4.女神との対話
申し訳ありません、あまり進みませんでした……
何よりも真実は次回!みたいな書き方しておいてそこまでたどり着いてないっていう……
とりあえずお読みください。
「…………女神様、ですか?」
「はい、女神様ですよ」
アルトの質問にオウム返しするこの女性こそ、この大陸を管理する女神、スフィアである。
身長は160センチほどのようだが、女神だからか多少浮いており、正確な身長はよくわからない。見た目は20代くらいに見えるが、神というくらいなのでその数倍は存在しているのだろう。
アルトを見ながら楽しげに微笑む姿は、まるで成長する子供を見守る母のようである。
「えー、アルト・ライドリッヒ君。もう予想できているかもしれないけど、あなたにこのメッセージ機能を与えたのは私です。これによって不幸なことが起きたこともあったでしょう。ごめんなさい」
そういうと、全種族の頂点に君臨するはずの神が人間のアルトに頭を下げた。普段神と会う機会などそうそうないが、歴史を紐解いてみてもこのようなことはまず無いであろう。
「あ、頭を上げてください!!僕は気にしていませんから!!」
「……怒って、いらっしゃらないのですか?」
「怒るも何も、僕が剣を握れなかったのはあのメッセージのせいではないんでしょう?なら、メッセージで被害を受けたことなんてありませんよ。全ては僕の責任です」
そう言ったアルトを、スフィアは信じられないものでも見るような目で見つめた。この年頃の子にしては堅苦しいしゃべり方だったというのもあるが、それより驚いたのは、剣が握れない原因を子供ながら完全に把握していることだ。
(ここにきて、体を鍛えていて頭が冷えたら分かってきたことがある。メッセージが出るタイミングと僕が武器を放すタイミングはその時々で違ってたんだ。よく考えてみれば原因は僕の方にあるって分かるはずなのに、どうして気が付かなかったんだろう?)
アルトが導き出したこの世界の真実。それは、神のみが知り、一般には一度たりとも公開されたことのないシステム『装備適正』である。
各個人がそもそも持つことのできる武器は生まれながらにして決められている、というもので、これは血族や親戚筋などに全く関係なく決められ、人の身で誘導することは決してできないのである。
アルトの適正の低さは歴史上――これまでの歴史で適正を知る者がいないため神々の中でのみだが――類を見ないほどであり、武器を上手に扱えないとされるラインを大幅に下回っていた。持つことはできるが構えることができない程度のものもあったが、戦いを生業としているライドリッヒ家にとってその程度は五十歩百歩であった。
この適正は神ですら数値化するのが難しい値であるため、適正が高い方から順にS→A→B→C→D→E→F→Gと大雑把に表現するのがやっとであった。アルトのほとんどの武器適正はこの中のどこにも属さない、史上最低のZランク。反対に、唯一満足に扱える杖は最高のSランクと極端に離れていた。
女神スフィアももちろんこの適正を把握しており、自ら『史上最低の適正者』を見守る役割を引き受けていた。そのため、アルトが初めて武器を持とうとした日にはさすがに肝を冷やした。最低限の適正もないのに武器を持つとするとどうなるのか、長い間いろいろな者を見てきたスフィアでさえ全く予測がつかなかったのだ。
「…………少しだけ、間違っています。武器を持てないのはあなたのせいではありません。ましてや、あなたがこれまで積み上げてきた鍛錬のせいでは決してありません。詳しいことを伝えられないのは申し訳なく思います。ですが、どうか信じてください」
スフィアが適正について話さないのは単にその存在を隠しているのではなく、どうあっても神々の口から地上の生命体に告げてはならないと決められているからだ。誰に決められたのかは神々の中でも議論が分かれるところだが、最有力なのはこの世界を創造した世界統括神によるもの、という説である。つまるところ、話さないのではなく話せないのだ。
普通ならただの気休めだろうと思い、到底受け入れられるものではないが、ここにいるアルトという少年は相手の気持ちを汲むのが上手く、また頭の回転の速い子供だった。
「伝えられないんですね……なるほど。じゃあこれだけ教えてください。
スキルって、いったい何のためにあるんですか?」
「――――ッ!」
ある意味で、装備適正に気付くより、またそれを神々が隠匿していることに気づくより。
世界の根幹を揺るがす、だがある意味で子供にしかできない質問であった。
やっぱこういう頭使う文章って筆が乗らんのですわ。遅々として進まない。
次回には回想終わらせてさっさと進めていきたいと思っております。
平日にもう一話投稿できるといいなあ……