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#129

 沙織の言葉は気になりましたが、分からないことを話し合っても結論は出ません。

 当初の目的通りに悠花と澪は記憶を辿りながら彩音の髪型を変えました。


「……何かが足りない感じがしませんか?」


「ええ。何かを間違えているのでしょうか?」


 悠花と澪はハーフアップにした彩音を色々な角度で見ながら、それぞれに感想を言い合います。変えられた当人の彩音はただ従うしかなく、2人が何に納得していないのかも分かりません。


「すごく可愛らしいと思いますよ。」


「そうですわね。少し変えただけでも印象が変わって見えて、素敵です。」


 それでも渉美と千和は喜んでいました。大きく見た目が変わったわけではありませんが、確かに印象は違います。

 結果として、悠花と澪も『とりあえず』納得することにしました。そして、タエに彩音を見せて、明日以降の髪型としてお願いをします。



「……ですが、沙織さんはあのようなお言葉をよくご存じでしたね?」


 紅茶を飲みながらの雑談で、彩音は楓の本のタイトルについて気になっていることを聞いてみました。


「えっ?あっ、知っていたわけではないんです。……以前、学園で私の机の上に同じようなタイトルの本が置かれていたことがあるんです。少し気になってパラパラと読んでみましたが、誰の持ち物か分かりませんでした。」


「そんな内容の本が置かれているなんて、気味が悪いですね。」


 話を聞いていた千和が沙織に言いました。確かに普通に読まれているような本ではないので、意図的に置かれていたのであれば気味が悪いと感じます。


「ええ、忘れ物として先生に預けておりましたが、いつの間にかなくなっておりました。」


「そんなことがあったのですね。」


 ただ、彩音には奇妙な偶然と思えません。

 彩音・悠花・澪はお互いを見ており、沙織は説明を終えると黙ってしまいました。

 すると、部屋のドアをノックする音が響きます。



「……社長が呼んでいるんだけど、大丈夫かな?」


「父が、私を?……先ほど、お客様がお見えになると聞いておりましたが?」


「あぁ、その人たちが帰るから九条さんも挨拶させておきたいんだって。」


 彩音は楓が呼びに来たことにも驚きましたが、楓が澪や悠花を見て、


「揃ってるなら、皆もいいかな?」


 と言ったことにも驚かされました。

 浩太郎の客人を彩音が見送ることは理解出来ますが、彩音の友人までも連れ出されることには疑問があります。


「……あのぅ、私だけではなくて、皆さんも一緒にですか?」


「そうだな。……皆も会っておいた方がいいと思う。」


「一体、どなたがお見えになっているのですか?」


「東雲って人で、会社の社長さんだよ。これから仕事で協力関係になるらしいから、挨拶に来たみたい。」


 楓の言葉に一同は少し戸惑います。行くことに問題はないのですが、『行っても良いのか?』と考えてしまうのです。

 浩太郎の仕事関係者に彩音の友達として挨拶に行くことに躊躇いがありました。


「その東雲って人の息子さんも一緒に来てるんだ。皆とも同い年だから、大丈夫だよ。」


 大丈夫の意味が分かりませんが、これだけ強引に皆を連れて行こうとする楓も珍しいので全員が同意します。

 そして、見送りに出るのなら自分たちも帰ることにして準備を始めました。

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