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夢の国を行く帆船    作者: 鈴宮とも子
第1章 おもちゃの船が巨大化した!
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夢判断は聖書チート:ラハブの場合

アスリアの部屋を女看守長がノックすると、キーキー声が、

「だれだ」

 と答えた。あのゴスロリ少女の声だ。

「ラハブさま、例の不審な少年が、アスリアさまに会ってお話ししたいことがあると申しております」

「それでおまえは、そいつを連れてきたのか。おめでとう、おまえの忠義は報われるであろう」「ありがたき幸せ」


「皮肉も通じぬとは、おまえの頭には穴が空いているのだな」

女看守長は、ムッと顔をしかめた。

「とにかく十分だけ、話を聞いてあげてください。この人は、相手の悪夢を解き明かす力があるのです」

 かちり。扉が開いた。ゴスロリ少女が目を細めて、その向こうに立っている。

「それなら、わたしの悪夢もわかっているのかな?」

 俺は、ゴスロリ少女の目をじっと見つめた。


 ―――ちゅうちゅう。

 小さな動物がその奥でおびえている。

「あんたの悪夢は、ネズミだね」

 俺は堂々と言ってのけた。

「ネズミはみんな、おぞましいと思ってる。臭いをかいだだけで気絶しちゃうほど、嫌いなんだ。夕べもその夢を見てうなされていたんだね」


 ゴスロリ少女は、すさまじい目つきで女看守長をにらみつけた。

「おまえが教えたのか?」

「まさか!」

 女看守長は、カチンコチンに固まっている。ゴスロリ少女は、頭を振って考え込んだ。

「いや。もちろんそんなはずはない。ネズミ嫌いは誰にも言っていないのだ。おい、そこのガキ。なぜわかった」


 ゴスロリ少女が詰め寄ってきた。

「神さまが、教えてくれたのさ」

 俺は、頭を右人差し指でちょっと触れて見せた。

「神さま……だと? どうせ、邪神ブラークルであろう! 正直に言え!」

「ブラークル? だれ?」


 訊ね返すと、ゴスロリ少女は瀕死の魚のように、手足、胴体がピクピク震えている。今にも頭からどやしつけられそうだ。 

 奥の方で衣擦れの音がした。

「どうしたのですラハブ? だれが来たのですか?」


「アスリア王女、来てはなりません。敵の罠に決まってます!」

 しかし、ラハブの止めるのも聞かず、その少女はこちらに歩み寄ってきた。



 部屋の中にあるランタンの光が背後から差し込み、やってくる少女を照らしている。

 その光で長い金髪は光輪を描いた。その姿は天使を思わせた。生クリームみたいな透明感のある肌。長いまつげが印象的な大きな瞳。そしてよく発達した胸!


 俺は、ガツーンといっぱつやられた気分になった。

「ああ、あなた様は! 勇者健司さま!」

 王女アスリアは、弟の名を口走った。

 俺は、またいっぱつやられてしまった。


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