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#017

「紅葉さんとも、前世で繋がりがあったと言うんですか?」


 澪は彩音の問いかけに首を振ります。


「……それが、紅葉さん限定ではなく、小さな子どもに関してなのです。」


「小さな子ども……ですか?」


 彩音は澪が何を言いたいのか分かりません。悠花の表情からも同じように疑問符が湧き出ています。


「はい。公爵様のお屋敷の地下には、町や村から捕まえてきた子どもが何人もいて。……その……。」


 そこまで話をした澪でしたが、突然口籠ってしまいました。チラチラと彩音や悠花の顔を見て、言っていいものかを迷っている素振りを見せます。


「そこまでお話しになっているのですから、気にせず続けてください。……どんなことでも平気ですから。」


 彩音も覚悟を決めていました。『捕まえてきた子ども』というだけで穏やかな展開ではないのです。


「はい。……その子どもたちから抜き取った新鮮な血を飲んでいた、というお話しを思い出してしまったんです。」


「えっ!?」


 彩音と悠花は驚いて声を上げてしまいました。子どもの生き血を飲んでいたとなれば、ちょっとした悪役どころの騒ぎではありません。


「直接見ていた記憶ではなくて、そんなお話しを聞いたことを思い出しただけなので、本当か嘘かは分からないのですが……。」


「……彩音様の前世は、ヴァンパイアだったのでしょうか?……魔法が存在していただけではなく、そういう種族がいた世界だったのかもしれませんわ。」


 何とも言えないフォローが悠花から入りました。


「そうですわ。もしかすると、そういったことが当たり前の世界だったのかもしれませんね。」


 異世界であることを都合良く解釈した結果、彩音の前世がヴァンパイア的な種族だったということで落ち着きそうな雰囲気です。


「彩音様は紅葉さんとお話しになっていて、紅葉さんの血を飲みたいとお思いになりましたか?」


「……いえ、すごく可愛らしいとは思いましたけど、血を飲みたいとは……。」


 前世が子どもの血を飲む種族――そのことを彩音は受け入れたわけではありませんが、澪からの質問は直球になっています。


「……もしかして、澪さんは私が紅葉さんの血を狙っているとお思いで、心配にされていたのでしょうか?」


「あっ……、申し訳ございません。」


 それでも前世の記憶が甦っていることは歓迎すべき事です。前世と違った展開を作り出すには必要不可欠な要素になるのです。


「でも、ソフィアたちが暮らしていた異世界は、どんな世界だったのでしょう?……澪さんも悠花さんも、些細なことだったり言い難いだったりしても遠慮なくお話ししてくださいね。」


 もし、本当にソフィアがヴァンパイアのような生き物であったとしても事実を受け止めて、前進するための材料にしなければならないのです。


――前世で子どもの生き血を飲んでいたのか真偽は気になるところですが、澪さんも分からないとおっしゃっていたので今は話を先に進めた方がいいですわね。


 部屋で待たせている二人のことも気になっていたので、手短に話をまとめる必要もありました。


「……少し脱線してしまったのですが、これからのことでお二人のご意見をお伺いしたいと思っていたのです。」


 二人も気持ちを切替えて彩音の話を聞いています。

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