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夢を見る者  作者: 暇人
嵐の前の静けさ
6/30

04 再開

新キャラ登場。実はかなりの重要人物だったりして。にしても、何でこういうキャラはみんな独身設定ばっかりなんですかね。これは最早、呪いの域だと思います。

「何も思いつかねえ!」


 星宮が箸を持ったまま叫んだ。

 現在、俺たちは午前中の授業を終えて部室で昼食を取っているところだ。基本的に今日のような半日(土曜日)しか授業がない日は部活はなく、ある場合は部室で飯を食べ、そのまま部活をするという流れだ。

 まあ、部活をすると言っても、大抵は駄弁るか勉強するかのどちらかになるけど。


「本当に今日まで何も思いつかないじゃないですかぁ……」


「まあまあ」


 情緒不安定の星宮を東道が宥める。

 昨日、部長と星宮が何事も無かったかのように一緒に部活にやって来た時はこれで大丈夫かと思ったがそう甘くはなかった。星宮が凶暴化し始めたのは部長と喧嘩する前のことだったけど、部長と仲直りをして少しは心もスッキリしただろうと思ったけどそうでもなかったらしく。

 というか、今度は凶暴化ではなく情緒不安定になってしまった。これはこれで面倒だ。


「いや、別に何も思いつかなかったわけじゃないだろ」


 実際いくつかの思いつきはあった。スライム作り、炎色反応、浮沈子、etc……

 だがどれも時間が足らなかったり、何より金が足りなかったりした。『高校の文化祭程度でそんなに金が必要か?』と、思う人もいるかもだけど、これがまた思いの外使うのだ。

 例えばスライム作りなどは、ただ作るだけならまだしも、作るのを見るだけではつまらないということで『スライム作り教室』みたいなことを考えたが、こうなると洗濯のり10本だのホウ砂300gだのと色々と量が増えて出費がかさんでしまう。そうやって頭を抱え続け今に至る。


「でも、準備のことも考えるとそろそろ決めないと本格的にまずいかもね…」


 そう東道が呟くように言うと、俺もつい下を向いて考え込んでしまう。実際、東道の言う通りそろそろ決めないと本当にヤバい。というか、最初はここまで決まらないものだとは思っていなかった。正直、甘く見ていた。

 そんな時、不意に後ろの扉がガラッと音を立てて開いた。


「こんにちはー!」


 聞き覚えがある声が響いた。まさかと思って振り返ると、そこには見慣れた顔がいた。


「双葉先生! お久しぶりです!」


「おひさー星宮さん。渡瀬君に草野君もおひさー」


 俺と部長も元気のいい挨拶に応える。すると先生は俺たちの後ろの方に目をやった。


「おやおや? 知らない顔がいるにゃー。もしかして、あなたが東道さん?」


「あ、はい、そうです。えっと、先生が科学部の顧問ですか?」


「うん、そうだよ。双葉水観です!よろしくね♪」


 東道が顧問のことを聞くと先生は驚いた素振りもなく、すぐに応えた。

 我等が科学部顧問、双葉水観(ふたばみなみ)先生。身長150cm(本当は違う)、体重40kg(本当はry)、スリーサイズは秘密。2○歳独身。彼氏なし(経験もなし)。年収500万以上の彼氏絶賛募集中。

 これがこの人のプロフィール。………うん、何か突っ込んじゃいけない気がする。


「にしても珍しいですよね。先生が部活に全く顔を出さないなんて」


 星宮が不思議そうにして言った。確かにその通りだ。前から時々顔を出さない時はあったけど、その時は事前に言われてたし、こんなにずっとという訳ではなくその日の一日程度だった。だが、今回は何も言わないまま来なくなったのだ。


「うん、ゴメンねこんな時に。もうすぐ文化祭なのに、急用が出来ちゃって。でもそれを言うならあたしも驚いたよ。まさか文化祭準備の為に部活を毎日にするなんて」


 科学部は本来、月、水、金場合によっては土曜もと言った具合だったのだが、先生が言った通り文化祭準備の為、部活を毎日にしていた。因みに、先生には部長から伝えておいてもらった。

 まあ、去年は部員不足でスルーしていたし、今年も同じ理由で無理だと思っていたので先生にとってだけでなく、俺たちにとっても急なものだったので仕方がないと言えば仕方がない。


「えーっと、それでさ。さっきみんなして難しい顔してたけど……やっぱりキツイ?」


 先生がそう言うとみんな同時にかくんと頷いた。

 しかし……この反応を見るに先生も先生なりに考えてくれたけど、結局は駄目だったんだろうか。

 そうやって考え事をしていると星宮が先生を見つめて、


「双葉先生……!!…………お金が欲しいです……」


 膝をついて地べたに手をつけて言った。

 ……何と言うか、こいつも必死だな。これはいつものネタとかじゃなくて、心からの切実な願いなんだろう。……多分。

 しかし、先生の方は笑顔で星宮に応える。


「なんと、そんな君たちに朗報です!」


 それから、先生は「ふっふっふっ」と不敵な笑みを見せた。


「も、もしかして……!」


 星宮が希望を見出したような顔で先生の方を向く。


「なんと! 文化祭の出し物、実はこっちの方でなんとかなりそうなのだっ!」


「な、なんだってえぇぇ!!?」


 ……何だこの茶番は。


「どういうことですか?」


 部長が星宮と意味不明な茶番を繰り広げる先生に質問をしてくれた。


「いやー、実はね。文化祭の出し物の件で君たちが困っていることを見越してそのことを教頭先生に言ったら、教育センターに掛け合ってくれてね。それで、教育センターが無償で液体窒素を提供してくれるって言うんだよね」


「本当ですか!?」


 変な言い回しをするものだから大した事はないだろうと高を括っていたが、先生の口から出た言葉は本当に朗報ものだった。

 正直、びっくりだ。教育センターがそんな事をしてくれるなんて。


「本当も本当だよ。来週の月曜にでも届くだろうから、どういうことをするか決めて、すぐにでも準備に取り掛かってね。液体窒素を使う時は必ず私を呼ぶように!」


 ……開いた口が塞がらないとはこういう事を言うんだろうか。本当に急なことだった上に、こんな好都合な事があるとは思っても見なかった。本当に教育センター様々である。あ、あと教頭先生にも感謝しよう。


「でも、そういうのって免許とか資格みたいなものが必要だったりはしないんですか?」


 と、東道が先生に質問を投げかける。確かに液体窒素は言ってしまえば液化気体の類なので高圧ガス関連の資格が必要だったりはしないだろうか。

 と、思っていたが先生は首を横に振った。


「ううん、そういうのは必要ないよ。まあ、実際必要な場合もあるんだけど、それは量によって対象かどうかが変わるから。今回は大丈夫。……多分」


 ……何か最後の多分が凄い気になるけど、まあ、あまり気にしない方が賢明かもしれない。

 そんなことを考えていると部長が手をパンッと鳴らした。


「よし、なら液体窒素で何が出来るかをまずは考えよう」


 部長の言葉に各々が頷く。

 ようやく、というかやっと、科学部の文化祭準備が本格的に始まろうとしていた。

パロディに挑戦してみたした。……少しわかりづらいですかね。まあ、多分大丈夫だと思います。はい。

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