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目を開けると、木に囲まれた砂利道の真ん中に立っていた。
木陰の下に看板があり、前に進んでいくと街があることを示している。
(とりあえず、街に行ってみるか…)
一歩足を踏み出した途端、茂みを大きく揺らす音が聞こえた。
茂みの奥を確認するやいなや、ごつい狼が3体道に飛び出し、俺の行く手を阻んだ。
明らかに普通の狼ではない。
体躯がシロクマ程もあり、筋肉は歪に盛り上がっている。口から伸びる牙は鋭く、異様に真っ赤な瞳は俺をロックオンしていた。
完全に臨戦態勢の狼に、戦うべきか逃げるべきかと思案していると、自分の左腰に百均にありそうな剣がぶら下がってることに気付く。
プラスチックで出来ていて、安っぽい塗料が塗ってある。
剣の柄を握ると、攻撃されると思ったのかごつい狼たちはムキムキの筋肉を全力で活用して飛びかかってきた。
俺は咄嗟に鞘から剣を抜き、狼目掛けて大きく振るう。
ーーーキィィンッ
甲高い音がした1秒後、大きな音を立てて、辺りの景色が変わっていく。
俺の一振りにより、狼だけでなく、周りの木々までも薙ぎ払われたからだ。
(この剣、意外とすごいな…)
ジャジャジャンジャンジャジャーン♪
「ん?」
消えていく狼と丸太と化していく木々を見届けていると、盛大なファンファーレのような音楽が聞こえた。
しかし、周囲を確認しても、オーケストラの楽団どころか人影も見当たらない。
(……気のせいか。さっきの狼のこともあるし、とにかく早く街に行こう)
俺は足早に街へと向かった。