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#045

「……本日は、お招きいただき誠にありがとうございます。」


 丁寧に挨拶をする瀧内千和でしたが、不審そうに周囲をキョロキョロと窺う様子を見せていました。招待状にはドレスでの参加が記載されていたので、大勢の招待客がいることを千和は予想していました。

 ところが、予想とは全く違う光景が目の前にあります。


 広く手入れの行き届いた庭にテーブルがいくつか置かれており、千和を含めても参加者が5人しかいません。


「まぁ、ようこそおいでくださいました。」


 水色のドレスを着た瀧内千和をオレンジ色のドレスを着ている彩音が迎えます。現状ではドレスを着ているのは二人だけでした。


「……あのぅ、パーティーにご参加される方は……?」


 遠慮がちに質問する千和に彩音は笑顔で答えます。


「あら、本日はパーティーではございませんわ。……休日の小さなお茶会です。悠花さんと澪さんは少し準備があって遅れておりますが、8人だけになりますね。」


「えっ!?」


 落ち着いた態度を崩さない千和が珍しく動揺していました。

 


 数日前の放課後、彩音たち三人が千和のクラスに入っていった時も驚いていました。そして、クラスの子たちの注目を集める中で瀧内千和に招待状を渡したのです。


 周囲がザワつく中で、


「急なお誘いとなってしまい申し訳ございません。ご都合がよろしければ、是非ご参加くださいませんか?」


「え……?えっと……、私にですか?」


 目の前に差し出されている招待状を見ても、千和は自分が誘われていることを信じられませんでした。それくらい彩音と千和に接点がありませんでした。


「はい。是非、あなたにもご参加いただきたいのです。……お受け取りいただけないでしょうか。」


 テストの結果を見ていた時に千和が見せていた鋭い目つきはありませんでした。あまりに突然の出来事で、そんなことを思い出している余裕もありません。

 

 瀧内千和は彩音に対して憧れの感情もありました。

 テストでつまらないミスをして順位を落としても、笑顔で『回答欄を間違えてしまいましたわ。』と言える余裕。生徒会などの目立つことをしなくても自然と注目されてしまう。

 もちろん浩太郎の会社が影響していることも分かっていましたが、彩音の存在感そのものが他者とは違っていると感じており目で追ってしまいます。

 だからこそ、今回の件が納得できないでいました。


 そんな時に彩音がお茶会への招待をしてきたので困惑が大きかったこともあります。同時に嬉しくもありました。


 彩音から招待状を受け取り、封筒から出して日付を確認しました。


「……ご都合はいかがでしょうか?」


「あっ、はい。……大丈夫です。」


 予定が入っていなかったこともあり、スグに回答してしまいました。『確認しておきます』とで答えておけば時間を稼ぐこともできましたが、『大丈夫です』と言ったことで数日間悩むことになります。


 当日を迎えるまで、緊張と困惑の中で過ごすことになりました。テストの件なども重なっていたので余計に複雑な状況であり、クラスの子たちからも嫉妬交じりの質問を受けたりしました。



 そして、ある程度の招待客がいる中での一人であることで覚悟を決めて来てみれば、8分の1でした。しかも、その中の2人は彩音の両親であり、彩音・悠花・澪を除いてしまえば3分の1まで状況は悪化します。


「……お茶会……でしょうか?」


「はい。お茶会ですわ。……正確には、私の誕生日パーティーの仕切り直しになるんでしょうか。」


「お誕生日パーティーの……、仕切り直しですか?」


「ええ、パーティーの途中で私たちは倒れてしまったんです。ですから、そのパーティーの続きになります。」


 その件は千和も知ってはいました。三人が同時に意識を失って倒れたと聞いて、気にはなっていました

 ただ、学園でも元気な姿を見ていたので忘れてしまっており、今日のことに関連しているとは考えてもいませんでした。

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