第1話
あの日の出来事は忘れもしないし、できるわけがない。
子供ながらにとんでもないことが起こったとわかった。
泣き叫ぶ声が響き渡る冷たい部屋にいたのも覚えてる。
そして、明日であの日から12年が経とうとしていた。
「ねぇ、夢香。今日の古典の授業のノート見せて。」
「あ、ずるいぞ。海子。夢香、俺にも見せてくれ。」
「康太もなの?全くあんたたち毎回夢香に頼んじゃないよ。」
「しょうがねえだろ。あいつの授業つまらん。」
「康太、そろそろ帰るか・・・。あれ?」
「なにが『あれ?』だ。」
「もうとっくに家についてるわ。」
「今日はこっちに帰ってくるの早かったね。」
「今日は何を想像してたの?」
そんな会話をし続けるのが私の友達で家族のような存在。
金髪のいちいち授業評価をしているのは大地康太。
相談に乗ってくれたりと周りを見渡す頼れるやつである。
隣にいる青髪の女の子は広野海子である。
私の大切な姉妹のような存在でありスポーツ大好き少女。
今ベッドの上で漫画を読んでるのが八神美空。
私のもう一人の姉妹のようなマルチタスクな女子である。
最後が幼馴染であるである相野隆晴。
普段はぼーっとしてることが多いけど頼れる相手である。
そして、私が花苗夢香。
「そういえば、夢香、今日一人で笑ってなかった?」
「いやいや、今日とんでもないもの見ちゃって・・・。」
「速く話せよ。」
「それでさ、今日学校で山田が・・・。」
とんとん。
話をしようとした時に母親と隆晴の母親が入ってきた。
「もう、あんたたち。明日は朝早いのだからいい加減寝なさい。」
「ほら、ガールズは早く帰るわよ。まったく毎日毎日同じこと言われるんだから。」
「えー、これから、いいところだったのにぃ。」
「まぁ、あしたにおあずけだな。」
「じゃあ、おやすみ。」
私たちは母親に連れてかれた。
歯磨きをして私たちは寝床についた。
しかし、美空がまだ寝てない感じだった。
「美空?眠れないの?」
「どうしたん?」
「ううん。なんとなく考え事してて・・・。」
「なにそれ?まるで隆晴みたいだよ。」
「やめてよ。あいつとは違うよ。おやすみ。」
次の日、六時に二台の車は家を出発した。
私の家の車には、父親、母親、夢香、海子、美空、妹が乗った。
隆晴の家の車には、隆晴の父親、母親、弟、妹、康太、隆晴が乗っかった。
今から向かうのは静岡県の御前崎市である。
そこでお墓参りをするのが毎年の恒例行事である。
車を走らせて3時間。御前崎の灯台についた。
そこで、三つのお墓に手を合わせて海を眺めて今回の墓参りは終了した。
海子と康太、美空が並んで私たちの方を向いた。
「おじさんたち、今年も親父たちにあわせてくれてありがとうございました。」
そう、言ったのは康太であった。
「いいのよ、これは私たちの役目でもあるのだし。」
「そうだよ。私たちも今年もこれてよかったわよ。」
「そういっていただけて助かります。ありがとな。隆晴、夢香。」
「うん。」
わすれてはいけないこと・・・