは学校行事なのか?』とか、否定的なものになっていました。制服姿ではありませんでしたが、『社長令嬢たちの優雅な学園生活』と意味の分からない説明が加えられています。


「……ただ、そういう目で見られてしまうことも仕方のないことなのかもしれません。最近は、少しだけそう感じるようになりました。」


『仕方のないことではないよ。『隣の芝生は青く見える』人は、自分の家の芝生を手入れしていない人だって、俺は親から言われてきた。……だから、紅葉にも同じことが言える人になってほしいと思ってる。』


「紅葉さんは、すごく良い子ですよ。」


『ありがと。でも、最初は俺だって、九条さんたちと遊んでいるうちに、紅葉が羨ましがるんじゃないかと思って怖かったんだ。でも、そんなことを怖がっている自分も嫌になった。』


「怖かった?……楓さんが、ですか?」


『そうだよ。でも、紅葉は『お姉ちゃんの家はお掃除が大変そうだね。』って言ったんだ。』


「えっ?……お掃除ですか?」


『まぁ、いつかは紅葉も九条さんが掃除なんてしてないってことを知ることになるけどね。』


「ちゃんとお掃除くらい自分でもしてます。」


 浩太郎からお茶会の誘いを受けた時、紅葉を彩音たちと一緒に遊ばせたくなくて、楓は最初渋っていたのかもしれません。

 紅葉が彩音たちの生活を羨ましがるようなことになれば、楓にとって悲しいことになります。


『それは悪かったな。でも、いろいろな事を理解する頃には、九条さんが俺たちと別な苦労をしていること知ることになるんだ。』


「別な苦労ですか?……私の苦労って何なんでしょう?」


『今も苦労してるだろ?試験、生徒会、修学旅行、こんな苦労は普通しなくていいんだ。』


「フフッ、そうかもしれませんね。」


 普通に生活していれば何事もなく通り過ぎていくだけのことで彩音は悩まされていました。そして、ソフィアが17歳で処刑されてしまった理由も、貴族であったことが影響しているように思えています。


『だから、それぞれの立場で苦労はあるんだけど、良いところしか見てない。気楽に生きていたいけど、贅沢もしたいって考えてるヤツが九条さんたちの修学旅行を羨ましがってるだけなんだよ。』


「楓さんだけでも、そう思ってくれているのなら気持ちが楽になります。ありがとうございます。」


 記事を読んでいる時は諦めて受け入れてしまいましたが、楓は違うと言ってくれました。


『……九条さんを悪役にするための印象操作みたいなものか?』


 楓が小声で言った一言に彩音はドキッとさせられました。

 必死に理事長の関与を考えているようです。試験や生徒会の時は彩音を持ち上げようとしていましたが、今回は逆の狙いかもしれませんでした。


「私たちを悪く見せることが目的。」


 彩音はソフィアのことを思い出しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ