表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の国を行く帆船    作者: 鈴宮とも子
魔法の船のLTBG
15/43

敵地到着!

 俺が、さまざまな心痛とストレスで眠れず、ついウトウトしていると、ラハブが俺をたたき起こした。

「おい、たまには厨房に行って料理をしろ!」

「な、俺は料理なんて作ったことないぞ!」


「男のくせに、どんなシツケをされたんだ!」

「そんなことより、いま夢を見たんだ―――」

「おまえの自慢話は聞きたくないね!」


 ぴしゃりと言い返されて、俺はやさぐれた。

 好きで夢判断能力を持ったわけじゃない!

 自分の夢を判断してやろうと思った。チャーチにシスターに陰謀。それに、男装した女の子だ。この船に、そういう人間がいるのか?

 チャーチはイギリスの老舗靴屋だが、教会という意味もある。シスターは当然、尼さんだろう。つまりパウロとなにか、関係があるのだろうか?


 ブラウニーといっしょに、俺は、厨房で料理をすることになった。魔法の火で料理するのはそれなりに楽しかったが、勇者が料理をするというところへの場違い感は半端なかった。そうしているうちに、ジャミシテ国に着いた。その報せは、パウロからもたらされた。

「地上をごらんあれ! ジャミシテ国が見えますぞ」

 俺はデッキから見下ろして、戦慄と冷気が背筋から尻の先まで駆け抜けるのを感じた。


 一面の火の海。地面は薄闇、硫黄の匂い。火山から溶岩が垂れている。こんなところに野菜が育つのか。いやそれ以前に、生き物がいる環境なのか、ここは。

「ここは邪神ブラークルをあがめる敵国です。一度入ったら、二度と出てこられないという噂が飛び交っています」

 アスリアは、か細い声で解説する。


「ということは、俺が脱出者第一号になるわけだ」

 俺は、わざと軽く言ってやった。ラハブも、この頃になるとすっかり俺に慣れてしまったようで、まえほどいちいち突っかかってこなくなった。

 それはそれで、なんとなくさびしい。なので、

「ラハブもおとなしくなったな。女の子はこうでなきゃ……」


 ラハブはみるみる、元の調子を取り戻した。

「馬鹿め。水差しは持ったか? そろそろエリコだ。ウォーターメロンマンを攻撃するための宝珠は、持ったんだろうな?」

「おまえはお袋か」

 俺はラハブに言ってやると、ラハブは気がかりそうにパウロを振り返った。

「アスリアさまを、頼みます」

俺たちは、エリコの街へと降下する帆船から、縄ばしごを伝って降りていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ