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夢の国を行く帆船    作者: 鈴宮とも子
第1章 おもちゃの船が巨大化した!
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空飛ぶ船が巨大化した!

帆船は空を飛んでいたのだ。キラキラ波の光る大海原が下の方に見える。それだけでも非常識なのに、船室から声が飛んできた。


「何者だ! このギデオン号が、王女アスリアのものだと知っての侵入か!」

 小さな女の子の声。振り返ると、そこに美しい赤毛のゴスロリ少女がいた。目は青く、肌は白く、手に剣を握っている。

 俺は敵意のないことを示そうと、右手を上げた。

「は、はろー……」

「とらえろ!」

 ゴスロリ少女が命じると同時に、少女兵士たちがどっと繰り出してきて、俺をつかまえて後ろ手に縛った。

「ちょっ、ちょっと待て、話を聞け!」

 ゴスロリ少女は、敵意いっぱいの目で、俺をねめつける。

「問答無用!」

「俺は無実だ!」

 精一杯叫んだ。少女はまなじりをつり上げる。

「きさま、どこからきた」

「―――空の窓から来ました……」

 さっきまであった空の隅を示すと、ゴスロリ少女は怒りで満面を朱に染めた。荒々しく剣を振ると、

「そうか、それならわたしは人魚から生まれたんだ。おい、こいつを船のこぎ手に使ってやるから、船の底へ連れて行け」

 というわけで、俺はこのギデオン号のこぎ手に回されることになったのだった。

 

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