夢が当たるかも。しずしずと俺たちは進む
魔法の船が、しずしずと地上に降りていく。
「あたしもついていく!」
デリラは、バタバタやってきて足を踏みならした。
「やめとけ」ラハブはひとことで、片付けてしまった。
「なんでえ?」デリラはふくれっ面だ。
「あんたは足手まといなんだよ。なんか、役に立つスキルでもあるのか?」
ラハブもサライに負けないほど、ハッキリしている。違う点は、サライには愛情を感じるのに、ラハブからは敵意しか感じられない点だ。なんでそんなに目の敵にするんだ?
デリラは、ラハブの拒絶を思いっきりうけて、泣きそうになったが、
「あたしには、【ターン・アンデッド】の力があります! 死霊系のモンスターには、有効でしょう?」
言い返してきた。
「死霊?」
キョトンとするラハブに、俺は、デリラの見た夢を簡単に説明した。
「まあ、そういうことなら、ついてこい。遅れるなよ」
そう言い捨てて、ラハブは船から下ろされた縄ばしごを素早く降りていく。
「行こう。早く用事を片付けて、こんな島からさっさとおさらばだ」
俺はデリラをうながして、縄ばしごを下りていった。
船は砂浜に着岸していた。
振り返ると、夕日を浴びて、帆が薄紅色に染まっている。
人魚の彫刻が、少し微笑んでいるように見える。
そう言えば、この宝珠は、船内にある大広間のエメット神像の剣の柄にあったんだった。
エメット神は、なにを考えて、わざわざこんな旅を俺たちにさせるんだろうか、正直ウザいしめんどくさい。
面倒ではあっても、食料は必要だ。携帯用の魔法用具を、ラハブは持っていた。このなかに、必要な水と食料を入れるのだそうだ。野菜と肉と、果物があれば上等、という。
また空飛ぶ果実に襲われたりして。
どっかのアニメみたいに、植物にしか影響を与えられない魔物がいて、そいつがどんどん植物を魔物化するとかね……。
もっとも、デリラの夢によると、死霊と禁忌と背信がキーワードみたいだから、植物の出番はなさそうだが。
いやいや、油断は禁物だ。植物の死霊とか、出てくるかもしれないし!
デリラの【ターン・アンデッド】がどこまで通用するかはわからない。
宝珠とセットで使うしか、ないだろう。
「おい、置いていくぞ」
ラハブは、森へと足を踏み入れている。落ち葉が音を立てている。俺はデリラを背後にして、先に進んだ。




