君は何様?
君の嫌いな僕はきっと君たちが嫌いなのだろう。
僕の特技は自分ではよくわかんないんだけど人をイラつかせることらしい、仲が良い友達はみんな口を揃えていう。
『お前のそういうところがうざい』
どういうところだろう、実際問題僕には本当にみんなから嫌われている理由がわからないただ嫌われていることは知っている。
気づいたのは最近だったある本にこういうことが書いてあった。
『一致団結するには共通の敵を造ることが1番簡単だ』
この一文を読んだ僕にだって高校に入るくらいの頭があるんだ意味はすぐにわかった。それと同時にこう思うことくらい普通の高校生なら当然だ。
なるほどみんな僕を敵だと思っているんだ。
今こうやって読んでいるあなたも世の中には敵と呼べる人がいるかもしれない、ただその人からしたらあなたは敵だ。正義のヒーローと呼べるものがいるのはそれは悪者がマイノリティーだからだ。最近世間ではそういったマイノリティーを敵とみなし一致団結することによって正義や仲間というものを唄うのが流行っている。
僕も他とは違うという理由だけでその敵キャラの1人だ。
ただこのお話は僕目線、つまり敵目線だから正義のヒーローがこのお話での敵になってしまう、だからこの本を読んでいる人は運がなかったとしか言いようがないだろう。
僕は他の人とは違うらしいただそれだけなのにみんなは僕のことを『おかしい』だとか『ありえない』といってすぐ敵にする。彼らの味方になるのなんて簡単だ。彼らを肯定すれば良い、彼らを崇拝すれば良い、彼らは僕を1人にして自分を正当化することによって名誉を勝ち取った努力家のヒーローだ。そんなヒーローにとっては悪の敵は排除しなくてはならないらしい。
『おい、皐月今日このあと飯行こうぜ』
皐月というのは僕の1番仲の良い友達だ。ビックリするかもしれないが実は僕には友達がいる。こんなに嫌われている僕にも常に明るく振舞ってくれる彼こそが真のヒーローだと思うのだが世間では敵を倒さないやつのことをヒーローとは呼ばないらしい。
『あ、飯か良いね、俺も行くわ』
『は、お前が来て良い訳ないだろ、考えればわかるだろ』
でた、ヒーローの必殺技『俺とお前は違うんだよ光線』この光線は敵をはぶることによって自分は偉い、または自分は他の人よりも楽しんでいることを強調する、まさにヒーローという自分を前面に押し出している得意技である。
そうして今日も正義が勝った平和な世界で僕は1人家に帰る。
何度も言うが僕だって高校に行くだけの頭はある。嫌われることが良いかとかどうかなんてわかっている。だから頭の良い僕はなんで嫌われるかを考える。そこでいつも決まった結論に行き着くので今日の作戦会議も失敗が決まったところで授業の終わりのチャイムがなった。ここまで読んだ人もそろそろ飽きている頃だろう。こんなただのひねくれたストーリーに、物語なんて起承転結があるから面白い、ただこの話には起承転結が一切ない、なぜだと思う?答えは簡単、まだ起がないからだ。では起こしてみよう。
『今日からこのクラスに新しいお友達が増えます』
綺麗な目をパチリと音が本当に出そうな瞬きをしたあいつが入ってきた。
転校生との甘酸っぱい恋愛のお話かなと、思った方は残念、それは100%ありません、なぜなら僕は同性愛者ではないから。
『僕の名前は小池敦己です栃木県から来ましたよろしくお願いします』