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#106

「先日は応援に来ていただいて、ありがとうございました。」


「いいえ。それよりも優勝おめでとうございます。次も、必ず応援に伺わせていただきます。」


「えっ!?……会場は変わってしまいますが大丈夫でしょうか?」


「はい。その点につきましては、楓さんも快く引き受けてくださっておりますので問題ございません。」


「……では、次回も電車で?」


「ええ、かなり分かってきた感じがします。」


 自信たっぷりに語る彩音を見ていても不安しかありませんでした。たぶん、当日の渉美は彩音の顔を見るまで集中出来ないかもしれません。


「彩音さんたちが立ち去った後も、部活のみんなはウットリしていました。競技も、いつも以上に気合が入っていたと思います。」


 差し入れで渡されたスポーツドリンクに口を付けることなく、記念に持ち帰った子も数名いるくらいでした。


「喜んでいただけたのでしたら、何よりですわ。」


「……それで、来週の土曜日に予定されている生徒会の清掃活動にはご参加されるんですか?」


「もちろんです。……確か、柴田さんの発案でしたね?」


「本当は平日に行いたかったらしいのですが、理事長がご不在なので学園がお休みの日にしか出来ないようなんです。……美鈴さんも、参加者が少なくなることを心配しておりました。」


 彩音たちが参加してくれることになれば、追随する生徒たちも増えることになるので安心出来ます。

 渉美・千和・沙織の三人も、ある計画を進めているのです忙しくなっていましたが、こういった活動には積極的に参加することに決めていました。


「そうですわね。楓さんからも、『一時的な行動だけでは意味がないから、継続させることを考えろ。』と言われております。」


 彩音が楓の口調を真似て話したので、近くにいた澪と悠花が笑いました。その話をされた時、二人も一緒にいたので思い出してしまっています。


「……いつも呆れられてしまっているので、今回は完璧に仕上げようと考えて準備を進めているんですよ。」


「えっ!?楓さんもご参加されるんですか?」


「いいえ。久坂芽衣さんという、楓さんのクラスメイトの方がご協力してくださるんです。楓さんは監督役ですね。」


「楓さんも大忙しですね。」


 渉美は笑っていましたが、現在の状況で楓がいてくれたことには感謝していました。


「あっ、忘れておりましたわ。渉美さんも清掃活動にご参加されるのでしたら、こちらをお持ちください。」


「……写真ですか?」


 彩音が満足そうな表情で渉美に写真を差し出しています。


「沙織さんと千和さんにもお渡ししてあるのですが、当日はこれで完璧だと考えております。」


 彩音の言葉に同調して澪と悠花は微笑んでいましたが、渉美は写真を見てゾッとしました。


「えっ?……あのぅ、これは……。千和さんや沙織さんは、何かおっしゃっていましたか?」


「いいえ。お二人とも黙って受け取ってくださいました。」


「このお写真のこと、楓さんはご存じなんでしょうか?」


「内緒にしております。今回は、自分たちでも調べてみたんです。」


「……はぁ、承知いたしました。」


 それ以外に渉美の選択肢はありませんでした。

 おそらくは、千和と沙織も何も言えなかっただけだと想像しています。応援に来てくれた時にも楓がフォローしてくれていたことを渉美は実感していました。

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