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#074

「お母様の名前はご存じありませんか?」


「えっ!?……そこまでは、分からないです。」


 苗字の確認と母親の名前。彩音は、唐突な話題に頭が追いつきませんでした。


『今、兄の会社で事務員さんの面接をしているんですが、水瀬真紀さんという方がいらしているんです。』


「……えっ?……水瀬真紀さん、ですか?」


『はい。ただ苗字が同じだけではなくて、その方を見た時に楓さんや紅葉さんを思い出してしまったので、気になりました。』


 傍で見ている澪と悠花は、彩音から『えっ?』が連発されているので話の内容が気になって仕方ありませんでした。

 彩音の表情が暗くなることはないので、深刻な問題が起こっているのではないと分かっています。それも、『水瀬真紀』という新たな登場人物まで出てきました。


『私の思い過ごしかもしれませんが、お知らせしておこうと思いました。』


「ありがとうございました。私も少し調べてみますわ。」


 わざわざ電話してきたのであれば、千和の思い込みだけではない可能性が高いと考えていました。澪と悠花への説明も待ってもらうことにして、彩音はタエを呼びます。


 彩音からの呼び出しを受けて現れたタエは当然のように、


「水瀬楓様と紅葉様のお母様は、水瀬真紀様ですね。」


 サラリと答え合わせが終わってしまいました。この時点でタエがスグに答えられたということは、この件でも浩太郎の関与を疑うきっかけになります。



 澪と悠花への説明も終わり、


「楓さんのお母様が、千和さんのお兄様の会社ですか?」


「ええ、父が何かしている可能性は高いと思います。最近いろいろなことが重なっておりますから、鈍い私でも怪しいことには気付きますよ。」


「そうですわね。お茶会の時に、彩音様のお当様と千和さんはお会いしてますから。」


「千和さんのお兄様の会社であれば、私が気付くことを前提にして父は何かしているのでしょうか?」


 千和が兄の会社に行ったことは偶然かもしれませんが、裏でコソコソしたければ千和の兄は避けるはずです。

 彩音は、お茶会の後で隠し撮りしていた映像を思い出していました。紅葉のドレス姿を見て、驚きながらも優しく話しかけている女性が水瀬真紀でした。


「楓さんのことに続いて、楓さんのお母様も関係してくるなんて驚きました。直接、お聞きになってみてはいかがでしょう?」


「父にですか?……たぶん、答えてはくれないと思います。」


 彩音は浩太郎の『自分のやるべきことを進めなさい』という言葉を思い出していました。


「父は、『任せておけ』と言っていました。私たちは、私たちのことを考えましょう。」


「……はい。……私と悠花さんは、あの件についても出来れば進めたいと考えております。彩音様は、いかがでしょうか?」


「私も同じです。楓さんのお力は借りられないかもしれませんが、相談には乗ってくださると思います。……それに、このままではいけないと思うんです。」


 澪と悠花は頷いていましたが、そろそろ行動を開始しなくてはなりません。


「あとは、平和な修学旅行になることを祈るだけですね。」


 何も起こらないとは思えませんが、今の彩音たちには味方してくれる人がいます。そんな中で悠花がちょっとした疑問を口にしました。


「……魔法学園では、修学旅行があったんでしょうか?」


 彩音にも、澪にも、そんな記憶は全くありませんでした。

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